先送りの原因は「自信の欠如」



なにかを選んでおきながら、その選択に自信が持てないということは、よくあります。

選択に絶対の自信を持つことは難しいものです。

とくに多くの人を悩ます選択に、「心配」というものがあります。

「心配する」のは選択です。

これはぜひ覚えておくようにしましょう。

「心配」と似たものでありながら、それよりも圧倒的に強く、進化の役にも立ってきた「恐怖」は、選択ではありません。

「恐怖」もよく考えれば選択の一種だという人もあるでしょう。しかし、恐怖は、とくに強い恐怖は圧倒的で、選択の余地はありません。

自発的に心配することは簡単にできますが、自発的に恐怖の虜になるというのは、誰にでもできることではないのです。

しかし、自発的であっても心配には精神的苦痛がついてきます。だから自分でわざわざ心配しておきながら、そのことが苦痛で、心配の種を減らせないかと、他人にアドバイスを求めたりすることがけっこうあるものです。

それは自然なことです。最初に書いたとおり、人は自分の選択に、決して自信を持てないものです。心配することをあえて選んでみたのはいいけれど、やっぱり心配するのはつらいのよね、というわけです。

「先送り」というやり方には、この「心配」とそっくりなところがあります。

先送りは心配そっくりの「選択」

「先送り」とは、自発的にやることです。それも繰り返しやっていることです。

にもかかわらず、先送りを繰り返す人は、そのことで精神的な苦痛をおぼえているのです。自分の選択に自信が持てません。

そんな相談をメンタルクリニックに持ち込む人もたくさんいます。先送りは心配そっくりの「選択」です。自分でそれを選んでおきながら、そのことが苦痛なのです。

ふたつの選択肢のどちらかを選んでおきながら、その判断に自信が持てないということは、どっちを選んでも苦痛を感じるということです。

Aを選んでも、不安である。ならばBかというと、それもちょっと…。

先送りを選ぶと不安になる。ならば、実行か。それもちょっと・・・。

この問題を解決するには、まず、

先送りは選択であることを確信する

ことです。

先送りは自分で選んでやっている

すでに何度も書いたとおり、先送りは選択です。自分でそれを選んでいるのであって、誰にも強制されていないことを、よくよく了解することです。

選択であるということは、それを選んでいるということです。選んでいるということは、何かしらのメリットを感じているはずです。

先送りを選択するからには、意識しているメリットをつぶさに検討する

べきです。

問題はそれが本当にメリットになっているのか。

先送りをすれば、いまは疲れずにすむ。
しかしそれは本当でしょうか?

実行すればいまよりずっと疲れる。
それは本当でしょうか?

先送りにすれば、明日の自分は喜々としてその仕事をするはずだ。
それは本当でしょうか?

先送りするメリットは、心配するメリットと同じく、あるように思えても実はまったくない。

そのことがわかれば、実行に気持ちが傾きかける。
それでは、いま、実行を選択するとすれば、その選択に自信を持つことができるでしょうか?

自分の決定に自信を持つ

先送りのメリットとは、実行することのデメリットです。

すべてのハードルはおそらくここにあります。

先送りをやめるとき、私たちの行きつく心境は、

先送りしようかどうしようかで迷っている仕事を実行したときに、いっさい後悔しないと誓うことができれば、この仕事は実行できる

と、なるでしょう。

決定に自信を持つことができない限り、先送りはいつまでも続くはずです。

▼編集後記:




 
第5回のテーマは「もっとも簡単な“いまここ”にいる方法」です!
挙げればキリがないほど、「いまここ」には数多くのメリットがあります。
 
「いまここ」にいる私たちは、最高の集中力で最速の仕事をこなせます。
 
「いまここ」にいる時間が多くなればなるほど、私たちは健康でいられるようになります。
 
「いまここ」にいる限り、私たちは恐れや不安に基づく選択をしようとは思いません。
 
それなのに「いまここ」と聞くと、私たちはすぐに「なんだか難しそう」「それなりの修行が必要なんでしょ?」「座禅や瞑想が必須なんだよね?」など、自分とは遠い話のように感じてしまいます。
 
すべては大きな誤解です。
 
そもそも、現実の時間は「いまここ」しかありません。過去や未来は私たちの頭の中だけにあるイリュージョンです。
 
私たちが何かを行える唯一のリアルな時間にいることが、難しいはずはないのです。
 
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