タスク管理の「タスク」とは何を指すのか?



エンジニアのための時間活用術
第4回です。

今回は「タスク管理」について掘り下げます。長くなるので今回は「タスク」に集中します。「管理」は次回に。


タスク管理の「タスク」とは何を指すのか?

タスクとは、次のいずれかです。

つまり、課される仕事がタスクです。では、仕事はどうでしょうか。これは次の3つに分けられます。

1.アクション

アクションとは、仕事を構成する要素の最小単位で、マイルストーン(段階的なゴール)を目指して行われる、今すぐに取りかかることができる作業を指します(このレベルの作業を指して「タスク」と呼ぶこともありますが、今回は混乱を避けるためにアクションと呼ぶことにします)。

2.プロジェクト

プロジェクトとは、複数のマイルストーンを持つひとくくりの仕事の総称で、目標(最終的なゴール)に向かって進められます。逆に言えば、目標の定義できない仕事はプロジェクトとは言えないでしょう。目標は、数値を伴って表現されます。例えば、「5月31日までに65kgまで減量する」、「6月30日までに売上300億円、利益15億円を達成する」などは、目標であり、これを目指す活動はプロジェクトです。

3.習慣

習慣とは、目的をもって継続的に繰り返される単一または複数のアクションの総称で、多くの場合、アクションの質を高めることに貢献します。同じ1時間でも優れた習慣を持った人によって行われるアクションと、そうでない人のアクションとでは、生み出される成果は大きく異なります。すなわち、「優秀な人」とは、優れた習慣を持った人、ということになるわけです。

タスク(課される仕事)の事例

例えば、あなたの会社でゲスト講師を招いて講演会を企画したとします。その瞬間、「講演会を開く」というプロジェクトが生まれます。プロジェクトであるからには目標が必要ですので、今回は「5月27日の19時から300人規模の講演会を開催する」ということにしましょう。

目標が決まったら、現在から講演会開催までの“行程”をいくつかの“区間”に分けます。区間ごとのゴールがマイルストーンです。例えば、次のような具合です。

あとは、マイルストーンごとに必要なアクションをリストアップしていきます。例えば、「ゲスト講師を決める」、ということなら、

といったアクションを経て「ゲスト講師を決める」というマイルストーンが達成されます。

この時、これらのアクションをいかに効率良くできるかは習慣に左右されます。例えば、「講師候補に打診の連絡を行う」というアクションであれば、慣れた人なら講演会の趣旨を簡潔に伝え、手際よくアポイントを取ることができるでしょう。

でも、経験のない人にとってはこの仕事は困難なものになるはずです。もちろん、経験を積んで場数を踏めば、その敷居は徐々に下がるかも知れません。

が、ただ闇雲にやってみるのではなく、どうすれば手際よくこなせるかを考え、やってみた結果を記録し、あとから振り返り、やり方を変えてみる、といった改善するための行動習慣を自分に課すことで、慣れるまでの時間を短くすることができます。野球で言えば、ヒットやホームランになりにくい「ボール球」に手を出す回数を減らすことで、打率を上げることがこれにあたります。

まとめ

以上をまとめると次の図のようになります。



習慣というクツを履いて、プロジェクトという川を渡るとき、ところどころにあるアクションという岩場をたどっていきます。

適切な岩場(アクション)が見いだせないと川(プロジェクト)の深みで溺れることになりますし、クツ(習慣)に馴染んでいなければ岩場で足を滑らせたり、ケガをしたりすることもあるでしょう。

いずれも「タスク」を遂行する上では無視できない要素です。言い換えれば、これら3つに注意を向けていれば、「タスク」は滞りなく遂行できるはずです。

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参考文献:

2010年に読んで、その後の僕の「タスク管理」に影響を与えた一冊。それまでに実践してきた「タスクシュート」の考え方と一致している部分が多く、共感を覚えつつ繰り返し読みました。短くシンプルでありながら実に的確な指摘の数々に唸らされます。

以下はそんな指摘の一部。


2006年刊行の本書ですが、未だにAmazonに在庫がしっかりあり、長く売れ続けていることがうかがえます。



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