メール中毒を克服するには（4）

そういえば、こちらのシリーズは途中で放り出したままだったので、今回で完結させます。

「メール中毒を克服するには（1）」では、「Why email is addictive (and what to do about it)」という記事に書かれている、中毒傾向に歯止めをかけるための対策を以下のように整理しました。

　1．あえてレスポンスを悪くする
　　・受信ボタンを押してから実際にメールを確認するまでの間にタイムラグを作る
　　・ご褒美を与えるタイミングを遅らせる

　2．強化を抑制する
　　・アラート方法をランダムに変える（ ← ムリがあるのではないかと…？）

　3．敷居を高める
　　・オフラインで過ごす
　　・メーラーを終了させる
　　・ペナルティを課す

　4．代替行為を強化する
　　・メールチェックをしなかったらご褒美を与える
　　・やることを弱化させるより楽
　　（禁止は得てしてうまくいかない）

今回は、「3．敷居を高める」と「4．代替行為を強化する」をまとめて。

3．敷居を高める

前掲の英文記事では、長期出張や旅行などでしばらくメールチェックをしなかった場合のことが書いてありました。しばらくぶりにメールチェックをすると、たいていは大量のメールが溜まっているために、しばらくはその対応に追われることになります。このような時、普段のようにメールの受信ボタンを押して新着メールが届いてた時に得られるような刺激あるいは興奮は感じられない、というのです。

つまり、何らかの手段でメールチェックができない状況に身を置くことができれば、禁断症状は抑えることができるわけです。わかりやすい例が、ネットのつながらない場所で仕事をすること。これは、あえて無線LANの入らないカフェに行くことで実現できます。

症状が進行すると、そういう場所に行こうとする自分をあれこれ理由をつけて行かせないように仕向けてきます。以下は心の声。

　「今時ネットにつながらない状況でまともな仕事などできるわけがないだろう」
　「急に調べ物をしたくなったら、そこで仕事が止まってしまうだろう」

とは言え、べったりとオンラインでなければ成り立たないような仕事というのはあまりないのではないか、と思っています（もちろん、仕事の性質にもよるとは思いますが…）。むしろ、オフラインでいる間に集中して処理する方が向いている仕事もあります。例えば、資料の読み込みをするというタスクの場合、とりあえず最後まで目を通してしまってから、不明点を後でまとめて一気に調べる、というやり方のほうが、その都度調べながら進めるよりも作業効率がアップすることがあります。

この場合は、便利なネット検索が手元にない方が諦めもついて、とりあえず最後まで目を通して見通しを付けてしまうことができるわけです。

先ほどの心の声は、このような不便利を見越して難色を示すのですが、実際にそのような“不便利環境”に身を置いてみると、たいてい1つや2つ、想定外の新しい刺激にぶつかるものです。

例えば、「ネットにつながなくてもできる仕事は思ったよりもたくさんある」とか「ネットにつなげないという制約があったからこそ思いつけたアイデアが得られた」などです。

というわけで、乗り気でない自分を無理矢理にでも外に連れ出して、その場に座らせることがまず第一歩となります。

4．代替行為を強化する

身を置く場所を変えてみたら、想定外の新しい刺激が得られた、という体験は、元の場所での習慣をひっくり返すパワーを秘めています。例えば、実際にカフェで仕事をしてみると、ある仕事はオフィスでやるよりもはかどる、という実体験が得られれば、今後はその仕事をカフェ専用タスクとして切り出すことができるでしょう。

特に、やり始めてもすぐにメールチェックやmixiチェックに走りたくなってしまうような“険しい”タスクは、カフェ専用タスクに向いています。カフェでやればはかどる、という成功体験がありますからこれがトリガーとなってカフェに身を移しやすくなるからです。

このように中毒行為そのものを抑えにかかるのではなく、それ以外の行為を強化することで、相対的に“症状”を緩和することができるわけです。

ちなみに英文記事では、飼っているワシが飼い主であるあなたの頭の上に降りるというクセを克服したい場合、マットの上や足もとなど、頭の上以外に降りた時にのみエサをあげることによって、徐々に“頭上着陸”が抑制されるようになる、という事例が紹介されていました。