アウトライナーでタスク管理するなら必読の一冊



読後の感想は「なるほど!」というものでした。



アウトライナーを使い込む人ならたいていやっているあの操作を《シェイク》と名づけ、今度は《シェイク》で実際にタスク管理している様子を伝えてくれるという本なのです。

本書の「タスク管理」は「タスクシュート」に慣れ親しんだ人であればすぐにピンとくるはずです。実際のやり方としては「マニャーナ」の方が近いと言えますが、3者に共通しているポイントは随所にあります。

ですから、タスクシュートがうまくいかず、『マニャーナの法則』にもピンとこなかった人はぜひ、本書のやり方をそのままやってみましょう。その上で『マニャーナ』を読めば、違う視点を得ていることに気づくはずです。

「なぜいま私はこれをやるのか?」をたちどころに明らかにするのがタスク管理

「タスクシュート」も「マニャーナ」も、「1日分の仕事」と「割り込み」というものについて必ず検討させられる管理法です。私たちは、自分がやるべきことを知っていて、できるであろうこともだいたい知っています。

しかし私たちは、どんな風に予定を組んでも、仕事中に割り込まれる。生活を送っていても割り込まれる。もしかすれば寝ているときさえ割り込まれる。割り込みを廃絶することは、理想的かもしれないが現実的ではない。

割り込みさえなければ、仕事は理想的に進むものと、仮にしましょう。

そのうえでタスクシュートは割り込みを拒否する力をユーザにもたらすために、常に二つの視点を提供してくれます。

マニャーナのやりかたはもう少しマイルドで、「割り込み仕事は今日のリストには入れない。翌日のリストに書く」というものです。

一見これは「強い原則」のように見えますが、やってみるとそうではないことが分かるでしょう。なぜなら、実際にはそういうことはできないからです。

自分にとって理想的な原則を貫こうと「決意する」ことは、決して「強力な」やり方ではありません。このやり方は常に、自分と相手の権力差によって決定されるだけで、「決意する」というだけでは「決意の力」を増幅させてくれるものではありません。

それでも「マニャーナ」は「翌日」という紙を用意することで、「割り込みはそっちへ送ろう」という意志の力をサポートはしてくれます。実際にはそうできないかもしれないけれど、割り込んできた人間の権力が大したことがないなら、そうできる公算は大きくなります。

「いまやるべきこと」は常にリストの最上位に位置しているはず

では「アウトライン・プロセッシングLIFE」はどうやるのか?
それは本を読んで欲しいわけですが、鍵になる文章を引用すると次になります。

いつも当たり前のようにやっている「実行順のソーティング」とは、「すべてのタスク(DO)の相対的な優先順位を視覚的に表現したもの」だということです。

この原則は、タスクを終わらせても、割り込みが入っても、常に維持される原則です。だからこそ、「いまやるべきこと」は常にリストの最上位に位置しているはずなのです。

この原則と、上で述べた「1日分の仕事を先に決める」を組みあわせれば、理想的な成果が得られても得られなくても、少なくとも「自分は正しいことをやっている。間違ってことはしていない」とは言えるはずです。

言い換えれば、やるべきことのすべてが終わらないにせよ、現状が最大の生産効率であると言えるのです。この確信によってモチベーションを得て、この確信ゆえにむやみな焦燥感に駆られないように保つことが、タスク管理の決定的な成果ということになります。

結局この日のDOは5つしか終わらなかったわけです。それでも、割り込みDOはすべて終えつつ、ぜひやっておきたかった「福岡X調査の企画書」も完了しています。

「Z社から来ている見積書を検討」に手をつけたまま中断していることも「 ★」を見ればすぐわかります。

すべて終わらなくても気にする必要はありません。
少なくとも重要なことから先に終えているのですから。

私もよくタスクシュートのセミナーなどで、「それでも終わらなかったらどうするのか?」という疑問をいただきます。それへの私なりの言い分としては「最短ルートと信じられるルートを、自身の最高速度で走り抜けても間に合わなかったなら、他のルートを異なる速度で走ったところで間に合う可能性はゼロである」と。

「相対的な優先順位を視覚的に表現したもの」という点こそは、タスク管理の要です。

あるタスクがどれほど大事であるかは、並べて比較しなければ決して分かりません。割り込みタスクと朝一にやるプロジェクトのどちらが大事かという問いには一般論としては答えられず、割り込んできたヒトの態度や声の大きさやタイミングなどによって、そのときどきで変わるのです。

だからこそ「今日やること」をかっちりと決めて、その通りに進めていくことは必須です。にもかかわらず、割り込みゼロが理想であるにもかかわらず、割り込まれる。だからこそ「今日やると決めたこと」を犠牲にしてでも「割り込み」を許すかどうかを比較するために、「優先順位を視覚的に表現したもの」がなくては困るのです。



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