「仕事から逃げたくなった時に効く!気持ちを切り換える30の方法」をチャンキングするシリーズ。
今回は4つめのカタマリ。
4.現実を1ミリずらしてみる
(10)回りきれないほどの顧客訪問をしなければならない時 → 一筆書きで訪問順路を計画する
地図を片手に最も効率の良いルートを決めて、「ゲーム感覚」でこなしていくようにする、というアイデアです。
そもそも「回りきれないほどの顧客訪問をしなければならない」という状況を招く前に何とかしたいところですが、やむを得ず直面しているのであれば、つまり現実が固定化しているのであれば、動かせるのは自分の側ということになりますので、できうる限りの工夫をもって乗り越えるわけです(まぁ、個人的には1件でもキャンセルをして、“虻蜂取らず”を防ぐ方が良策だと思うのですが…)。
(24)外注した仕事のデキが悪くてやり直さなければならなくなった時 → 外注先のデキは「悪くて当然」と思え
(12)今日中に企画書・提案書を書き直せと言われた時 → 自分が満足しているかどうか、考える
こちらも、「外注のデキが悪い」「書き直しを命じられている」という、いずれも動かしがたい現実を突きつけられている状況において、受け止め方をシフトすることで解決を図る工夫です。
「外注」について、アソシエ本文には「自分と同じように仕事ができないのは当たり前」とあります。気休めかも知れませんが、自分が期待していた水準に達していなかったとしたら、それは期待過剰もしくは期待の伝達不足ととらえて、
自分の期待のほどを客観化して外注先に伝える
という対策を徹底するための教訓とするぐらいでしょうか。何度打ち合わせを重ねても、口先ではいくらでも期待をあおるようなことは言えてしまいますので(他意はなくても)、途中の段階でも成果物を出してもらって、両者のギャップを早期に埋めておく必要があります。
立場を入れ替えてみます。
僕自身は、逆サイドである「外注先」の立場で仕事をすることが多いのですが、気をつけていることは、
1.なるべく完成形に近いラフな形の成果物を早い段階で提示する
2.部分的でも完成しているものがあれば、それだけでも見てもらう
3.相手の期待が加熱していると感じたら、クールダウンする
おそらく家を建てるときの建築士と施主の関係に似ているのではないかと思います。最後までビニールシートで覆っていて、完成して初めて「はい、どうぞ」と見せたのでは
「こんな間取りになるなんて聞いてない!」
「そ、そんなこと、いまさら言われても…」
という取り返しのつかない問答が繰り広げられてしまいます。
特に、手で直接触れられないソフトウェアや原稿というデジタルな成果物を扱っている関係上、多少手間が掛かっても、実際にどんなものができるのかをイメージしてもらいやすいような資料を作るようにしています。
この資料は、以下の2つの意味で自分の役にも立ちます。
1.完成形に向けて作業を進めていく上で目標を見失わないようにする
2.「この資料を見ながら完成を心待ちにしている人がいる」という現実を忘れない
毎日のようにその仕事に関わっている自分なら当然分かっていることでも、初めて依頼してくる人には分かりません。当然不安だらけですから、分からない人の視点で「この資料に書かれていることしか分からない状態で待っているのか!」という自分の状況とのギャップを強く意識しておくわけです。
(17)上司や取引先のOKが取れず、仕事が進まない時 → お尻を見せる
本文では、「自分の思い通りに仕事を進めるためには、こちらの仕事のお尻(納期、締め切り)を見せるしかない。そうすれば相手はお尻に火がつく」と説明されています(実際にオシリをお見せするのではなく…)。
ただ単に「できません」「間に合いません」というだけでは、上で書いたような彼我の“情報格差”もありますから、簡単には納得してもらえないでしょう。
例えば外注の立場でお客側に「この日までに例の資料を用意しておいてください」といったお願いをする場合も、「この日」というのが仕事のスケジュール全体の中でどれだけ重要なのかを相手にも十分に分かっておいてもらうことで、「この日」を逃すと全体のスケジュールも遅れるのは当然だな、という納得が得られやすくなります。
(28)情報漏洩防止やセキュリティーなどの手続きや作業をバカバカしく感じる時 → もし情報漏洩したら…と考える
本文に「情報が漏れて、頭を下げて回ることになると、もっとバカバカしい」とあるように、目の前にある作業をやらないことによって、どのような状況を招くことになるのかを、なるべく具体的に想像することで、「バカバカしい」という現実を粉砕し、行動を後押しするわけです。
前回も「受け止め方をシフトして、発想の転換を図る」という内容ではありましたが、今回は特に「相手のあること」が課題となっています。つまり、自分の力ではどうすることもできないように見える状況に対して、それをほんの少しでもずらすための工夫と言えます。
ずらすことができれば、それまでどちらかが不自然な姿勢を余儀なくされていた状況が改善し、お互いの力をうまく出し合えるような、気持ちのよいポジションで仕事ができるようになります。
外注の立場であれば「こちらの都合ばかり言うようで気が引ける」という懸念があるかも知れませんが、そのまま無理に押し進めた結果、最終的な成果が相手の期待の水準に達しなければ、もっと大きな懸念を抱えることになります。
1ミリでもいいので、現実という“動かしがたい重い石”をずらしていくことで、自分はもちろん、一緒に仕事に関わる人にとっても楽しく仕事ができるようにしていきたいものです。