アメリカのウェブサイトではクリスマスに入る前のこの時期は一年を振り返るとともに、「次の一年を予想する」ことが恒例になっています。
先に申し上げてしまうと、こうした記事の多くは別に的中することを目指しておらず、どちらかというならば自分の希望をおりまぜながら並べて、来年の前半には読者のみなさんが忘れてくださっていることを期待する(笑)というものが多いようです。
この良き(?)伝統にのっとって、本連載でも来年の「Mac でシゴタノ!」な地平上に何が待っているのかを、予想してみたいと思います。
Mac タブレットがあらゆる業界を揺るがす
もはや止めようもなく広がっている噂が、Apple が開発しているとされているタブレット型のガジェットです。iPhone と同じようなマルチタッチ式のインターフェースをもった、7インチ、あるいは10インチ程度の液晶の機器が登場するのは、もはや自然な流れのような気がします。ですので、私もこの予想に1票。
ただし、タブレットは多くのメーカーが挑戦してきて敗北したものでもあります。「持ち歩きやすさ・使いやすさをどのようにデザインするか」という問題と、「どのような利用の仕方をするのか」という問題を解決しない限り、アップルがタブレットを発表することはないでしょう。
この2番目の点に関する限り、iTunes ストアをもっているアップルは他の企業よりも一歩先をいっています。タブレット Mac が音楽だけでなく、ビデオ、書籍、なども扱うことができるなら、大きな需要をうみだすことでしょう。
しかしタブレットがこうしたメディアを消費するだけの機器になるとは思えません。私の予想では、タブレット Mac はマルチタッチをさらに進化させ、アプリの力を借りてに楽器にも、画板にも、教育機器にも、医療機器にもなる、全ての人に何らかのユースケースが存在するガジェットという位置づけで登場するのではないかと思っています。
これによって、単に出版業界、音楽業界、テレビなどを売り出していた家電業界にとどまらず、多岐にわたる業界が動揺するのではないでしょうか?
第4世代 iPhone と iPhone OS 4.0 で Andriod との競争が激化
これは予想するまでもないことですが、iPhone が6月頃をめどにアップデートされることでしょう。しかし問題はむしろ外にあります。
Droid や Nexus One の登場で、にわかに活気づいてきた Android プラットフォームの勢いを止めるべく、Apple は同じく高解像度な機械と iPhone OS 4.0 で対抗しなければならないはずです。特に iPhone OS 4.0 はバックグラウンド処理やファイル保存を可能にして、Android との見かけ上の違いをなくしてゆくのではないでしょうか?
そうすることで、「Android 携帯を使うくらいなら、まだまだアプリの多い iPhone にしようか」という空気を生み出すようにするのではないかと予想します。
ユーザーにとっては、iPhone と Android の正面衝突は利便性をお互いに向上してくれてメリットがあるはずです。
Outlook for Mac の登場でオフィスでの Mac の利用が当たり前に
Outlook for Mac の登場はすでに告知されていますが、これが企業における Mac 利用の最後の防波堤を崩して、一気にオフィスでの Mac 利用が進むと予想するのは行き過ぎでしょうか?
実際、これまでこの連載で追いかけてきたように、オフィスにおいて Mac の利用をさまたげるものは少しずつ消えています。あとは流行を引き起こす最後のティッピング・ポイントになる出来事を待っているともいえるのです。
メール・スケジュール・アドレス帳は多くの人の仕事と生活の中心にあるものですので、それを Windows と同様の形で提供する Outlook for Mac は、多くの人が Mac にスイッチするためのティッピング・ポイントの役割を果すはず、と私は予想します。
Dropbox のようなサービスを買収して Mobile Me が急に魅力的に
このあたりが私の希望の織り込まれた予想です。
今のところ Mobile Me サービスは「革新的なクラウドサービスである」という宣伝の割にはあまり機能が無料の代替サービスにくらべて魅力的とはいえません。私のようなアップルを強く支持しているユーザーでも Mobile Me の魅力はほとんどなくなりつつあります。
これをアップルがほうっておくはずはありません。今なら、まだ Dropbox のようなサービスを買収することで iDisk を機能豊富にしてゆくなど、打つ手はあるように思えます。こうした発展に注目するのも、2010 年の楽しみかも?
まとめ
今回は Mac / iPhone の周囲をめぐるサービスやアプリのアップデートについて予想してみましたが、ハードウェアのアップデートに関する予測なども立てられており、なかなか来年も楽しみです。
来年もまた、一人でも「これから Mac」に移行できるように書いていきたいと思います。
▼最近気になっている一冊:
こんなことを書いてしまいますと身も蓋もないのですが、ビジネス書は私の普段の読書の大きな割合を占めません。厚みの割に内容が少なく、しかもすぐに古くなるからです。注意深く選ばない限り時間投資にまるで見あっていないのです。
そして最近は、その大きな割合を占めている他の本を読む時間さえありませんでしたので、年末はゆっくりとたまっていた読書を進めたいと思っています。心を休める本。修養を積むことができる本。いつ読んでも懐かしい本たちが私を呼んでいます!
今回はあえて「一冊」を選びはしません。みなさんへの宿題として、この年末に「自分に還る一冊」を選んでいただけるように、ぜひおすすめしたいと思います。
先日までサンフランシスコに出張に行っていましたが、さすがアップルのお膝元では日本以上に iPhone と Mac をみかけることが多くありました。特に出席していた学会会場では MacBook Pro の割合が非常に多く、あらためて研究者の間での Mac 人気を確認しました。
来年、同じ会場にいったらみんなタブレットを片手に歩いているのでしょうか? 想像するだけ、その光景が楽しみです。
▼堀 E. 正岳:
「これからMacを始めたい人」を徹底ガイド。Lifehacking.jp主宰。