「本気出せば1時間で終わる仕事なのに、2時間たってもまだ終わっていない」問題の原因と対策



シェアオフィスで休憩中に、同じくフリーランスの方と雑談していて、「本気出せば1時間で終わる仕事なのに、2時間たってもまだ終わっていない」問題が話題にのぼりました。

今回はこの問題の原因を分析したうえで、その対策を考えてみます。

まず、「本気出せば1時間で終わる仕事なのに、2時間たってもまだ終わっていない」問題とは、次のようなものです。

↓「漂流」問題については、以下の記事で詳しく書いています。

» 「漂流」の流れ着く先に


この問題の根っこにあるのは、

「何をやればいいのかが分かっているうえに、取りかかりさえすれば1時間で終わるという見通しが明確になっているにもかかわらず、その最初の一歩が踏み出せないのはなぜか?」

という問いです。

ボウリングでいえば、センターピンさえ倒せれば、あとは連鎖的に残りのピンも一気に倒すことができるのに、そのための最初の(そして同時に最後の)アクションである投球が行えない状態から、いかにして抜け出すか?

原因

何をすればいいのかが分かっていても、それに取りかかることによって、「現状という環境」は確実に変化します。

現状より良くなるなら良いのですが、現状より悪くなることもありうるとき、「今より悪くなるなら、今のままでいたほうが良いのではないか?」という選択肢が魅力的に思えてくるのです。

つまり、イチかバチかならゼロのままでいたほうが得はしないが損もしない、というわけです。

対策

冒頭の話に登場したフリーランスの方は、「本気出せば1時間で終わる仕事」に取りかかれずに、ひたすらTwitterやFacebookなど、どうでもいいことに時間を費やしてしまっていることがやるせない、と言っていました。

この問題の対策ですが、「本気出せば1時間で終わる仕事」のとらえ方を改めることだと思います。

「本気出せば1時間で終わる仕事」のセットアップのために30分のTwitterタイムが必要、ということにするのです。

例えば、Twitterに30分取り組んで、心が整ったところで「本気出せば1時間で終わる仕事」に取りかかるという手順を定めるようにします。

言い換えると「本気出せば1時間で終わる仕事」を「どんなときでも1時間半あれば終わる仕事」に書き換えるということです。

本気を出さなくても、むしろ最悪のコンディションのときでも、定められた手順に沿って手を動かしていけばいつもの成果が手に入るように設(しつら)えておくことで、要らぬプレッシャーを自分にかけることがなくなります。

「本気出せば~」という「自己ベスト」を基準にするのではなく、「自己ワースト」を基準に手順を組み立てておくと、もっとラクに仕事に取りかかることができると思うのです。

これを続けていくことで、Twitterを“アペタイザー”にしなくても、スッと“メインディッシュ”である本来の仕事に取りかかれるようになるはずです。

関連記事:

» 続けたい習慣は「儀式」にするとうまくいく

レシピとは、本来は「料理の作り方」ですが、「ある1つの成果物を作り上げるための手順」と解釈すれば、料理以外のあらゆる作業に適用できます。

特に、ひんぱんには行わないが、行う時には決まった手順と決まった成果を要求されるような作業には最適です。

たとえば、月末に必ず提出しなければいけない伝票の起票手順、急に必要になった始末書の書き方、目の前で急に人が倒れた時の応急処置の手順、などです。

定期的に発生するものもあれば、不意に発生するものもあります。いずれにしても、レシピを持っていれば正しい「儀式」が行えます。


» 損をしたくなければ「方法」は捨てる

選択肢が多い中で、後悔のない最良の選択をしたいと誰しもが思うでしょう。でも、いつまでも選んでいるわけにはいかないので、どこかのタイミングで、好むと好まざるとにかかわらず手近にある選択肢をとりあえずつかみ取って、次に進むことを余儀なくされます。

「もっといいチョイスがあったかもしれないのに…でも、それを確かめる時間も術も今はない」というモヤモヤ。これがストレスになります。

僕自身がもっとも気になるのは、方法を探している間は、行動は停止していることです。カーナビが「ルート検索中」のままクルマはアイドリング状態になっているようなものです。

最適なルートが見つからなければ、見つかるまで待つのではなく、とりあえず走り出してみる。そうすることで、“検索結果”も変わってきます。

カーナビがいつも正しいルートを示すわけではないのと同様に、方法も常に正解に導いてくれるわけではありません。ある時、ある条件で、ある人がやってみてうまくいった方法が、別の時、別の条件で、別の人がやってもうまくいくとは限らないのです。


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