出る出ると言われていましたが、ついに発表されました。クリスマス商戦に向けた新 Mac のラインナップが!
私はこれまでに iMac を3台、PowerBook、MacBook、MacBook Air と Mac Mini を1台ずつと、時代とともに何台もの Mac を乗り換えてきましたが、それでも新製品発表があるとわくわくしてなんだか店に足をのばしてしまいます。
いつの間にかちょっとマニアックな Mac の使い方に触れるようになっていた本連載ですが、本来は「これから Mac」、つまりはいまは Windows を仕事場で使っているけれども Mac にも手を出してみたいという人向けの「仕事場 Mac」についての連載です。
そこで今回はちょっと初心に返って、Mac を買ったことがない人のための独断と偏見に満ちた Mac 購入ガイドをまとめてみようと思います。年末にむけて初めての Mac を購入してみたいと企んでいる方、参考にしてみてください。
iMac 4モデルを選ぶ
アップルのコンピュータのラインナップは非常に明快で、プロユースだったら Mac Pro、普通に職場や自宅で使うデスクトップなら iMac、Windows マシンのディスプレイなどを活用するなら Mac mini とわかりやすくなっています。
ふつうに買う場合最も選ばれる選択肢が iMac だと思いますが、今回発表された iMac の場合、21.5 インチのディスプレイのモデルが2種類、27 インチのディスプレイのものが2種類あり、それぞれの違いは CPU の違いか、あるいはグラフィックカード・HDD の違いとなっています。
つまり iMac では 1. どれだけのスクリーンの大きさがいいのか?、2. 自分はムービーの編集などといったグラフィックと CPU を重視したアプリケーションをどれだけつかうのだろうか?、という二つの質問に答えが出れば、買うべきモデルが決まるというわけです。
主としてデスクワークに利用するのであれば、HDD の容量さえ気にならなければ、4つのラインのうち最も安い、「21.5 インチ 3.06GHz、500GB モデル」でも全く問題はないでしょう。
MacBook? Air? 自分に合ったものはどれ?
Mac の華はいまノートパソコンであるといってもいいほど、このラインナップには魅力があふれています。
若干値がはることもあって、安く済ませたいなら MacBook、もっとお金を使えるなら MacBook Air か MacBook Pro という風に紹介されることも多いのですが、実際に利用する視点からいうと次のようにならべたくなってきます。
スペックが似たものを並べてみてもわかるように、Mac のノートブックは基本的にパワーとともに重さが重くなり、拡張性が高くなっています。
実際、15 インチの MacBook Pro を持っている人に聞いてみると口をそろえておっしゃるのが「持ち歩くのは不可能ではない、でも前向きに持ち歩きたくなる重さとはいえない」という点です。逆に Air を持っている人で重さについて苦情をあげていた人はみたことがありません。
そこでちょっと極端ですが、私は知り合いに Mac のノートをすすめる場合には、その人が極度にグラフィックや開発を行う人でない限り、「どれだけ持ち歩いて利用するつもりなのか」を軸に判断するようにアドバイスしています。
この視点で選ぶと、よくパワー不足が指摘される MacBook Air などは、出先でどんどん書類に手を入れたり、ブログを書くのに最適なマシンということになり、MacBook、MacBook Pro になるにつれて、さらに別の用途で使う人向きということになるわけです。
オプションは? AppleCare は入るべき?
かつて Mac OS X が若かりし頃は、「Mac は出来る限りメモリを搭載すること」というのが暗黙のルールでした。メモリに投資をしておけば、それは実際のマシンのスピードとして何倍にもなって返ってくることになったのです。
現在でもメモリは大いにこしたことはないのですが、今回の iMac のラインナップをみていると 4GB のメモリが初めから搭載されていますので一般的な利用ではまず十分と言えるでしょう。
それよりも初めて Mac を購入する人にぜひ検討していただきたいのが AppleCare Protection Plan への加入です。
AppleCare Protection Plan は本体価格の約 10% の値段で3年間の製品保証と電話サポートが追加されるオプションですが、これがあるのとないのとでは、いざという場合にアップルの対応が大きく変わってきます。
私は今までに2回、ハードディスクの不調で AppleCare Protection Plan のお世話になったことがありますが、電話を一本いれるだけで製品の引き取りから修理、配送に至るまでがほぼ流れ作業で行われ、迅速に修理を行うことができた経験があります。
ただでさえストレスのかかる故障と修理作業による時間ロスを考えたなら、AppleCare に加入するのは非常に割のいい先行投資だと私は考えています。
新製品のタイミングって、わからないの?
アップルの新製品に関する口の重さで有名で、新しい Mac を購入した次の週に新製品が発表されてがっかりしているの話などをよく聞きます。これから Mac を買いたいと思ったときに、買うタイミングを見極めるのに利用できる情報源がいくつかあります。
まず、今回のように新しい Mac が発表される寸前になると急に在庫が少なくなり、配送が滞るなど、「新製品が近い」というシグナルが見えてくることが多くあります。こうした情報は Mac Rumors や Apple Insider といったアップルの噂サイトにいち早く紹介されますので、新製品に向けた動きがないことをチェックするのが大事です。
また製品はある程度予測のつくサイクルで更新されていることもわかっています。前回製品がアップデートされた日からの経過日数に従って「買うべき」「控えるべき」といった情報を載せてくれているのが MacRumors の Buyer’s Guide のページで、一つの目安として利用できます。
たとえば現在このページで Mac Pro を見ると、平均 236 日でアップデートするところ、今日までに 238 日が経過しているのでアップデートが近いと見て「買うのを控えるべき」というアドバイスが掲載されています。
まとめ
限られた文字数で Mac に対する愛を語り尽くすのは無理がありますので、今回は「オフィスで利用する」という視点で強引に一刀両断にしていますが、実際に探す際にはディスクをどれだけ利用するか、グラフィックカードはどれがよいかという視点ももっていただければと思います。
しかし最後の一押しとなるのは、「Mac、試してみようか?」という好奇心です。
Mac ユーザーになった知り合いの人の多くに聞いてみると、「ずっと迷っていたけど、買ってみたらなんで今まで迷っていたのかわからない!」「もっと早く手を出しておけばよかった!」という声を多く聞きます。
次回はそんな「最後の一押し」になるべく、気になる BootCamp を使った Windows 環境との共存、Pararells や VMWare Fusion による仮想化が仕事で本当に「使えるのか」という所に踏み込んでいきたいとおもいます。
▼最近気になっている一冊:
研究所勤務の私でも、大学の学生さんとは縁が切れません。11 月も近くなると、寒さの訪れとともに「卒業論文」の四文字を多く聞くようになります。シゴタノ! の読者のみなさんはもうとうの昔に卒論を書いたという方が多いと思うのですが、しかし日々の仕事で同じようなプレッシャーを感じることも多いのではないでしょうか?
それは、「考えていることがなぜそのまま文章にならないのだろう」という苦しみであることが多くあります。膨大な情報を一つにまとめて、首尾一貫とした文章にするのは、単に文章力だけの問題では片付けられない「考えを文章におきかえる技術」が関係しているのです。
そうした技術を教えてくれる本として、私がよく卒論に迷う学生の横にさりげなく置いていたものに、板坂元「考える技術・書く技術」「続 考える技術・書く技術」があります。
本書は 36 年前に出版されたものであるにもかかわらず、「情報から考えを」「考えから文章を」引き出すための具体的なテクニックが書かれた本として今も輝きを失っていません。ペンをキーボードに、情報カードを Evernote に置き換えるだけで、奇妙に現在的な本として読めるのです。
特に「続 考える技術・書く技術」の4章、5章はわかりやすい文章を書くための構成方法、パンチラインのきかせかた、比喩の作り方といったテクニックから、時間管理に至るまで非常にライフハック的な内容になっています。
近年出版されている「文章法」の本には、ワープロ世代の手軽さがにじみ出ているものが少なくありませんので、時にはこうしたペンだこを作り、インクで手のひらを汚していた時代の骨太な文章術の本に目を通すのもいいかもしれません。
先日発売した 『iPhone 情報整理術』はみなさまのご支援もありまして、発売と同時に Amazon では即日完売し、現在も書店では品薄状態が続いています。現在、増刷、再増刷がかかって Amazon と書店の品薄を一気に解消すべく印刷所の方が尽力してくださっていますので、発売日に手に入れられなかったかたの手元にも近いうちにお届けできると思います。感想などお待ちしていますので、ぜひ Twitter でお寄せください!
▼堀 E. 正岳:
「これからMacを始めたい人」を徹底ガイド。Lifehacking.jp主宰。