先月、雑誌『プレジデント』さんにiPhoneの記事を寄稿させていただきました。テーマは「年収2000万の手帳術」。手帳と年収の関係がどの程度のものなのか、ツッコミどころもありそうですが、「プレジデント」の「手帳特集」だけに、たくさんの手帳が掲載されて華やかです。2010年も手帳を購入する予定なら、一読して決して損はないでしょう。
デジタル×アナログ=?
これまでも何かと話題になってきた「アナログとデジタルの融合」について。「手帳」というのは象徴的なしろものです。
たとえばiPhoneのことを考えてみても、「手帳」の機能とかぶるところはたくさんあります。というよりも、機能だけを取り出して考えれば、手帳ではできるが、iPhoneではできないというようなことは、ごくわずかしかありません。無理をすれば、ほとんど何もないと言ってもいいでしょう。
それでも手帳を使うとすれば、何のためか? もちろん、iPhoneなどのデジタルツールを持っているという前提での話ですが、持っているなら、それでも手帳やロディアやモレスキンなども持つのは、何のためか?
これは一考に値する問いです。目的は1つなのに、ツールがふたつあると、情報が分散して、状況が悪化します。元来記憶や思考を整理するために道具を使うのに、道具を使うことによって、記憶や思考に混乱をもたらしかねないのです。「デジタルとアナログの融合」という問題を考える際には、「棲み分けの問題」をぜひとも、解決しておく必要があるのです。
もちろん、問題の解決方法はいくつか考えられます。デジタル側の用途と、アナログ側の用途を、完全に分離させるのもひとつの手ですし、アナログのデータは何らかの形でデジタルにもすべて保存されるようにする、というのも一法です。
アナログの利点は「書きやすいこと」
これはきわめて個人的な見解ですが、現段階でも残っているほぼ唯一の「アナログノートのメリット」は、「書き取りやすいこと」です。読む方に関しては、暗がりでは読めないので読み取りやすくはないですし、「字が汚い」人も、あとで読み取りにくくなります。
また、アナログツールは「全文検索」などできません。アナログツールとは入力に向くのであって、出力には向かないのです。『プレジデント』でも「手帳」のメリットとして強調されていたことは、
・いつでも書けること
・自由に書けること
この二点でした。どちらも「書くこと」あるいは「描くこと」なのです。
このことを念頭におくなら、たとえばiPhoneへのフリック入力などがどの程度得意かによっても、持ち歩くべきアナログツールは変わってくるかもしれません。さらに、アナログに記録したものを保存しておくかすぐに捨ててしまうか、あるいはiPhoneのカメラで写真を撮ってから捨ててしまうかによっても、変わってくるでしょう。
あなたの常用するデジタルツールとは何でしょう? iPhoneですか? ブラックベリーですか? 携帯電話ですか? ネットブックですか? それによって、2010年に持ち歩く「手帳」も変わってくるはずです。また、どんなデジタルツールを持ち歩くかだけではなく、そのツールによって「やりにくい」と常日頃から感じていることはなんでしょう? それによっても、購入する手帳が決まってくるはずです。
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本日から、『iPhone情報整理術』が都内大書店で、テスト販売を開始するそうです。私は非常に残念ながら、乳飲み子を抱えていて都内にめったなことでは出かけられません。
もし、書店を見回った際に拙著を見かけるようなことがありましたら、ご一報いただけるとうれしいです。