前回の続き。
時間に責任を持つためには以下の2つがポイントである、と書きました。
1.大きなタスクをすぐにできる小タスクに分割する
2.分割した小タスクごとに必要な時間を割り振る
「企画書の作成」といった、そのままでは時間を見積もるのに手に余るような大きさのタスクは、実際の作業時間が想像できるレベルにまで分解することで、「えいやっ」ではない現実的な時間見積もりができます。各小タスクの見積時間をすべて積み上げたものがタスク全体の見積もり時間となります。
今回は、小タスクに分割するためのコツです。
大きなタスクを小タスクに分割する際にポイントとなることは、小タスクごとの完了基準を明確にすることです。例えば、前回の例で言えば、
1.Fさんに話を聞くための質問をまとめる
→ □質問シートを作る
2.Fさんに質問内容をメール&アポ
→ □Fさんへのメール送信を完了し、打ち合わせ日時を確定させる
3.Fさんと打ち合わせ
→ □打ち合わせが終わる
4.Fさんとの打ち合わせのメモをまとめる
→ □打ち合わせメモの作成が完了する
5.メモをもとに企画書の章構成を決める
→ □章構成リストの作成が完了する
6.章構成の中で不明点や要調査点をリストアップする
→ □不明点リスト・要調査点リストの作成が完了する
7.不明点の解消と調査の実施
→ □リストをもとに調査が完了する(調査結果のドキュメントの作成が完了する)
8.章構成と各章に盛り込む要素の最終確認
→ □章構成リストと、それぞれの章に盛り込む要素とを関連づける
9.章構成に従ってPowerPointでスライドを作成
→ □8をもとにPowerPoint資料の作成する
10.校正とブラッシュアップ
→ □誤字脱字の確認と表現やデザインの工夫を施す
ということになります。
各小タスクをできるだけ「目に見える何か」を作る作業として再定義しています。こうすることで、どこまで完了したのかがわかるようになるため、残り時間は、未完了の小タスクに対して見積もられた時間の合計、ということになります。ちなみに、文頭の□マークはチェックマークを入れるためのハコで、このリストを印刷しておき、小タスクが終わるたびにチェックマークを入れていくことで進捗と残作業を把握することができます。
翌日以降に作業がまたがる場合でも、どこまで完了していてどこからが未完了なのかが明確になるため、翌日もスムーズに再開することができます。
翌日に繰り越すタスクがどれくらいの時間が必要なのかも明らかなため、翌日に十分な空きがあれば、今日は安心して帰宅するなり飲みに行くなり、できます。
小タスクに分割したとしても、例えば「企画の概要を検討する」など完了基準を明確にしていなかったり、打ち合わせ前準備(質問シート作成)や後処理(打ち合わせメモ作成)が漏れていると、作業設計上の欠陥となり、実際に作業に入った後に必ず支障を来します。
仕事に入る前に、実際に作業する時のことを想像しながら、想定される必要な小タスクを可能な限り漏れなくリストアップすることで、仕事に入った後に立ち止まったり考え込んだりする時間を省くことができます。一直線に進めることになるため結果として早く仕事を終えることができます。
ここで、上記のリスト8の「盛り込む要素」に下線がついています。このリストには「盛り込む要素」の作成ステップが漏れているために、このままでは8の段階で作業が止まることを意味しています。そこで、7と8の間に以下の小タスクを追加します。
●調査結果のドキュメントを参考にしながら章ごとに盛り込む要素のドラフトを作成する
こうして、一連の小タスクを上から順番に確認していくことで事前に作業のモレや重複を発見できるため、これらを取り除くことによって、安心して作業に入ることができます。
<タスク分割のコツ>
分割した小タスクごとに完了基準を明確に決めておく。