健康の秘訣は夜に仕事をしないこと

By: Alisha VargasCC BY 2.0


EvernoteとiPhoneなどのスマホが普及してからライフログというものが非常に身近なものとなりました。毎日の食事を記録したり、睡眠時間を記録したり、やろうと思えば一日の時間の使い方を詳細に残すこともわりと容易にやれます。

で、これをどうするか?

もちろん一年前に行った場所を思い出してニヤニヤするというのもいいでしょうが、そもそもなぜ「ニヤニヤする」のかと言えば、それは思いかえしてみても悪くない思い出だからでしょう。

思いかえして悪くない思い出に包まれている人は幸福です。しかしその反対の時間の使い方をせざるを得ないという人も大勢居るはずです。

よい経験を得て、よい感情で時間をたくさん過ごしている人と、そうでない人とでは、どんな違いがあるのでしょう。今はそういう研究もかなり広範囲に、かなり正確に実施することもできます。

参加者たちには携帯用のパソコンを持ち歩いてもらい、一日の間(あるいは数日間)に何回か指示がでるようにし、その指示が出た瞬間、直ちに一連の質問に答えてもらう。

これはほとんどライフログでしょう。同じような実験がしたければ、自分のiPhoneのDueなりに「今どんな気持ちか?」とか「今誰と居るか?」などといった質問を出してもらって、それに答えていけばいいわけです。

答えはすぐに蓄積され、自分自身の「幸福度」や「幸福だと感じる時間にやっていること」が割り出せるはずです。

時間の使い方とその影響

先の研究では、感情的な状態(快不快、幸不幸など)はどうやらコルチゾールの値に影響を与えるということが判明しました。コルチゾールの値は、ストレスレベルに相関する生理的な数値です。

最も低い人と最も高い人とのコルチゾールの値の差は、32.1パーセントだった。これは大変大きな差で、何ヶ月、何年という間には、健康上のリスクを引き起こしかねない。

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(下記はもとの研究論文の同一の箇所。上記引用は『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』より)

The relationship between reduced cortisol and positive affect is potentially relevant to health. Cortisol is a key stress hormone related to a range of pathologies including abdominal obesity, Type 2 diabetes, hypertension, and autoimmune conditions (34, 35). The average difference in cortisol of 32.1% between the lowest and highest happiness quintiles is substantial and might contribute to health risk if it persists over months or years.

» Positive affect and health-related neuroendocrine, cardiovascular, and inflammatory processes

となると、どういった時間を増やせば「健康上のリスクを小さく」できるのかということが気になるわけですが、答えだけなら非常に簡単です。

だいたいにおいて、夜に楽しい人づきあいをすればいい、ということになります。この理由はおそらく、夜になると認知資源が減ってきて、疲労を余計感じるので、この時間にはリラックスした方がいい、ということです。夜に仕事が立て込んでいる人は要注意ということになります。

こういう時間を増やすとなれば、反対に減らさなければならない時間があります。それが「仕事の時間」と「通勤時間」です。この2つの感情面におよぼす影響は極めて悪いようで、特にお昼を過ぎてからは急速に悪化します。

問題はもちろん、このような方針を立てたとしてもタイム・マネジメントは容易でないということですが、方針をはっきりさせた上でやはり「ライフログ」を残し、「幸せでない時間」をいかに減らすかに腐心すれば、結果はだいぶ違ってきます。

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