ずっと Windows に慣れ親しんできた人の中にはこんな疑問をもっている人もいるかもしれません。
Microsoft Office が移植されていて、Windows と同じくらいに仕事ができるからといって、わざわざ Mac に移行したくなる積極的な理由はあるのか? というのは当然気になる点だと思います。
そこでぜひ注目してもらいたいのが「Mac における GTD・タスク管理ソフトの充実ぶり」です。
GTD サミットの開催を来月 来週に控え、最近また人気が高まっているデビッド・アレン氏の Getting Things Done ですが、話題になり始めた当初から Mac には多くの GTD アプリが存在しました。
当初はアプリがありすぎて選ぶのが大変でしたが、最近は目的に応じていくつかの定番アプリが存在しますので、今日は Mac で仕事を加速してみたいと考えている人向けにいま話題の GTD アプリ5つを紹介してみたいと思います。
GTD アプリって何をするものなの?
ところで、そもそも一般の ToDo リストのアプリに比べて「GTD に対応した」と称しているアプリは何をするものなのでしょうか? 明確な定義があるわけではないのですが、おおむね次の3つが実装されていれば GTD に対応していると言えそうです。
- 瞬時にタスクをキャプチャーできる: 頭のなかに「やらなくてはいけないこと」が思い浮かんだ瞬間にそれをとらえることのできるクィック入力などの機能がある
- プロジェクトとアクションの区別: GTD では2つ以上のタスクが存在する「やるべきこと」はすべてプロジェクトと呼ばれています。こうした複数のタスクが集まった「プロジェクト」を管理できることが、GTD アプリの一つの特徴です
- コンテキストに対応: タスクを場所などのコンテキストでゆるやかに束ねて、「家でやること」「PCの前でやること」と場所ごとのタスクを見やすくできます
この3つを楽にしてくれる高機能な GTD・タスク管理アプリが Mac にはいくつかあります。一つずつみていきましょう。
1.OmniFocus
Mac 上で数々の素晴らしいアプリを開発している Omni グループの OmniFocus は GTD アプリのスタンダードといってもいいものです。
OmniFocus の最大の特徴は「プランニング」と「コンテキスト」の二つのモードを使い分けることができる点です。たとえば「友人に結婚祝いを送る」というプロジェクトに「お店でプレゼントを買う」というタスクと「家でカードを書く」というタスクがあるとします。OmniFocus のプランニング・モードではこの二つのタスクをふつうのアウトライン・プロセッサのように箇条書きにして入力していきますが、ここでそのタスクを実行する「場所」「場面」を同時に入力しておけば、「コンテキスト・モード」を使って「家でやること」「出先でやること」のリストを一瞬で表示することができます。
また、一方のタスクがもう片方に依存していたり(例:プレゼントを買ってからでないとカードをかけない、など)、ある日付にならない限り実行できないタスクを非表示にしておくなどといった、「時間」「場所」「順序」に依存したタスク管理を簡単に行うことができます。
慣れてくると、膨大なリストのなかから「オフィスで 15 分だけ時間が空いたときにできるタスク」や「三日以内に手を付けておかなくてはいけないタスク」といったタスクの一部だけを表示して、そこに集中することが可能になります。
OmniFocus には複数の Mac とタスクを同期させる機能もあるおかげで、場と家と出先で違うマシンを使っていてもまったく意識することなくタスクを持ち運ぶことができる点も便利です。また、高機能な iPhone 版のアプリケーションも存在して、母艦で入力したタスクはすべて持ち出せます。
(OmniFocus の動作については詳しい動画がホームページにありますので、そちらもご覧ください)
2.Things
OmniFocus の対抗馬として最近注目されているのが CulturedCode の Things です。OmniFocus が GTD に忠実に作られているために、若干複雑なのに対して、Things はほぼ同様の機能をスリムな形で実現しています。
Things はタスクに詳細な情報を追加しなければただの ToDo リストのように機能しますが、「タグ」の部分に「家」「職場」「重要」「15以内」といった情報を自由に入力することによってゆるやかにタスクを束ねたり、管理することが可能になります。
UI も洗練されており、プロジェクトやタスクが多数になってもあまり負担を感じさせないのも Things の良いところです。
Things はまだ複数の Mac で同期させることはできませんが、高機能な iPhone アプリがありますので、タスクの持ち運びにはこちらを利用することができます。
3.TaskPaper
そんな人にぴったりなのが、フルスクリーンエディタの WriteRoom を作っているHog Bay Software の TaskPaper です。
TaskPaper はほとんどテキストファイルといってもよい一枚のウィンドウのなかに箇条書きにプロジェクトとタスクを入力するアプリです。まるでテキストファイルを書くようにタスクを簡単に入力できますが、タスクの消去、並び替え、簡単なタグを付けての整理も行えるので、見た目以上に便利です。
4.ActionGear
あまり話題になっていないのですが、TaskPaper の気軽さに、Things のミニマルで美しい UI を足し併せたようなアプリが ActionGear です。
ActionGear はふだん画面上部の Mac OS X のメニューバーに隠れていて邪魔しないようになっていますが、クリック一つで Growl を通して「次のアクション」を表示したり、スクリーンキャプチャでタスクを追加することが可能になっています。
タスク追加画面は Things に似ており、「グループ」と「タグ」という2軸でタスクを整理することが可能になっています。
使い始めてみるとこの Growl によるタスクの表示がなかなか気持ちよいといことに気づきます。「次はなにをすればいいの?」とアプリにむかって聞くと「これをしよう」と答えてくれ、なぜかやる気がわいてくるアプリです。
5.Anxiety
Anxiety は目立たない半透明のウィンドウにすべてのタスクを表示していますが、その内容はリアルタイムで iCal / Mail とシンクロしていますので、ここに入力したものはすぐに iCal / Mail に反映されますし、逆もしかりです。
TaskPaper と同じで非常にミニマルな機能を提供しているのに、カレンダーとシンクロしているだけで面白いほど便利になるのが特徴です。また今日紹介したアプリのなかでは唯一無料で利用できます。
おわりに
Mac で仕事をしている人はよほど勤勉なのか、それともその逆なのかはわかりませんが、作業の見通しをリアルタイムに入力して楽にさせてくれるアプリケーションがこの他にもたくさんあります。
Windows マシンとの間でタスクを共有しなければいけない場合は Remember the milk や GMail Labs のタスク機能などのブラウザを使った選択肢もありますが、OmniFocus や Things には一度触れると手放しがたい魅力があります。
身近にこうした GTD アプリを使っている人がいるなら、ぜひ動いているところを見せてもらってください。でもうっかり触れてしまうと、Mac がほしくて仕方がなくなってしまうので、要注意(?)ですよ!
▼堀 E. 正岳:
「これからMacを始めたい人」を徹底ガイド。Lifehacking.jp主宰。