ベック君予定を棒に振る
ある休日の朝、ベック君は手帳に向かって明日の予定を書き込んでいた。
7時 起床、ジョギング
8時 朝食、新聞読む
9時 掃除しつつ洗濯
9時半 家を出て駅前のTSU×AYAへ返却期限がきているDVDを返しに行く
10時 カフェで勉強開始
12時 昼食
13時 区役所に行って印鑑登録
14時 美容室
15時 歯医者
16時 渋谷に移動
17時 ラシタさん主催の勉強会へ参加
19時 懇親会
ベック君:よし、完璧。明日は早く起きるぞ−!!
それは唐突に訪れた。
午前4時ベック君は猛烈な吐き気におそわれた。
そこから先の記憶はない。
トイレの住人となって1日の半分をトイレで過ごした。
ベック君:もう駄目かも知れない・・このまま誰にも気づいてもらえずトイレの中で衰弱して最後には・・・
などと、弱気なことを考えるベック君。
薄れ行く意識の中でかすかな声が聞こえてきた
マスターノキバ:この薬を飲んでください。大丈夫です、それぐらいじゃ死にはしません。
最初は幻聴と思ったが、トイレから這い出てみるとこたつの上に“ラッパのマークのあの薬”と“真空パックされたおかゆ”と“アルカリイオンなスポーツ飲料”が置かれててあった。横にメモ書きが置かれていた・・・
□ まずは正×丸を飲んで症状を緩和する
□ 脱水症状にならないようにポカリ×エットを飲む
□ 落ち着いてきたら胃にものを入れるためにおかゆを食べる
□ ラシタさんの勉強会にいけない旨連絡する
□ ウイルス性の食中毒の可能性もあるので病院に行く
□ たまには故郷(クニ)のお母さんにも連絡しましょう
(一人暮らしの病気というのは非常に危険ですから。)
□ お代をバーMHに払いに行く(後日でいいですよ)
丁寧にチェックリストになっていた。
まずは正露丸を飲むことにした時すでに13時。
少し落ち着いてからふと手帳を見返したのが15時。
ベック君:あ・・・DVD延滞しちゃった。。
ベック君は手帳の空きスペースにマスターが置いていってくれたチェックリストを貼り付け、そこにTodoを書き足した。
□ TSU×AYAにDVDを返しにいく。
手帳に書かれた今日の予定を見て切なくなったベック君は途方に暮れながらもラシタさんに電話を掛けた。
手帳術のビギナーズハック
さて、前回は(半ば趣味で)現在市販されている様々な手帳をご紹介致しました。今回からは複数回に分けて手帳の使い方について取り上げてみたいと思います。ここ最近ストーリーと後半の記事がリンクしていない疑惑が持ち上がっているビギナーズ・ハックですが、ここで少し原点回帰。
■ ベック君の悪かった点、良かった点
今回のベック君のスケジュール管理、タスク管理に課題を求めると
- 予定を詰め込みすぎた
- タスクのスケジューリングが厳密すぎた
の2点にあります。
例えば、予定を詰め込みすぎると何かしらのトラブルに巻き込まれたときにリカバリーできなくなってしまいます。予定を入れるときも、タスクの見積もりを行うときも必ずバッファは確保すべきです。
また、タスクのスケジューリングが厳密すぎるのもひとつの躓きが後工程に影響してしまいますし、「今はBlog書く気分じゃないけど掃除ならできる」という時に、ガチガチの予定をいちいち書き換えるのも面倒ですよね。こういう場合、例えば2時から4時の間にこれだけの作業を行うと、時間帯を区切ってその中で何をやるかを決めておくタスクシュート方式のタスク管理が良いかも知れません。
ただし良かった点も1つあります。
それは「手帳に予定を書き込んでいた」ことです。
この当たり前のことが、実はとても重要なのです。今回ベック君は「駅前のTSU×AYAへ返却期限がきてるDVDを返しに行く」という予定が手帳に書き込まれていたが為に、食中毒という極限状態にあっても「DVDを返しに行かなきゃ」ということに気づくことができました。
もしもマスターノキバがリストに挙げていなかったとしても、ラシタさんの勉強会を欠席する連絡を漏らすことも無かったでしょう。勿論、平常時であれば手帳に書かれていなくても大体は覚えていられるかもしれませんが、果たして今回のベック君の様な極限状態に追い込まれた際でも覚えていられるでしょうか?
■ 隙間時間を有効に活用する
例えば、予定と予定の間にバッファを設けた場合、ぽっと5分〜30分の空き時間が出来ることが良くあります。その時のために、○○分あったら出来ることリストを作っておくと良いでしょう。隙間時間を埋めることを考えてスケジューリングを行うより、バッファをとってスケジューリングを行った上で、隙間時間が出来たときにできることをリストアップした方が余裕を持ちつつ、時間も有効活用できると言えるでしょう。
○○分でできることの例としては以下の様なものが考えられます。
5分あったらできること
- 手帳を開いて今日の予定を見直す
- 今日の出来事を手帳に記録する
- 名刺を5枚スキャンする
- ブログのネタを2,3考えてみる
- 英単語を5つ覚える
- 気晴らしにTwitterをやる
15分あったらできること
- 頭の中を棚卸しする
- タスク/スケジュールを整理する
- ブログの下書きを作成する
- 英語や資格の勉強をする
- 本を読む
■予定を書き込んで置くから実績との比較や組み立て直しが出来る
先ほど「余りガチガチにスケジューリングしすぎるのは良くない」ということを書きましたが、だからといって「時間が出来たらやる」といった類のタスクは実行に移されないことが多いのもまた事実です。ここのバランス感覚は非常に難しく、人によって「快/不快」のレベルも違うのではないのも事実でしょう。
ここでは私の例を挙げてみたいと思います。
私はまずは手帳にその日1日の行動の軸となるスケジュールとタスクを書き込んで、随時見直しを掛けながら進めていく方式を取っています。朝一にその日の予定とタスクを書き出し、タスクに緊急度と重要度から優先順位を振った後に荒い粒度でスケジューリングしていきます。
しかし、会社業務は往々にして予定通りに進まないものです。割り込みの仕事は入るし、会議は予定通り開催されないし、約束された時間に資料が出てこないなんて事もざらにあります。ただ、それを嘆いていても始まらないので、予定が崩れればその都度立て直しをかけていきます。(※)
上の絵で行くと、スケジュール欄の黒字が計画で、赤字が見直し後の予定もしくは実績となります。タスクは1日の途中で優先度の振り直しを行って、優先度の高いものには赤色、今日中に終わらせたいものは青色、明日に回しても良いやと思うものは緑色の戦を引きます。
具体的なやり方は人それぞれだと思いますが、共通するポイントは以下の2点です
- 予定を書き込んでいるから組み立て直すことができる
- スケジュール/タスクの管理は組み立て直すことを前提とする
※また別の機会に書きますが、私のほぼ日カズンのデイリーリフィルは、そんな予定通りに進まない業務を乗り切る為の仕掛けをいくつも施しています。勿論、自分発の要因(集中力の欠如、雑念を抱く、グダグダいつまでもやらない)に対しても有効に働きます。
■色々な手帳術が存在する
私はフランクリン・プランナーを使っていたこともあって、7つの習慣の考え方に沿って手帳を使うのがやりやすいと感じています。ただ、ガッチリ目標、価値観、ミッションというものと向き合うのがどうも苦手で、もう少しゆるめの目標設定シートを自作したり、手帳もほぼ日カズンを使ってみたりと自己流のアレンジも加えています。先ほど挙げたデイリーリフィルの使い方などもあまりフランクリン的とは言い難いかもしれません。
また、それと同時にiPhoneやクラウドツールにもとても興味があり、それらを如何に活用していこうかと日々試行錯誤しています。例えば、リマインダーを設定しておきたい予定や、外で確認する必要がある予定についてはほぼ日カズンから全てGoogleカレンダーに転記していますし、タスク管理は基本Toodledoで行って、デイリータスクリストのみほぼ日カズンに書き出す・・といったところです。
あくまで上記は私の例ですが、、世の中には色々な手帳術が存在します。手帳の運用フローも違えば、リフィル構成も異なります。今回は大分と私の例に偏ってしまいましたが、次回以降はもう少し広く色々な手帳術を紹介できればと思います。
ちなみにですが、私の手帳の使い方は以下の3冊がベースになっています
その他にもフリーフォーマットのノートでセルフマネジメントをする以下の本も参考にしました
iPhoneをもっと手帳の代わりに使えないかということでこの本を読みました
■次回はデジタル/アナログ手帳術
今回は手帳術シリーズのはじめということで、やや私のやり方に偏った内容となってしまいました。
このシリーズの目的は皆さんが2011年の手帳術を構築する際のヒントを提供することですので、次回以降は様々な手帳術を紹介できればと思います。前回、今回とかなりアナログよりのお話をしてしまったので、次回はデジタルガジェットを連携させたデジタル/アナログ手帳術をテーマにお送りしたいと思います。
▼今週の一冊
先週の土曜日に「Facebook完全活用術ステップアップセミナー」というセミナーを行いました。「Facebook完全活用術」の著者である佐々木和宏さんと知り合いだったと言うこともあって、東京ライフハック研究会主催という形で準備やら運営やらを諸々お手伝いさせて頂いた形となりました。
内容は非常に濃くて、今まで知らなかったFacebookの活用法を沢山学ぶことができ、参加者の方々からも非常にご好評頂きました。来年以降も第2弾、第3弾をやっていければと思っています。
Facebookに興味をお持ちの方はまずはこの本を読んでみてください。基本的な事は勿論、Facebookの高度なコミュニケーションツールの使いこなし術やファンページ、グループページなどの違いなど、Facebookを使っていて「?」となるところを丁寧に説明してくれている素晴らしい一冊です。
先週はFacebookセミナー、この土曜日はシゴタノ!総決算、更に日曜日は東京ライフハック研究会と何だか慌ただしい感じの年末進行状態です。
19日を終えれば今年一杯大きなイベントもないので、後は粛々と家族サービスに励みたいと思います(^^;
流石に3週連続となるとしつこい感もあるので、ひっそりと告知します。実は今日が締め切りになってしまうのですが、12月19日(日)の東京ライフハック研究会Vol4の参加者募集中です。
» 12月19日(日) 13:30~ 東京ライフハック研究会Vol.4 @目黒
同日開催する忘年会もよろしく! あの方々も来られるとかなんとか!?
▼北真也:
仕事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog「Hacks for Creative Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。