成功したい? 失敗したくない?

カテゴリー: 発見の記録



人は「成功したい」というより「失敗したくない」と望んでいるのではないか。

ここ数年ほど、朝食と夕食は自宅で質素に済ませる代わりに、散歩がてら外食する昼食は華やかにしようというメリハリをつけている。

おのずと入念なリサーチを重ねることになる。

そこで気づくのが自分の知りたいと思っている情報がなかなか見つからないこと。

「おいしい」という情報は簡単に見つけられるものの、もう少し踏み込んで、具体的にどう「おいしい」のか、そして「実はここがイマイチ」という、自分が不安に感じている負の側面にまで言及する情報は少ない。

ここで、入念なリサーチを通して求めているのは「おいしい」(=満足できる)かどうかではなく、「後悔せずに済む」(=失敗せずに済む)かどうか、その「保証」なのだということに気づく。

そんな中、「実食調査」を異様に詳しくレポートするブログが目に留まるようになった。

進撃のグルメ」というブログで、「毎日、デカ盛り、大盛り、おかわり自由、食べ放題のお店を世界一詳しく紹介」と謳っているように、レポート対象には偏りがあるのだが、それゆえにそこに熱量が生じる。

リサーチ中に、あるいはリサーチ中でなくとも、このブログの記事が目に入ると、特に興味のないメニューであってもついつい読み始めてしまう。

2年前になるが著書も出しており、遅ればせながらさっそく読んでみた。

一読して、冒頭に書いた以下の仮説の正しさに気づかされた。


「人は救われたいとは思っていない」

とりわけ膝を打ったのが以下のくだり。

「人は救われたいと思っていない」からこそ、私のブログは、できるだけ客観的に書いています。「これがオススメ」「絶対食べたほうが良い」という文章よりも、実際の店舗で提供されるリアルな料理の画像をたくさん載せて、読者自身が判断できるブログにしたほうが効率的と考えているからです。
何かを調べたり、詳しくなったりすると、自分でも気づかないうちに、「アドバイスしてあげよう」「救ってあげよう」という上から目線になりがちです。
しかし、信頼関係のない人からおすすめされたりアドバイスを受けたりしても、響くはずがありません。むしろ嫌われます。
だからブログでは、できるだけ客観的に、淡々と普通の文章を書きます。

中でも

自分でも気づかないうちに、「アドバイスしてあげよう」「救ってあげよう」という上から目線になりがち

という一文は情報発信に携わっている人にとっては耳の痛い指摘であると同時に福音でもある。

著者も「できるだけ客観的に、淡々と普通の文章を書きます」と書いている通り、背伸びすることなく「ありのままの自分」で臨めばいい、というアドバイスとしても受け取れるから。

できるだけ伝わる、理解されやすい文章を書くための心がけとして、「とはもの」を使わないようにしているという福岡伸一は『ゆく川の流れは、動的平衡』の中で次のように書いている。

なるべく「とはもの」を使わないようにする、ということ。DNAとは? この言い回しで始まる説明が、“とは”もの。たぶんマスコミの業界用語だ。「とはもの」で始めた時、語り手は、そのことを熟知した者として、不可避的に上から目線となり、啓蒙的な口調になる。
ところで私の趣味はスキー。大人になってから始めたので苦労続き。スキー場では、インストラクターが華麗なお手本を見せた後、私がよろよろ滑っていくと、彼はため息交じりに「なんでこんな簡単なことが伝わらないのかな」という顔をする。私は心の中で思う。それはあなたがどのように上達したのか、そのプロセスをすっかり忘れてしまっているからです。
科学も同じ。“とは”の前にある術語や概念に、人間が到達したプロセスこそが、時間軸に沿って丁寧に語られなければならない。DNAの属性を説明するのではなく、細胞の中に見つかった酸性の糸の役割と構造が解かれていく、その切実な道程が跡づけられたとき、初めて科学は皆のものになる。

求めているは成功するためのアドバイスではなく失敗を経て今に至るまでのプロセス

「進撃のグルメ」が参考になるのは「ここでこれを食べれば満足できる」という上から目線のアドバイスではないから。

そして、その著書の中では「進撃のグルメ」がいかにして「飯が食える」ブログに成長してこられたのかのプロセスが、まさに時間軸に沿って丁寧に語られている。

前半では入社して10ヶ月で脱サラしてブロガーになったものの思うに任せず、詐欺商材をつかまされたり、消費者金融で借金を重ねたり、パチスロに入り浸ったり、といった8年間の日々が赤裸々に描かれる。

一方、後半ではそこで掴み取った成功法が語られる。

後半部分もさることながら、やはり前半部分のプロセスに本書の“旨み”が凝縮されているように感じる。

タスク管理ツールジプシーのプロセスを辿る

ここからはお知らせです。

6月22日(土) 16:00から

というオンラインセミナーを開催します。

セミナー講師はTaskChute Cloud使用歴1年のsugamari(スガマリ)さん。

sugamariさん(@sugamari_spirit)は「日本のお母さん達のお手伝いをしたい」という志で起業し、「母親支援活動家」として整理収納アドバイザーやライターとして活動するフリーランスで、タスクシュート認定トレーナーでもあります(2023年11月認定)。

タスクシュートの使用歴はわずか1年ながら、それまでに10個以上のタスク管理ツール(方法論も含む)を渡り歩いた過去を持つsugamariさん。

それぞれのタスク管理ツールではなぜうまくいかなかったのか、そしてタスクシュートはなぜうまくいっているのか、ご自身の生い立ちや家庭環境・仕事内容なども絡めつつ、その全プロセスをご紹介します。

動画アーカイブもありますので、当日の参加が難しい方もぜひお申し込みください。

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