新しい外国語を学び始めるときは文字を見ないで、まず音を聴き続ける方がいい

カテゴリー: 英語学習法



この記事の3行まとめ。

新しい外国語を短期間で身につけられてしまう人がいる。

ここで言う「身につける」とは、その言語を母国語とする人と支障なく会話ができる状態。

たとえば、アメリカ人のシャオマさんは母国語の英語に加えて、中国語(北京語)を流ちょうに話す。

以下の動画でも「買い物に困らない程度だよ」と話している。


それでも、中国人たちと実に楽しそうにコミュニケーションを交わしている。

「これくらいナチュラルに話せるようになったらいいだろうな」と誰しも思うはず。

シャオマさんのYouTube動画の中で断片的に語られていた内容をまとめると、

目的は言語を身につけることではなく、その言語を駆使して相手とコミュニケーションを楽しむこと。

そのパッションは動画からも伝わってくる。

とはいえ、「楽しみたい」だけでは身につかない。

24時間でどこまで韓国語を話せるようになるか

以下の動画ではタイトルのとおり、シャオマさんが24時間という時間制限を設け、時間内に韓国語をどこまで話せるようになるかのチャレンジを紹介している。

この動画の中で、シャオマさんは次のように話している。

その中で6カ国語を話すティモシー・フェリスさんの言語学習法に触れている。

このあたりは、ティモシー・フェリスさんの著書に掲載されている「3ヶ月であらゆる言語を習得する方法」に詳しい。



話をシャオマさんに戻す。

睡眠時間を除く24時間なので、おそらく16~18時間ほど勉強を続けたはず。

一夜明けて、再び個人指導の先生と最終レッスン。

この時点でそこそこ話せている!

最後にコリアンタウンに繰り出し、韓国人を見つけては話しかけて会話を交わす。

さすがに24時間では厳しかったようだが、それでもここまで話せるようになるのかと驚かされる。

スキーマに注目する

上記の中でシャオマさんが口にしていた「その言語のしくみ」という言葉を聞いて、以下の本に出てくる「スキーマ」を思い出した。

スキーマとは音楽における「コード進行」に似ていると感じる。

やみくもに音を並べるのではなく、コード進行という一定のルールに沿って組み立てられているからこそ音楽として成立する。

同様に、言語もまた言語それぞれに独自の“コード進行”があり、これに沿っているとその言語っぽく聞こえる。

たとえば、タモリさんの「7カ国語バスガイド」はそれぞれが確かにそれらしく聞こえる。

まずはひたすら「音」を聴く

まずすべきことはその言語の音を聴くこと。

「言語はもともとは音楽だった」という仮説に驚かされたのは以下の本。

はじめて聞く外国語は、もにょもにょ連続した音の流れに聞こえます。どこが切れ目かわかりません。たとえば、外国のテレビ局のアナウンサーが話していることばを聞いても、何を言っているのかまるでわからないでしょう。

しかし、その外国語の勉強を続けて耳が慣れてくると、ことばの流れのなかにある単語の「切れ目」がわかってくるようになります。

そこから著者が立てた仮説が以下。

「ことばの4条件の(3)」である「単語を組み合わせて、文章にする能力」を逆に考え、「文章の流れのなかから、単語を切り出せる能力」と、考えてみたらどうでしょう?

つまり、

「単語が先にあり、単語を組み合わせていくことによって、ことばができた」

のではなく、

「歌のような音の流れがまず先にあり、それを切り分けていくことによって、単語ができた」

と考えるのです。

ここから、言語を学習する手順は、

ほうがいいのではないかと考えるようになった。

ぶつ切りになった単語(単音)をいくら覚えても、それらを組み合わせるルール(コード進行)を知らなければ相手に伝わる「歌」にはならない。

逆に、音が多少おかしくても、全体としてそれらしく「歌」えれば、通じるのではないか。

さらに読み進めていくと次のような記述にぶつかる。

人間は「ことば」をもつより前に、「歌詞のない歌」をうたっていたのではないだろうか?」

ある者が、「今日はみんなでマンモスを狩りにいこう」という意味の歌をうたいました。別の者は、「あっちの草原でシマウマを狩ろう」という歌をうたいました。

お互いに別の歌をうたっているうちに、ふたつの歌の中の重なり合う部分が切り出され、このかたまりに「狩りをしよう」という意味がついたのではないか?

この流れは言語の学習プロセスそのものと言える。

リスニングから入って、似たようなフレーズに気づき、このフレーズの意味を知るために単語に分解していく、という流れに沿っている。

波を溜める

以下の動画では、日本生まれの日本育ちの日本人(やまさん)が9カ国語をそれなりに話せる(一部の言語は聴いて分かる程度)ようになった背景について語られている。

結論から言うと、やまさんは2歳のときから家のいたるところにスピーカーが置かれ、それぞれのスピーカーからいろいろな言語の音声が流れる環境で育ったから、とのこと(意味不明だと思うので動画を見てください)。

その中で印象的だったのが「波を溜める」という表現。

つまり、まずは言語の「波」を溜める。

このくだりを聴いて、「言語はもともと音楽だった」という仮説が真実味を帯びてくる。

音を覚え、その後で文字を見る、という順番は絶対に守る

そして、この「波を溜める」という考え方は学生時代に熟読した以下の本で紹介されている学習法にも通じる。

ざっくりまとめると以下の通り。

特に最初の「教科書を見ずに、テープを何十回も聞く」が強烈で、以下の解説にも納得。

まさに音から入って「波を溜める」ことから始めていることがわかる。

そもそも赤ん坊は、一定期間は両親たちの音声をひたすら聴くことに徹して「波を溜める」を実践したのちに満を持して最初の言葉を発する。

参考文献



▼「英語学習法」の新着エントリー

» 「英語学習法」の記事一覧
スポンサー リンク