仕事をしている時に、なかなか決断をくだせない、あるいは折に触れて手が止まる、という“症状”が頻繁に認められるのであれば、これを疑ってみた方がいいかもしれません。
ダメだったらどうしよう症候群
この症状にかかると、簡単なことにも慎重になります。特に、取り返しのつかない、あるいは後戻りができない事態に陥るという懸念があればなおさらです。
たとえば、メールやファイルを削除する場合。
ファイルの削除は直後であればワンタッチで元に戻すことができますが(Ctrl+Z、あるいは「編集」 → 「元に戻す」)、メールは戻せないことがままあります。もちろん、「ごみ箱」から該当のメールを探し出せば戻すことはできますが、ワンタッチではできません。
たとえば、
もし今このメールを削除すると、あとで必要になったときに「ごみ箱」を漁らなければならなくなる。あぁ、それは面倒だ。どうしよう。
という迷いが生まれます。そして、迷っている間も時間は無為に過ぎていきます。そこで、「カスタムごみ箱」でご紹介したように、
・ごみ箱の前にワンクッション置く
・一定期間が過ぎたら自動的に削除されるようにしておく
という対策を応用します。Thunderbirdの場合は、こちらで取り上げた通り、フォルダごとに“廃棄期限”を設定することができますので、ファイルとまったく同じ方法が使えます。
Thunderbirdには、フォルダごとに「保管ポリシー」を設定する機能があり、ここで「90日以上が経過したメールは削除する」というポリシーを割り当てておくことで、ごみ箱には常に過去3ヶ月のメールが保持されるようになります。
以下は、保管ポリシーの設定画面です。
とは言え、最近では、Gmailが以下のように「行った操作を元に戻す」機能を提供していたり、Thunderbirdはファイルの削除と同じ感覚で、Ctrl+Z を押すことで元に戻すことができます。
▼「取消」をクリックすることで、元に戻せる(Gmail)
この機能はちょっとしたもののようでいて、意外とよく使います(個人的に)。それだけ軽はずみに作業をしている、ということの現れかもしれませんが、サクサク仕事を進めていくうえでは
「とりあえずやってみて、ダメだったらやり直せばいい」
という安心感が要になるでしょう。迷っている時間がもったいないからです。
仕事のスピードというのは、どれだけ迷わずに手を動かすことができるかに尽きると思っているので、「迷い」を促すようなアプリケーションは、文字通り使うかどうかを迷ってしまいます。
程度の差こそあれ、「もしダメだったら、やり直せるか」という視点で目の前の仕事をさばくようにするとよいでしょう。
そういえば、つい最近、既婚者の友人とランチをした際に、彼がサラっと以下のようなことを言っていたのを思い出しました。
結婚してみて、ダメだったら離婚すればいっかーって思って、とりあえず結婚してみたって感じなんですよ。
結婚してから数年。子どもも生まれ、仕事も順調で、特に問題はない様子でした。もちろん、中には「取り返しがつかない」ことというのもあるとは思いますが、とりあえずやってみてから考える、という姿勢は応用範囲が広いと言えそうです。
「とりあえずやってみる」ためには、「もしうまくいかなかったら」の場合を考えて、あれこれ準備をしたい衝動に駆られるものですが、それをしてしまうと、いつまでたっても「とりあえずやってみる」ことができません。
やってしまった後に、多少のダメージはあれ、元の状態に戻す方法があることが確認できたら、すぐにトライしたいものです。