『ヤバイ心理学』が読みたい

カテゴリー: Journal

以前『ヤバイ経済学』(東洋経済)を読んで、最近『ヤバイ社会学』(東洋経済)を読んで、あまりに面白くて危うく夜三時までトイレにこもりそうになったのですが、どうして『ヤバイ心理学』はないのだろうと不満に思いました。

ネタは、いくらもありそうに思えるのです。犯罪心理学という分野もあれば、服従の心理学のような実験もあるし、マーケティング心理学にしても、切り口によっては結構「ヤバイ」心理学と言えそうです。

そう考えてみると、すでに「ヤバイ心理学」はあったかもしれないと、思い至りました。タイトルがちがうだけで。


暴力を取り扱った「ヤバイ心理学」

暴力から逃れるための15章
Gavin De Becker

新潮社 1999-02
売り上げランキング : 269625

おすすめ平均
負の人間学
「恐怖心」は生き残るための必需品
暴力とは何か?

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言葉遣いこそ東洋経済のシリーズほど砕けてはいませんが、読めば引き込まれていく点では引けをとらない力作です。実は心理学の本ではないのですが、心理学がふんだんに引用されています。

しかも幅広く使われています。フロイトから、スキナーから、認知心理学まで。このように心理学の知見をあちこちから援用するのは、実のところ無理があるのですが、そんなことを気にもなりません。

アメリカ社会における暴力だけに焦点を当てた本だけに、内容は十分深刻ですが、著者には優れたユーモア感覚があって、明快な叙述にジョークが入ってなくても何となく笑わせられます。

威嚇のことばのなかには威嚇の動機が見え、威嚇する人間の目的が表れている。
「謝らなければ殺すからな」(謝ってほしい)
「クビにしたら後悔するぞ」(解雇されたくない)

服従を取り扱った「ヤバイ心理学」

心は実験できるか―20世紀心理学実験物語
Lauren Slater

紀伊國屋書店 2005-08
売り上げランキング : 80750

おすすめ平均
教養書と娯楽書の間
スキャンダルすれすれ
研究者を語るエッセイとして

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ナチスのホロコーストを心理学的に説明しようと企図したスタンレー・ミルグラムの実験は非常に有名ですが、そのミルグラムについて本書のように詳細を追っているばかりか、被験者たちの「その後」についてもこれほどきちんと書かれているものはあまりありません。

心理学実験のためと後に明かされたとはいえ、人の身体に電気ショックを与えてしまったと一瞬でも「思い込まされた」人たちは、その後どのような人生を送ったのか?

「あとで説明を受けたとき、何があったかを聞かされて、私は恐ろしくなりました。本当に怖かった。彼らは言いました。『あなたは誰も傷つけていません。心配する必要はありません。誰も傷つけていないのですから』と。でも遅すぎました。あんなふうに実験が終わってから説明するなんて、絶対にいけません。もう電気ショックを与えてしまったんですから。そのときは本当に自分でショックを与えていると思っていたのですから。自分がどう行動したかという記憶を消すことはできません。もう戻らないんです」

▼編集後記:

6月10日(木)、呉服橋(大手町)、パソナテックにて「マインドハック研究会 ライフハック編」を開催いたします。

テーマは、「先送り対策としてのタスクリスト」です。
★5月に開催したイベントと同じ内容です!(早々に満員御礼になり、リクエストを頂いたため。ですが若干バージョンアップさせます!)

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