テーマは「MP」というちょっと捉えどころのわかりにくいものですが、第16回で倉下さんがこんなことを書きました。
いかに人間がMPを使うのかが下手なのか、という点に尽きます。
使うべき場所で使わず、使わなくてよい場所で使ってしまう。むしろ、使うべき場所で使わないから、使わなくてよい場所で使ってしまう。そういうことが傾向的に起こってしまうのです。
・行動を選ぶことにMPが使われず
・行動の中身でMPが大量に使われる
私はこれとまったく同じことを「時間」についてよく言います。MPは、今のところ計測できないモノのため、MPの消費量は時間になんとなく比例していると思うほかなく、しかも意外にそれでいいのです。
時間もMPとよく似ています。
行動を選ぶことに時間を使わず、行動の中身で時間を大量に使う。
つまり、無計画に時間を使う。すると時間がなくなるのです。
9連休が一瞬で終わったのはなぜか?
なぜ人は無計画に時間を使いたがるのか。
それは計画を立てる時間が惜しいからです。
とても興味深いパラドックスだと思います。
このセリフは本当によく聞きます。
「計画を立てるヒマがあったら、仕事しろ」
これが「お金」のように貯蓄可能なものであれば、同じ人が正反対のことを言っても少しも違和感がなくなるのです。
「無計画に金を使うんじゃない」
「計画を立てるお金があったらモノを買え」とはそんなに言わないと思うのです。
しかし人は無計画に時間を使い、そして時間がなくなると、「どうして時間がなくなるんだろう?」と不思議に思うわけです。
タスクシュートは実にさまざまな誤解にまみれ、その誤解に基づいて判断され、あまつさえそれは「批判ではない」などと言われるのですが、タスクシュートのことをいったん脇に置いておき、この9連休のことだけでもふつうに考えてみたらきっと面白いことが起こります。
9連休が一瞬で終わったのはなぜか?
それを知るために、9連休をどのように過ごしたかを細部にわたるまで記録に残し、その上で9連休が終わった直後に、
「この9連休が短く感じられた理由を詳細に文章で書いてみる」
と、きっと来年以降のために役立つ発見があるでしょう。
これが、タスクシュートです。
もうそんな記録が残っていないなら、記憶に基づいて再現してみてもいいと思います。
1年も待てないのであれば、お盆休みなどの、次の大型連休に役立てる手もあります。
「なぜ時間があっという間になくなるのか?」の答えを知る、これ以上に確実な手段など、あり得ないように思うのです。