本を作るにあたり、自分から企画を持ち込む場合と、編集さんから持ち込まれる場合とがありますが、いずれの場合であっても『書名』つまりタイトルが仮決めされています。
何という名前の本であるかを決めておかないと、話が進まないからです。Evernoteなどにネタを突っ込むためのノートブックタイトルのためにも、「○○の件」といって連絡を取り合うためにも、とにかく名前を決めておく必要があるわけです。
『仕事の渋滞は「心理学」で解決できる』というタイトルは、最後になって決まったもので、私のEvernoteやWorkflowyのなかではずっと『仕事を溜めない』でした。本書は私にとっては「仕事を溜めないためのテクニック集」なのです。
どうして溜まるのだろう?
- 受信トレイは空ですか?
- 近いうちに空になりますか?
- 郵便物を入れるトレイは空ですか?
- 近いうちに空になりますか?
- Todoリストはどうでしょう?
- すべてにチェックが入ることがありますか?
どうして仕事というのは溜まるんだろう?
ということを、この本を書きながらずっと考え続けていたわけですが、事実上ブラックな組織に関係していて、処理速度をはるかに超えた仕事を与えられるというケースでないなら、ほぼ、次のことが原因になっているはずです。
「仕事というのは、ためてから一気に片づけるものだと思っている」
この考え方ですと、もしも「一気に片づける」タイミングで片づかなかったり、そもそもそういうタイミングが遅れたりした段階で、仕事は「溜まっている」ことになります。「ためてから」の話なのですから。
私が本書で何度か述べているのは「まとめて」から「片づける」というイメージ自体がリスクであるということなのです。現代は特に仕事が多いので「一気に」やるということになると、マルチタスクになったり、先送りを余儀なくされ、いちばん集中力を発揮できる「一度に一つ」という原則を守れなくなります。
本書で書いた事は要するに「一度のひとつずつ」仕事に直面できるようにするためのシステム作りなのです。
それでは終わらない、という方もいらっしゃるのですが、それ以上速くやることはできないのです。したがって、「それで終わる」ようにしていくことがどうしても必要です。
拙著の紹介記事になっている点は恐縮ですが、私は本書の下記ような方向性に間違いはないと自信を持っております。
- シングルタスクに徹する
- 仕事は繰り返しの中で少しずつ確実に終わらせていく
- そのためにはシステム作りが欠かせない
本書はただひたすら、以上の線に沿って書かれております。
お手にとっていただければ幸いです。