- やらざるを得ないこと
- 今日中にやるべきこと
- 締め切りのあるやるべきこと
- 明らかにやったほうがいいこと
答えは、タスクの優先順位とその基準です。
タスクシュートを除くほとんどのタスク管理においては、上位二つはあまり問題になりません。上から3番目以下のみをリストアップして、それの優先順位を問題にしがちです。
具体例で考えてみます。
- 睡眠(1)
- 食事(1)
- 通勤(2)
- 今日中に返すべきメール(2)
- 今月が締め切りのプレゼン準備(3)
- プリンタのインク補充(4)
括弧内の数字がすなわちタスクシュートにおける優先順位であり、一般のタスクリストでは、(1)(2)のような項目は、ほとんどリストに現れません。
そして、タスクシュートでは3番目に重要と見なされている
- 今月が締め切りのプレゼン準備
などを、「最優先タスク」と規定するのです。
ところがこれが終わらない。それどころか、しばしば手につけることすらできない。そのまま1日が終わり、きわめて残念だという気持ちになる。
「なぜ、最優先の仕事の1つめに、手すらつけられないのか? なんて自分は要領が悪いのだろう?」
しかしこれは要領の問題ではなく、意識に上ってこない「もっと優先されてしまう行動」にかなりの時間がかかるということを意味しているに過ぎません。
つまり、睡眠や食事のような「最高優先順位事項」=「やらないという選択がないこと」と、「締め切り上の優先事項」=「今日・毎日が締め切りの仕事」があるのです。
それが、そう簡単に終わらないのです。
「無意識にリマインドされないこと」
ライフハックが好きな人は、だいたい「意識に上りやすいこと」=「無意識にはリマインドされないこと」に時間を使いたいと思っていますから、タスクシュートでは最高優先順に位置する(1)と(2)を無視するか、ほとんどゼロ時間で終えられないものかと思っています。
- 睡眠は、眠くなるという形で、無意識にリマインドされます。
- 食事は、空腹という形で、無意識にリマインドされます。
- 日々のことは、習慣化されているから、無意識にリマインドされます。
意識的にリストアップしないとやり忘れてしまうことは、日々やってはいないことです。しばしば「長期の締め切り仕事」だったり「時間を投資すべきこと」とされることです。
しかし、なるべく無意識にリマインドされる、「やらざるを得ないこと」への時間を削ったり、無視したりして、意識に上ることを優先しようというのは、うまくいかないのです。
なぜなら、無意識にリマインドされることは、それだけ大事だから、無意識にリマインドされるのです。どんなに仕事が大切でも、食事ほどではないのです。
私はこの問題を簡単に解決する方法として、意識に上ることも上らないことも一元管理し、ちゃんと3番目の優先事項は、3番目だととらえ治すことだと思うのです。つまり冒頭のように
- 睡眠(1)
- 食事(1)
- 通勤(2)
- 今日中に返すべきメール(2)
- 今月が締め切りのプレゼン準備(3)
- プリンタのインク補充(4)
こういうリストにすることです。
このうえで、(1)や(2)にも、それぞれが「プレゼン準備」などよりも重要だと意識し直し、十分時間を「投資」した上で、(3)などにも「少しは」時間を割くことです。
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拙著新刊の案内です。
タイトル通り「集中」がテーマなのですが、個人的には「自然と集中できる事柄」と「集中しようと思うことの心理的変化」の二つがこのテーマには常に絡みついている、という気がしています。
簡単に言えば、「ちょっと見るだけにするつもりだったのに、ついつい最後までオリンピックを見てしまった」時に生じる主体性なき「集中」と、これから仕事に集中するぞ!と主体性を強力に発揮しようとしても、なかなか達成できない「集中」とがあるわけです。
そういう認知哲学めいた話をビジネス書に盛り込むのは容易ではないのですが、ビジネス書の流儀にそいつつ、その辺のややこしい事実をどう反映させるかが、このタイプの本を出すときに私が意識している主要ポイントです。
分厚いカーテンの陰に隠れてあるそういう作者の「気分」を読んでいただけたらとてもうれしいです。