しかし実際にはすべてのタスクには、適当な締め切りというものがあり、それを無視し続けていると、時間をどんどんムダにしていってしまうのです。
締め切りを過ぎると“利子”が高くつく
たとえば、食事をずっととらずにいると、結局いつか食事によけいな時間をかけるはめになります。
洗濯をずっと溜めこんでいると、いつかのタイミングで選択を「させられる」ことになり、しかも汚れが落ちにくくなっていたりするため、よけいな時間がかかるのです。
プロジェクトの締め切りであろうと、ごく小さな用事の締め切りであろうと、同じです。やらずに済まないことを完全に無視することはできないのです。
睡眠ですら、どこかに締め切りはあって、そこを過ぎると強制的に「寝させられる」ことになります。そんなことを続けていると病気にもなるので、やはりよけいな時間を必要とします。
私たちはいろんな用事について実は、「締め切りを過ぎてから」やっています。だからムダな時間を使ってしまいます。
やることが多いからやむを得ないのですが、それでも、小さなタスクごとの締め切りを意識しておいた方がいいです。
正しい締め切りを把握する
たとえば、私は家計簿をつける締め切りというものが、毎日24時前にあることを知っています。その日を過ぎると、家計簿ソフトが勝手に「今日」を「翌日」にしてしまうため、レシートを見ても「日付を変えないといけない」というよけいな時間がかかるからです。
そして、現実の締め切りは、夜の24時ではありません。なぜなら私は、夜の21時には就寝するからです。
さらにいえば、夕食中や、お風呂の合間などに家計簿入力することは、妻が嫌がるので、21時すら家計簿入力の締め切りではありません。正しくは18時なのです。
だからといって、その日の家計簿入力を、朝の5時などにやる意味はありません。まだ何も買い物をしていないからです。
結局、すべての買い物が終わり、しかも18時より前となると、17時から18時の間が、家計簿入力の締め切りタイムなのです。これ以外の時間帯に家計簿を入力するのは、時間のムダを生みます。もちろん3日分溜めたり、7日分溜めたりすれば、3倍以上、7倍以上の時間がかかるから、ムダです。
「すごいやり方」より「普通のやり方」から始める
こう考えてみると、すべてのタスクを適切な時間帯に行い、しかも締め切りに間に合わせるというのは、存外難しいことがわかります。
何でも早めに片づけるとか、どうせ時間管理などできっこないから気合いでカバーするとか、仕事が本当に早ければ時間管理など必要ないなどというのは、非現実的です。
締め切りを過ぎる前に、すべてのタスクを、適切な時間帯に行うというのは、夢物語ではありません。むしろ、きわめて現実的な技術です。それをすれば、相当に時間を上手に扱えるようになります。
仕事の処理速度を高めたり、すごい精神力を発揮したり、ゾーンに入ったりする必要は、べつにないのです。そういうのも悪くはないでしょうが、少なくともまずは、やろうと思えばできるところからやるべきでしょう。