「めんどくさい発生のメカニズム」を知り、対処するための3ステップというエントリを読みまして、面白かったです。「いろいろめんどうくさいなあ」と思ったら、読み返すといいかもしれません。
ここで述べられている「めんどうくさい発生のメカニズム」は完璧に科学的とは言えないかもしれませんが、おそらく本当です。私はほとんど同じ問題を「先送り」という面から検討していますが、「先送り」は「めんどうくさい」と思うことによってやってしまうことです。
では「めんどうくさい」と思わないようにすればいい、というわけです。
「めんどくさい」と感じるのは、「やらなきゃ」と思うから。最初の原則として意識すべきは、普段の生活のなかで可能な限り、「やらなきゃいけないこと」を減らすこと。
これはまったくその通りだと思います。
ただ「やらなきゃ」と思うのは、しようがないことのようにも思えます。「やらなきゃ」と思うからめんどうになってやれなくなる、のですが、「やらなきゃ」と思うのは、それが「やらなきゃいけないこと」だからなのです。好きで「やらなきゃ」と思っているわけではないはずです。
そもそも私達にはそんなに「やらなきゃ」いけないことがあるのでしょうか? 多すぎるからいけないと記事に書いてあるわけですが、どうしてそんなに多いのでしょう?
これは「たすくま」というアプリで管理している、4月2日午前8時時点での私の「やらなきゃ」リストです。
「こんなのやらなくていいことばっかりやってんじゃん」と突っ込む人もあるでしょうが、私としては、これでギリギリ、これ以上は削れません。パンを焼いている確認は必要です。アトピーなのでスキンケアも欠かせません。トイレには行かないといけないし。朝食準備も、妻を起こすのも、娘の世話も「やらなきゃ」です。
この1時間ばかりの間にもすでに13個の「やらなきゃ」があるのです。でも多すぎるから減らしましょう、ではどうにもなりません。減らすのも限りがあります。妻子を起こさなかったら幼稚園にも行かせられません。トイレはいつまでもはがマンできません。朝ごはん抜きで幼稚園に行くわけにも、行かせるわけにも、いきません。
記事には「減らす」ほか「やらなきゃと思わないようにする」ともありましたが、それも分からなくはないのですが、そもそもやらなきゃと思うからこそやる、という面もあるのです。
テニス仲間によくからかわれます。朝からご飯作って奥さん起こしたりするから、やらなきゃならなくなるんだよ。放っておいて、ご飯出るまで待って、起きるのを待ってれば、全部解放されるよ、と。
それもまた、分からなくもないですが、私はもともと軋轢を厭う人間です。べつにイクメン目指しているわけではないのです。軋轢を、特に家庭内のいざこざを避けていると、こうなるのです。しょうがないのです。「やらなきゃ」なのです。で、結局やっているわけです。
もっと速く?
この13項目について、他の面から検討してみましょう。「こんなの、1時間もかからないだろう」という人も良くいます。
猛スピードでやればそうかもしれませんが、そうは言っても50分はかかります。パン焼き確認、野菜ジュース、朝食、トイレ、スキンケア、妻子を起こす、その他のごく細かいこと、それぞれ4分以内に終わらせても50分はかかるのです。仮に3分で終わらせても40分はかかります。
し、朝食は3分では作れません。トイレだって、絶対毎日3分以内で、とはいきません。
なにより、このタイミングで10分あまらせたところで、それで本の原稿を書いたりできるものではないのです。60日もあれば本1冊くらいはかけるだろう、という人は、そのへんのことを忘れています。
60日間、朝8時から9時まで1時間ずつかければ、書き上がりますが、まとまった1時間を確保するというのは、かなりヒマそうに見える人でも、その人がふつうに生活しているならば、なかなか至難のことなのです。
「やらなきゃ」は減らせもしないし、そう思わないのも難しい
ほとんどの時間帯、私は「やらなきゃ」に支配されています。たしかに「やらなきゃ」を減らせばストレスから解放されるかもしれませんが、その方法は容易ではありません。
また、「やらなきゃ」と思うからこそやる、というのも、事実です。本当に「妻など、起こしても起こさなくてもいい」と思ってしまったら、たぶん起こしませんが、それをすると以後、必ず厄介なことになって、結局また「起こすこと」になります。
結局「やらなきゃ」からは逃れられない。だから「めんどうだ」という思いからも簡単には逃れられない。
で、私はどうしているかというと、上にあげたように「たすくま」を使っているのです。
それがなんの役に立つかというと、「やらなきゃ」が渦巻いて「面倒くさい」という思いが絶頂に達することにブレーキをかけてくれるわけです。
これは「タスクシュート」でなくても「たすくま」でなくても、そのときどきのやるべきことをリストアップし、整理して、順番をつけて、終わらせる見通しをつければ、どんなやり方でも得られる方法です。
頭と気持ちを整理することによって、焦燥感をおさえ、焦燥感と闘う「面倒くささ」を和らげるのです。どんなタスク管理でも、この効果は上がります。
私が「タスクシュート」にしているのは、タスク管理自体を楽にするためです。直近の計画を立てれば「面倒くさい」という思いにブレーキはかけられます。どんなツールでも方法でもそれはそうなります。しかしタスクシュートにはリアルタイムに計画を楽に立てられる、という特性があります。
一時的に面倒くささから逃れるだけでは十分ではないのです。永続的に面倒くささから逃れる必要があります。そのためには計画を立てるだけではダメで、計画を立て続ける必要があるのです。計画を立て続ける面倒くささは、タスクシュートが軽減してくれる。そういうことです。
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先送りせずにすぐやる人に変わる方法 (中経の文庫) | |
佐々木 正悟
中経出版 2011-11-26 |
エントリで紹介した「面倒くさい発生メカニズム」という切り口に対し、「先送りしない」という切り口で書いたのが本書です。
アプローチはともかく、目指すところは似ています。アプローチ自体も、似ていると言えるかもしれません。
「先送りしない方法」や「面倒くさがらない考え方」は些細なことと思えるでしょう。しかし「先送り」自体や「面倒くさがり」自体をあまり軽く考えない方がいいときもあります。
たとえば税の支払いや確定申告は実に面倒くさいかもしれませんが、放っておいていいことは何一つありません。