会社員だとしたら、勤務時間中には1分間100円という人件費がかかっています。計算は省きますが、年収600万円(福利厚生費など別途年収分の経費がかかるといわれているので年間費用1200万円として計算)の人は、1分間100円の人件費コストがかかっているのです。年収300万円の人は1分間50円です。
あなたは、1分間に人件費以上の成果をあげていますか? あげていないとすれば、時間をお金に換えるという発想が必要です。まずは、身近なムリ・ムダ・ムラを徹底的になくしていきましょう。
1.ムリ・ムダ・ムラを徹底的になくす
ムリ・ムダ・ムラは、「3ム」「3M」「ダラリの法則」とよばれています。ムダ・ムラ・ムリの順に並べれば、ダラリになります。
「ムリ」は、無理な状態で仕事をすることです。体のムリ、精神的なムリは、長期間にわたると、体や心を壊します。ムリな計画を立てるのもムリの1つです。計画段階で実現不可能なスケジュールを引くとか、計画自体がずさんで達成がムリなものを作っても、障害に突き当たります。
「ムダ」は、成果につながらない仕事です。やり直しのムダ、待ち時間のムダ、調整のムダ、チェックのムダ、気を使うムダなど、身の回りにはムダだらけのはず。自分の回りのムダ、探してみませんか。
「ムラ」は、偏りがある仕事です。品質のムラ、気分のムラ、忙しさのムラなどは改善の余地があります。やる気がある日と、やる気がない日の気分にムラがあるのもムラの一種です。
ムリ・ムダ・ムラを徹底的になくす決意が必要です。部や課単位でムリ・ムダ・ムラの発見と撲滅ができれば、より成果につながる時間が増えてくるはずです。
2.やり直しロスを減らすための2つの方法
やり直しロスを減らすためには、企画段階で上司を納得させることが効果的です。詳細案を作成する前に、上司に方針レベル、企画レベルで十分相談し、合意を得る努力が必要です。
企画段階での修正は容易です。
たとえば、執筆であれば、目次レベルの修正は容易です。しかし、文章を書いてしまってから修正するのは、読み直しや整合性確保など、莫大な時間がかかります。また、修正ややり直しは後ろ向きな仕事、企画は前向きな仕事です。前向きな仕事を増やすためにも、企画段階で十分頭を使い、上司を納得させることが効果的です。
やり直しロスを減らすもう1つの方法は、仕事1つひとつにピリオドを打つという決意です。「あとで見直そう」と考えると、仕事の達成感が中途半端です。また、仕事の完成度も中途半端で中断することになります。「あとで見直そう」と考えると、結局見直す時間がなくなり、中途半端な完成度で提出してしまいます。たとえば、誤字脱字が多いとか、手抜きが多いという結末になるのです。
仕事1つひとつにピリオドを打つということは、「これで完了」という状態で終わらせることです。「人事を尽くして天命を待つ」という考えがあります。「限られた時間内でベストを尽くす。そして、結果について後悔しない」決意が、仕事への集中力を高めるのです。
仕事が1つひとつ完了すれば、手持ちの仕事が1つ確実に減ります。1つ減った分、残った仕事に集中することができます。「あとで見直そう」という未練を捨てることで、次への仕事に注力でき、仕事1つひとつの質を高めることができるのです。
3.仕事に着手する前にアウトプットをイメージする
仕事を成果につなげる効果的な方法は、「仕事に着手する前にアウトプットをイメージすること」です。具体的には、「アウトプットリスト」を作成することです。
アウトプットリストとは、アウトプットの箇条書きです。何をアウトプットすればいいのか、自分や関係者が理解することで、やるべきことが具体化するのです。下記はアウトプットリストの例ですが、もう少し詳細項目に分解できれば、よりゴールが明確になります。
(アウトプットリスト)商品開発の例
- リサーチ報告書
- 商品コンセプト
- 商品仕様書
- 商品のデザインサンプル
4.今日はここまで完了させようと心に決める
「いつやろう」ではなく、「ここまで完成しよう」と決意することが大切です。「Do(する)」ではなく、「Finish(完了)」です。たとえば、「この1時間で完了させる」という決意を持って仕事に取り組むのです。
また、朝一番に作成する「To Doリスト」(第2回目で紹介)も、やろうではなく、完了させようというリストです。1つ終わるごとに、To Doリストを消し込んでいくのです。
5.おわりに
今回はムリ・ムダ・ムラを徹底的になくす、やり直しロスをなくす、アウトプットリストを事前に作成することについてお話ししました。ムリ・ムダ・ムラをなくすことは、成果をつながる時間を増やすために欠かせません。もしあなたが、なかなか成果につながる仕事ができていない、と感じているのならば即実行してください。
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- 1.『仕事がデキる人になるための「始めの一分間」』
時間は1日24時間と誰に対しても平等ですが、同じ時間でも人よりパフォーマンスを上げる、またはムダな時間をなくすことで自分のやりたかったことを実行するなビジネスの場に限らず、誰かとあったときの第一印象というのは非常に重要なものです。第一印象で失敗をしてしまうと、そのイメージを払拭するのにとても時間がかかってしまいます。
その逆に、第一印象が良いとその後もとんとん拍子に事が進んでいきます。
そして、これは対人関係に限られたものではありません。何かを考え始めるとき、仕事を始めるとき、朝起きて一日を始めるとき、これらのときも最初の一歩次第でその後が変わってきてしまうのです。
本書では何かを始めるときに調子良く物事を進めるためのポイントを
- 「なぜうまくいかないのか」
- 「うまくいく人の習慣」
- 「法則①」
- 「法則②」
- 「活用例」
の5つに分けて詳しく説明をしていきます。
いつもエンジンがかかるまで時間がかかってしまう、そう感じている人に読んでいただきたい一冊です。
PDF: 339ページ
- 2.『世界一わかりやすいポーター博士の「競争戦略」体験授業』
ストラテジー(戦略)といえばM.E.ポーター博士を置いては語れませんが、ポーター博士をご存知ではない方も多いかもしれません。しかし、好業績を上げている経営者や、経営コンサルタントの間では、ポーター博士の『競争の戦略』は座右の書として重宝されてきました。
本書では業界内外にある5つの競争要因を中心に「競争戦略」とはどのようなものかを、大学院教授と企業のマーケティング担当をしている社会人大学院生の二人の会話を通して説明していきます。
- 学生:「いま、家電メーカーのマーケティング部門にいます。しかし、新製品を出してもヒットしないし。おまけに価格が下がって利益が出ません。どうしていいか、悩んでいます」
- 教授:「それなら、ポーター博士の『競争の戦略』を理解することが近道だよ。これから何回かに分けて話してあげよう」
- 学生:「でも先生、そもそも、なぜ戦略が必要なんですか?」
- 教授:「企業は競争にさらされているからだよ。そもそも競争とは何かから説明したほうがよさそうさだね」
(本書序章より)
PDF: 264ページ
▼西村克己:
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。富士フイルム、日本総合研究所を経て芝浦工業大学大学院「工学マネジメント研究科」教授に就任。専門分野は、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考、タイムマネジメント、プロジェクトマネジメント。現在までに96冊の著書がある(累計180万部)。