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執筆を進めるうえで時間がなくてもスキマ時間にできる4つのこと

倉下忠憲
本を執筆するのに必要なものはなんでしょうか。
アイデア? 文章力?

それらも必要でしょうが、そもそもとして「時間」が必要です。

実際に電子書籍を執筆された方のお話が、以下の記事で紹介されています。

» 企画を半年も寝かした私が45日で原稿を書き上げられた7つの理由(publiss)

「執筆」というと、どうも身構えてしまいます。「ホテルで缶詰になり書き上げる」というイメージでした。ホテルに缶詰というように、まとまった時間がとれれば、それに越したことはないのですが、ライター専業ではなく、仕事も家事も育児もある身では、まとまった時間を確保するのはなかなか難しいものです。

専業のライターであれば、毎日数時間、まとまった時間を確保することも可能でしょう。

しかし、セルフパブリッシングで「本」を出版される方にとって、それは簡単ではありません。

時間といかに付き合うかは、難しい課題の一つです。


まとまった時間

ドラッカーは以下のように書いています。

報告書の作成に六時間から八時間を要するとする。しかし一日に二回、十五分ずつを三週間充てても無駄である。得られるものは、いたずら書きにすぎない。ドアにカギをかけ、電話線を抜き、まとめて数時間取り組んで初めて、下書きの手前のもの、つまりゼロ号案が得られる。その後、ようやく、比較的短い時間の単位に分けて、章ごとあるいは節ごと、センテンスごとに書き直し、訂正し、編集して、筆を進めることができる。

ドラッカーは、まとまった時間がなければ執筆は完成しない、とは言っていません。

スタートの段階では、どうしてもまとまった時間が必要、ということです。書籍で言えば、企画案の骨子を固める時でしょう。こればかりは細切れ時間では対応できません。

資料やデータや心覚えを並べ、アイデアをざくざくと掘り出していき、かりそめの章立てをいくつも作っていく。そういうことを行うためのまとまった時間が必要です。

逆に言えば、その段階を過ぎてしまえば、ある程度の細切れ時間でも執筆を進めることはできます。

何ができるのか

では、細切れ時間で何ができるでしょうか。

  1. 思いついたことをメモ
  2. 軽めの文章を書く
  3. 書いた文章を読む
  4. 目次案を眺める

それぞれみていきましょう。

思いついたことをメモ

ぼんやりと「本」について考え、思いついたことをメモしておく。それを次回以降の執筆に活かす、ということですね。

一週間に一度だけまとまった時間が取れるなら、その時間を最大限活用するために、その他の日の細切れ時間にアイデアを集めておくわけです。これは、専業のライターさんでも当たり前のようにやっていることでしょう。

軽めの文章を書く

15分もあれば、ある程度の文章を書くことは可能です。1500字ぐらいは余裕でしょう。

でも、それは「何を書くか」が決まっている場合です。テーマが決まっていなければ、15分などあっという間に過ぎ去ってしまいます。

だから最初の段階で、「こういうことを書こう」と企画の骨組みをしっかりと固めておくのです。

書いた文章を読む

執筆が進んできたら、前に書いた文章を読み返すために時間を使うこともできます。

単純に、推敲の前倒しにもなりますし、読み返すことで別のアイデアを閃くこともあります。

原稿用紙に書いているのであればそれをいつも持ち歩く必要がありますが、Dropboxなどのクラウドストレージを使っていれば、スマートフォンやタブレットで原稿の確認ができます。もちろん、軽めの文章を書くことも可能なので、ノートパソコンやポメラを持ち歩かない人は、スマートフォンやタブレットを積極的に活用されるとよいでしょう。

目次案を眺める

執筆のスタートに、目次案を作ると思いますが、それを眺めるのもよいでしょう。

目次案は、あくまで案です。執筆が進んできたら、変更する場合も多々あります。

タスク管理でも、一日の状況の進行に合わせて後半の進行を調整することがありますが、それは執筆というプロジェクトにおいても同様です。目次案は変わってよいのです。

目の細かい文章ではなくて、アウトラインだけを抜き出した目次案を確認することで、本の内容を俯瞰できます。

※アウトライナーに目次案を入れておき、iPhoneで確認する
screenshot

さいごに

細かい時間を積み重ねることで、できることって結構あります。執筆を前に進めていきたければ、そういう時間の使い方を意識していく必要があるでしょう。

もちろん、どこかの時点でまとまった時間を確保する必要もあります。細切れ時間だけでは、なかなか厳しいのです。

細切れ時間の使い方に関してや、執筆プロセスの進め方については、以下の本でも紹介してあります。ご興味ある方は是非。


▼参考文献:

一人で執筆を進めていくセルフパブリッシングでは、セルフマジメントのスキルが大いに役立ちます。ということは、本書がすごく役に立つ、ということです。第三章はそのものずばり「時間を管理する」がテーマになっています。


▼編集後記:
倉下忠憲



一気に寒さが厳しくなりました。寒いのには耐えられるんですけど、手が冷たくなってタイピングに支障が出るのが問題ですね。MBAも冷たいですし。冬場の執筆環境というのも、なかなかよろしくありません。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。