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存在ではなく存在感で価値を出していく



大橋悦夫以下の山口周さんのツイート「これから起きるだろう10個の変化」を読んで感じたことと考えたことをまとめてみました。



まず「メモ」の内容は以下の10項目(カッコ内は大橋による補足)。

  1. 仮想空間シフト(オンラインで完結するワークスタイルの加速)
  2. コンピテンシーポートフォリオの変化(抽象化能力を駆使して新しい適用範囲を増やす)
  3. マネジメント能力の二極化(自立×自律で自走する)
  4. 組織におけるダイナミクスも変化(真空状態では空気が読めない)
  5. ライフスタイルの多様化(自分に合った生き方を選択できる、できなければ埋もれる)
  6. 企業の地理的多様性も増加(一人ビジネスならライフスタイルと同義)
  7. 仕事選びの要素も変化(仕事そのものを楽しめるか)
  8. 学習格差の拡大(自己学習力格差)
  9. メンタルの二極化(孤独耐性の高い人が有利)
  10. 副業・兼業の常態化(エイリアス化)


それぞれについてまとめるようと思ったのですが、改めてこの10項目を読み返してみると、重複している要素がいくつかあるので、僕なりの解釈で以下の5つにまとめています。

  • 可能ならオンラインで完結するワークスタイルにシフトする
  • 自立と自律で自走する
  • これまで当たり前だった制約が取り払われるので
  • 仕事選びが多様化するので
  • 副業・兼業が常態化するので

前提

まず、前提として僕自身の「これまで」は以下の通りです。

  • 1996年04月 300名弱の中小企業(SIer)に就職
  • 2000年03月 退職
  • 2000年04月 フリーランス(マニュアル制作、IT系の業務委託)
  • 2001年11月 法人化
  • 2004年03月 マーケティング会社に籍を置きつつ、法人の業務を継続
  • 2005年04月 マーケティング会社を退職、法人の業務に一本化
  • 2005年05月 当ブログ開設

以降、ひとり法人として現在(2020年5月)までの15年間、主に自宅で仕事をしています。

可能ならオンラインで完結するワークスタイルにシフトする

もし現在の、あるいはこれから始めようとしているお仕事がオンラインで完結できそうなものなら、そうしたほうが良いと思います。

これまで僕自身も「オンラインで完結することもできるけど、やっぱり実際に会って話してみないと」ということで会って話していました。

でも、それがやりづらい、あるいはできないとなったら「会って話す」抜きでやれるようになった方が有利でしょう。

「会って話す」のコストが、そこから得られるリターンに見合っているのか、つまり「会って話す」のコスパを改めて考える必要があります。

「会って話す」をなくす代わりに「必要に応じて最適な形で伝えるスキル」が求められることになります。

  • 音声のみで伝える
  • 資料のみで伝える
  • 動画で伝える(音声+資料)
  • 動画で伝える(音声+資料+表情)
  • 動画で伝える(音声+表情)

コミュニケーションが画面越しになるので、その薄くも厚い壁を乗り越えられるくらいのパワー。

パワーワードという言葉がありますが、まさにメッセージにパワーを込めるスキルです。

とはいえ、単に注意を引くだけの強い表現ではなく、相手の心に響く、従って感情を動かされ、行動を促されるような表現を、必要に応じて最適な形を選で届ける。

以前、阪本啓一さんが著書の中で「成功のトライポッド」という以下の3つの要素を挙げていました。

スモールビジネスであろうとビッグビジネスであろうと、すべてのビジネスは「内容」「届け方」「顧客との関係性」の商売三要素をバランスよく組み立てなければならない。これを私は「成功のトライポッド」と呼んでいる。

この本が出てから20年近く経ちますが、この3つの要素は今も変わっていないと思います。

  • 何を
  • 誰に
  • どのように届けるか

3つ目の「どのように届けるか」(デリバリー)が伝えるスキルに当たります。

自立と自律で自走する

自立とは、何かを前提としないあり方(スタンドアロン)です。

もちろん、人である限りは何かを前提にはしていますが、「それがなくなると事業が成り立たなくなる」という「それ」は少なければ少ないほど良いでしょう。

自律とは、文字通り自分を律すること。

僕は聖人でも仙人でもないので、放っておくと怠けます。ラクな選択肢とツラい選択肢があれば迷わずラクな方を選びます。

ラクな選択を続けていると、少しずつ確実にツラい状況に追い込まれていきます。

だからこそ、何らかの形でツラい選択を受け入れる必要がある。

でも、ツラいので続きません。

そこで役に立つのがルーティンです。

ルーティンとは、判断の余地を限りなくゼロにした状態でツラい選択を自動的に受け入れるための仕組みと僕は位置づけています。

何なら、むしろルーティンに従うほうがラクな選択肢であるように“ラッピング”する(自分をだます)ことまでも含みます。

従って、ルーティンに従うのはツラいからイヤだな、と感じるとしたらルーティン設計が間違っています。

タスクシュートは要するにルーティンなので、タスクシュートが面倒と感じるとしたら理想を追いすぎている可能性があります。

とにかく、自立と自律で自走できる体制をつくり、これを維持します。

これまで当たり前だった制約が取り払われるので

「制約によって阻まれていたことが、今なら自由にできる」という状況が生まれつつあります。

僕自身はこの状況は「自分にできることで役に立つ」を押し進めていくうえで追い風だと感じています。

そのためにも、自分にできることを絞り込み、掘り下げ、深めることをブログを書くことを通して続けていきます。

僕にとっての事業の定義は「こういう自分ならこんな人に役に立てるのではないか?」という仮説を立て、検証していく活動のことです。

つまり、「自分にできることで役に立つ」こと。


仕事選びが多様化するので

山口周さんは、「7.仕事選びの要素も変化」という項目で、

職場の「人が好き」「場所が好き」の重要性が低下
職務そのものが楽しめないと楽しくない時代

と書かれていました。

僕はここから「純粋に仕事にのみ打ち込める体制をつくるべし」というメッセージとして受け止めました。

では、どんな仕事なら自分は純粋に打ち込めるのか?

そのためには自分のことをよく知る必要があります。

まずは日々の記録とふり返り。


これに加えて、以下のような診断テストが有効でしょう。

  • ストレングスファインダー(SF)
  • ウェルスダイナミクス(WD)

診断テストはほかにもありますが、上記2つは僕自身も2度以上ずつ取り組んでいるので取り上げました。

ストレングス・ファインダーを11年ぶりにやってみて、改めてその活かし方を考えてみた

8年ぶりにウェルスダイナミクスのプロファイルテストを受けたら「どロード」になっていた


副業・兼業が常態化するので

山口周さんの原文は以下(原文では「状態化」となっていましたが「常態化」かと思われます)。

10.副業・兼業の常態化

物理存在は分割できないけど仮想上の存在は同時多発的でユビキタス

エイリアス(alias)という言葉があります。「別名」とか「あだ名」という意味ですが、Macをお使いの方ならよくご存じでしょう。Windowsで言うところのショートカットです。

ここではエイリアス=役割と言い換えられると思います。

かつては本体=実体でした。

会社で仕事をしている人は会社での役割が本体、すなわち仕事のすべてでした。

それが今では、会社での役割とは別に、ブロガー、YouTuber、コンサルタント、講演家などなど複数のエイリアスを併走させることが可能になっています。

さらに、会社での役割という実体のある本体に付随する形で複数のエイリアスが帯同していたのが、もはや本体というものがなくなり、すべてがエイリアス化(=仮想化)し始めています。

「自分の本業はこれ」と決める必要はなく、「自分にできること」の数だけエイリアスを作り、相手と場面に応じてどのエイリアスで登場するかを選べるということです。

かつて取引のあったシステム開発会社の社長が「代表取締役」と「営業部長」と「技術部長」という肩書きの異なる3種類の名刺を使い分けていました。

相手に合わせてエイリアスを使い分けていたわけです。

このエイリアスを使いこなすうえでは、

  • 抽象化能力を駆使して新しい適用範囲を増やす

ことが重要だと感じています。

まず、「自分のできること」とは要するに何をしていることなのか、どんな価値を生み出しているのかを抽象化してとらえなおすこと。

この抽象化(能力)については以下の本で具体的に解説されています。



次に、新しい適用範囲を増やす。これは抽象化がうまくできればおのずと見えてくることです。「あ、ここにも活かせるじゃん」という発見です。

以下の記事の事例が個人的には印象に残っています。

渡辺「『価格.com』をつくった槙野さんが次に選んだ事業が「美容室」だというのは意外でした。このビジネスにはどうやってたどり着いたんですか?」

この問いからの展開がまさに抽象化と適用範囲の拡大のよい事例になっています。

まとめ

単に存在するだけではどんなにスペックが高くても気づいてもらえず、従って役に立てない。

そこで、明確な(自分にとって無理のなく楽しく続けられる)存在感を打ち出し、これを相手に合ったエイリアスで対応することで価値を提供する。

関連記事

8年前に書いた以下の記事でもコンテクストは違えど、似たようなことを書いていました。

人がまだ手をつけていないことにあえて乗り出す勇気が今まで以上に重要になってくる、と思うのです。そういう意味では、本棚を眺めて、かつて読んでグッと来た本を改めて読み返してみるのも良いでしょう。

洗練された手法、体系化されたノウハウをこれからイチから学ぶより、洗練や体系化の途上にある領域に踏み込んでいく。これは勇気というより、いままで我慢していたことを解放するだけかもしれません。

世の中の流れに必死にキャッチアップすることにかまけて、ずっとほったらかしにしてきた「時間ができたらやってみたいこと」を今、始めればいいのです。