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その「勉強法」はあなたに合っていますか?

4054039030 スタディースタイル ライフハックス勉強法 (Dream skill club)
佐々木正悟
学習研究社 2008-10-15

by G-Tools

新刊上梓のお知らせです。
自分の「勉強本」としては、2冊目になります。タイトルも似ていますが、テーマは違います。

人が違えば脳の構造が違い、脳が違えばその働きが変わります。
が、勉強法というのものはどうしても、ある人の信じる「モデル」に基づいた方法論であるため、そこに特定の「偏り」があることは仕方がないことです。

本書はその「偏り」がどう偏っているかを見分けるための、視点を提供したいと思って書きました。

6タイプのための勉強法

 1.分からないと気持ちが悪い「理解型」
 2.覚えるのは苦にならない「暗記型」
 3.勉強それ自体が楽しい「好奇心型」
 4.勉強は手段の「目標達成型」
 5.一人で勉強したい「独習型」
 6.みんなと勉強したい「スクール型」
スタディースタイル ライフハックス勉強法 (Dream skill club)』より

1.分からないと気持ちが悪い「理解型」

よく「分数の割り算」で問題にされている話です。つまり、勉強ではどの程度「理解度」を重視すべきかという問題。

私はそれは性格によると、強く感じています。教科が難しくなればいずれにせよ「理解最重視」では先へ進めなくなりますが、「理解しないと気持ちが悪い」という人は、いて当然です。(げんに私がそうでした。)

「気持ちが悪い」とか「先へ進めない」という感覚自体が、心理的なもの。
それがどの程度であるかは、個人差があるわけです。「クオリアは個人的なもの」なので。

本書では「理解型」の典型として、脳科学者の池谷祐二さんを紹介させていただきました。池谷さんは「九九も暗記していない」と著書の中で述べられているのですが、そこまで極端な事例があるとおり、「理解重視」でかなりの専門分野まで学習を進められることが分かります。

2.覚えるのは苦にならない「暗記型」

逆に、「暗記重視」でうまくいく人が当然います。
「数学は暗記だ」と言ったのは、精神科医の和田秀樹さん。
「英文を丸暗記せよ」と主張したのは、経済学者の野口悠紀雄さん。

これらの人々は「覚えるのが先。理解するのは後」という発想で勉強されています。
また、そうした勉強法を、強く推奨されています。

そもそも記憶力というものの個人差は大きく、暗記力の差も極めて大きい。
世の中には、一読したものは決して忘れない人から、暗記がそもそもできないという人まで(記憶ができないのとは少し違います)幅広く分布しているのです。

そのように様々な人たちが一様に、「暗記は楽だが理解は困難」と言えるわけがありません。

私が本書を企画するに当たって、真っ先に考えたのがこの

・暗記か理解か

というタイプの違いでした。この2つのタイプだけをとっても、勉強術というものは、まったく違ってくるべきなのです。

3.勉強それ自体が楽しい「好奇心型」

暗記型か、理解型か

というタイプ別に続いて考えたいのが、好奇心型か目標達成型か、というタイプ分けです。

心理学的な用語を使うなら

内発的動機づけか、外発的動機づけか

ということになります。出版社の人から、「専門用語を避けて欲しい」という要望がありましたので、「好奇心型」と「目標達成型」に置き換えました。

この2つのタイプもまた、勉強の方法がすっぱり分かれると思います。
たとえば脳科学者の茂木健一郎さんは、明らかに「好奇心型」で勉強する方法を述べておられます。

本の中で強調した一個ですが、このタイプにはことさら「ゴール」や「ご褒美」は必要ないのです。それどころかむしろ、邪魔になることさえあります。この違いもまた、性格からくるものです。

最近、日本人のノーベル賞受賞が相次いで大ニュースになりましたが、彼らの言っていることは「好奇心型」のためのものです。「面白いから研究した」「好奇心にしたがってどこまでも突き詰めること」など、いずれも「内発的動機づけ」そのもの発想です。

4.勉強は手段の「目標達成型」

言うまでもなく、好奇心型(内発的動機づけタイプ)の反対は「目標達成型」(外発的動機づけタイプ)です。明確なゴールやご褒美が、勉強のモチベーションを高めるというタイプの人たちです。

両者の違いは

勉強自体が楽しい・面白い(好奇心型)
勉強は手段(目標達成型)

ということになります。

勉強本に恵まれているという意味では、目標達成型の方が明らかに恵まれています。
ゴールを明確にせよ、とか、勉強からのリターンを力強くイメージせよといったアドバイスはみな、このタイプの人に向かって出されているものです。

5.一人で勉強したい「独習型」

勉強は一人でしたいか、それとも仲間とやりたいか。
この2つのタイプもまた、方法論を真っ二つに分けてしまいます。

一人でやりたい人は、社会人になればむしろ有利です。ある意味でそれは、

ひとりでもできる 

事を意味するからです。
幼少期、思春期に、このタイプは不利なのです。勉強するにはふつう「学校」にいかなくてはならないからです。

「勉強嫌い」なのか「学校嫌い」なのか「一人が嫌い」なのか、人は一度振り返ってみると、良いと思います。それらは基本的に別々のことなのに、混同されて議論されていることが少なくないのです。

6.みんなと勉強したい「スクール型」

社会人になっても、スクールで勉強したいという人が、べつに不利になるわけではありません。スクールで勉強するというのは、どの世代でも「王道」のやり方でしょう。

ただ、勉強するということは突き詰めると、スクールへ行っても「一人でやる」ことにちがいはないため、ある種の孤独感を完全に回避することは不可能です。

それからいうまでもなく、スクールに通うということは、お金と時間を必要とします。が、どうしてもムリでないなら、孤独に勉強したくない人は、スクールに通うほうがいいでしょう。その方がムリがないですし、得るものも大きいはずだからです。

まとめ

本書はタイトルが

スタディ・スタイル・ライフハックス・勉強法

という、ムリヤリ詰め込んだようになってしまいましたが、個人的にどうしても

タイプ別勉強術

という名前を付けたかったことと、出版者さんがどうしても「ライフハックス」を入れたかったということの、両者の主張を容れる形をとったため、こうなりました。

私としては初めて、学習研究社さんから出した本で、やや「学習研究的」になったきらいはありますが、すごくまじめに書いた本なので、議論の余地がたくさんあると思いますが、お手にとっていただければうれしいです。

4054039030 スタディースタイル ライフハックス勉強法 (Dream skill club)
佐々木正悟
学習研究社 2008-10-15

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