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インボックスをゼロにできる人とできない人のちがい



佐々木正悟 ここで言う「インボックス」はメールの受信トレイに限定したものではなく、Evernoteのインボックスも、タスク管理ツールのインボックスも含みます。

可能な限りインボックスを定期的にゼロにしようとしてそれができる人と、やろうとしてもいつの間にかインボックスがあふれかえってしまう人と、そもそもやらない人といるでしょう。それはスタイルのちがいですから問題ではありません。

しかしインボックスをゼロにしようとしているけれど、どうしていいか分からないとか、時間がまったくないという人は少し考え方を変えてみるとよいかもしれません。

アウトプットしないとインボックスはあふれかえる

仮にEvernoteに「インボックス」というNotebookがあるとしましょう。そこにウェブクリップから、欲しい書籍タイトルから、思いつきのメモから、家族からの頼まれごとから、大事なメールなどまで、あらゆる情報を取り込んでいるとします。

しかしどう整理していいか分からない。Notebookやタグをどう使っていいのか分からない。いつの間にかインボックスを放置したままになり、Evernoteのどこがどう便利なのかさっぱり分からない。

という人はアウトプットが足りません。だからインボックスがあふれかえってしまうのです。

「アウトプット? 自分はブロガーでも物書きでもないから、そんなの関係ありません。Evernoteで好きな情報をうまく活用できればいいんです」と言われるかもしれません。これは「アウトプット」という概念を狭くとらえすぎています。

テレビを見たり音楽を聴いたり、とにかく「好きな刺激に接し続けていられるだけで本当に満足だ」という人は、「ノート」というものを必要としないはずなのです。エバー「ノート」などはまったく不要です。「ノート」というものは記録したことを頭に入れるか、人に見せるか、後でもう一度見返すか、とにかく「ただ一度きり自分が刺激に接すればいい」だけではないから使うものなのです。

「写真」も同じです。この文脈では「写真」とは「ノート」です。旅先で珍しい鳥を見て写真にパチリと納めるのは、「後でもう一度見よう」としているか、人に見せようとしているかなのです。これ一度っきりで十分だと思えば写真に撮る理由などありません。

後でもう一度見返す。人に見せる。その行為はアウトプットするのと同じことです。つまり「ノートする」という行為は、「アウトプットする」という行為を検討して初めてやることなのです。結局「アウトプットしなかった」という結果に終わることはあっても、最初からとりっぱなしで死蔵させるつもりではないはずなのです。

ですからどういうアウトプットをするつもりでいるかを意識していないと、インボックスがあふれかえってしまうのです。分類にしても整理にしても、インボックスから他のカテゴリに移すことは、来年の自分や友達や家族に見せるなど、何らかの意味でのアウトプットの準備なのです。

▼編集後記:
佐々木正悟

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実はエントリの内容で「あふれかえった書棚に積ん読が溜まっている」ケースについても検討できます。

私の父は実に迷惑するくらいの本読みで、いつでもどこでも書棚の空きスペースなどまったく考えもせず本を読んでいます。こういう人は結局、「語る」のです。誰も聞いてもない「武則天」の面白エピソードとか、エイズの新薬研究のエピソードなど、その時々自分が読んでいる本をテーマにして話しまくります。

読んでいる間は誰かに語り聞かせるつもりで読むわけではないでしょう。しかし読んだものをひたすら自分の胸にしまっていくということを好んでやる人は、実は少ないのではないかと思います。