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脳を本当に鍛えるための6つのトレーニング

表題の「本当に」に引っかかりを覚える方が、当然いらっしゃると思いますが、これは「主に前頭葉を」という意味です。このことと関連して、「無意識の領域をトレーニングする」ことは、この記事では排除しました。これから上げるリストはすべて、実行すれば「意識に食い込んでくる」ものです。

ですから、少々精神的に疲れを感じることになります。無意識的なところの「脳トレ」は、ある意味快感で、慣れれば決して苦痛はないはずですが、意識的な部分の「トレーニング」は「苦痛を意識する」羽目になります。したがって、疲れたら休むことも必要です。

 1.2桁以上の暗算をする(テクニック可)
 2.メモを使わずに作業する
 3.やりなれないゲームで遊ぶ
 4.事前に計画したとおりの行動をとる
 5.意識的に行動をやめる
 6.自分の状態をイメージする

4062575809 脳を支配する前頭葉―人間らしさをもたらす脳の中枢 (ブルーバックス 1580)
エルコノン・ゴールドバーグ 沼尻 由起子
講談社 2007-12

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4140882506 脳と気持ちの整理術―意欲・実行・解決力を高める (生活人新書 250)
築山 節
日本放送出版協会 2008-04

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4873113377 Mind パフォーマンス Hacks ―脳と心のユーザーマニュアル―
Ron Hale-Evans 夏目 大
オライリージャパン 2007-08-25

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1.2桁以上の暗算をする(テクニック可)

暗算のテクニックを使ってもOKです。目的は「作業記憶」を鍛えることです。一桁同士のかけ算と、二桁と一桁のかけ算の答えを頭に置きつつ、二桁通しのかけ算の解まで出して総和する。

このように、記憶を保ちつつ作業を進めるには、特定の記憶内容が、前頭葉の働きによって、緊張させられ続ける必要があります。そのうえで、計算も実行しなければならないので、前頭葉に余裕がなくなり、鍛えられるというわけです。

2.メモを使わずに作業する

1と同じです。暗算のみならず、前頭葉活動による作業進行を、仕事に持ち込んでしまうわけです。拙著『ライフハックス』では、これを避けて、よりリラックスした状態で仕事に取り組めるようにすることが、「ライフハックス」の目的の1つなのだと書きました。

究極の「ライフハックス」は、マクロで作業を進めることです。マクロを組んで仕事をPCに任せれば、もちろん頭は使いません。「頭を特別に使う」ために、ライフハックスを一時棚上げにするということです。

3.やりなれないゲームで遊ぶ

最近の研究によれば、右脳は新しい体験に強く反応し、左脳はなじみ深い体験に反応するとされます。同じ音楽を聞いても、一般人は右脳で聴き、音楽の専門家は左脳で聴くという報告もあるほどです。これは、右脳は芸術脳、左脳は論理脳と区別する立場を、かなり難しくする報告です。

それはともかく、脳が「未知」と「既知」とで情報を区別するのは、大変分かりやすい話です。脳は記憶装置だからです。未知の情報を処理し、最適解をはじき出すには、記憶に頼ることができません。

そんな時こそ「前頭葉」です。「新しい仕事」は脳内の「担当者」に任せられないので、前頭葉直々に対応しなければならず、そうなれば前頭葉が鍛えられるはずです。

4.事前に計画したとおりの行動をとる

前頭葉、特に前頭前野の機能の1つに、計画的に行動することがあります。心理学用語では「展望記憶(未来記憶)」と名付けられている能力をふんだんに使い、適切なタイミングで、ターゲット行動を思い起こし、それを実行する。一言でいえば、リメンバー・ザ・ミルクです。

前頭葉を損傷した患者さんは、この展望記憶を損ないます。したがって、日常生活中は何ら問題がないようにしか見えないのですが、プロジェクトを台無しにしてしまったり、約束を守れなくなります。人はこれを「信頼できない」と評しますが、脳障害であるかもしれないのです。

5.意識的に行動をやめる

4の逆です。前頭前野を失うと、これも大変難しくなります。何かを一度始めてしまうと、「無限モード」から抜け出せなくなるのです。同じ事をいつまでも繰り返したり、同じ話をいつまでも喋っていたりします。

つまるところ前頭葉とは、自分で自分をコントロールするための脳なのです。やると決めたことはやり遂げ、やめると決めたことは即座にやめる。脳の他の部分には、こうした機能があまり強くありませんから、前頭葉が活発に働かないと、惰性や衝動で行動しがちになるわけです。

6.自分の状態をイメージする

自分で自分をコントロールするためには、自分で自分をイメージできた方が、都合がいいでしょう。前頭葉は、脳の他の部分に関する「マップ」を持っているとする学者もいます。

「マップ」はともかく、私たちは自己イメージというものを、ビジュアルにせよ言語的なものにせよ、持っているようです。おそらくこれができるのは人間だけであり、前頭葉が他の動物に比べて圧倒的に巨大化したのも、人間です。自己イメージを想像することは、前頭葉を使う以外には不可能な活動なのです。

以上に加えて7つめが、「疲れたら休むこと」です。特に文明的な生活では前頭葉は酷使されやすいので、休めないとオーバーワークになってしまいます。