
Evernoteはウェブページや画像など、忘れたくないと思っていることのすべてを格納するための場所です。Evernote という外部のシステムにこうした情報をいれることで、私たちは脳でそれを覚える必要がなくなって、頭を楽にできるわけです。
ところで仕事術の世界でも同じように「忘れずに外部のシステム」に預けるという手法をとっているものがあります。「ストレスフリーの仕事術」として有名な Getting Things Done です。
Evernoteにはタスクを管理するシステムの機能は最低限のものしかありませんが、それでも工夫をすることで GTD をある程度まで実践することができます。多くの人にとっては、Evernoteが提供する機能でそれなりに満足がいくことでしょう。なにより、無料で作れるのですから!
今回はEvernote ハンドブックのなかでも紹介した Evernote GTD システムのセットアップについて、詳しく紹介してみようと思います。ここでは GTD の考え方や用語についてはある程度基礎知識をもっているものとして話を進めますので、詳細については『はじめての GTD ストレスフリーの整理術』をご覧ください。
準備編:コンテキストと、いくつかのノートブックをつくる
Evernote の機能だけで GTD システムを作ろうと思った場合、まずタグとノートブックを若干整理しておかなくてはいけません。
たとえばGTD には「場所」「状況」を示す「コンテキスト」という概念があります。職場のことだけを集めた「職場」コンテキストや、「オンラインでしかできないこと」を集めるための『オンライン」のコンテキストといった具合に、みなさんの仕事や生活にあわせて決めておきます。

Evernoteでコンテキストを表現するには単純にタグを利用しておきます。「職場」「家庭」といったタグでも大丈夫ですが、GTD に使っているタグがそうでないものと混ざるのがいやなら「context : 職場」という擬似的な階層タグを作っておくのがいいでしょう。あとで「context : 職場」というタグで検索すれば、タグが付けられたノートがすべて見つかるというわけです。
また、いくつかノートブックを作成しておきます。最低限でも「GTD:Inbox」というノートブックや、「GTD:Projects」「GTD:Someday」というノートを作って、頭の中身を集める場所、プロジェクトリスト、そして「いつかしたいことリスト」を維持しておくのです。

頭のなかを GTD 用のノートに空にしていく
さて、ここで GTD の「収集」プロセスに入ります。ノートブックは「GTD:Inbox」を選んで、新規ノートのなかに、思いつくままに「やるべきこと」を収集していきましょう。

ここが GTD の特徴的なところなのですが、もし思いついたことが単なるアクション、つまり1つの行動で完了するものならこのノートに記入していきますが、ふたつ以上のアクションが必要なもの、GTD でいう「プロジェクト」なら、別ノートを作成してノートの題名をプロジェクト名にしておきます。
その場でそのプロジェクトを完了させるためのアクションを思いつくならプロジェクトのノートの中に書き留めていきますが、思いつかないなら空のチェックボックスを最低でもひとつだけ作っておきましょう(理由はあとでわかります)。
また、この時点でノートにコンテキストのタグもいれておきます。
ノートでプロジェクトを表現する
ここで、Evernote のノートでプロジェクトを表現する方法をみてみましょう。
GTD のプロジェクトには複数のアクションが存在しますので、その数だけチェックボックスとアクションの記述をしておきます。
また、タスク管理システムのかわりに Evernote をつかうメリットとして、ToDo アイテム以外にも画像やリンク、解説文や、プロジェクトの終了条件などを詳しく書き留めておくことができます。その気になれば、ノートのなかで計画を練りながら、「ここはアクションとしておこう」という部分にチェックボックスをいれるだけでプロジェクト・ノートになるのです。
Evernote の自由さが、割合適当に利用しても GTD を実践できる柔軟なシステムを可能にしているのです。

次のアクションを探して実行する
さて、実際にアクションを処理して物事を片付けていくステップに入りましょう。
GTD のノートブックを選び、いま居る場所が「職場」ならば、「context : 職場」で検索して関係するプロジェクトをすべて表示しておきます。さらに「todo:false」で検索することで、まだ未完了のアイテムが含まれるノートを表示して、片端から実行していきましょう。
もし、まだアクションを詳細に書き込んでいないプロジェクトがあったなら、先ほどの空のチェックボックスにヒットして検索に表示されているはずですので、この時点で「次のアクション」を決めて書き込んでおきましょう。
すでに完了したアクションを検索したい場合は「todo : true」で検索することで一覧表を見ることができます。
週次レビューを実践する
GTD の力は週次レビューから生まれます。毎週タスクを頭から追い出して、システムを再調整する週次レビューができなければ GTD システムとはいえません。
Evernote の GTD システムの場合、週次レビューは簡単に「一週間以内の未完了タスク」を検索することで行ないます。たとえば次のような検索クエリーです。
created:week-1 context:職場 todo:false
あとは「Inbox」のノートブックの中に再度頭のなかにあるタスクを投げ込み、プロジェクトの見落としがないかをチェックして、GTD のシステムを維持していきます。
まとめ
今回紹介した Evernote で GTD を実践する方法は、チェックボックス、ノート、ノートブック、タグという、それぞれ異なる情報のピースをうまく連携させることでまかなっています。
Evernote はタスク管理システムではありませんが、柔軟なデータ形式をもっているおかげでこうした使い方もできるわけです。工夫しだいでは、Evernote で蔵書管理、企業の文書管理といったこともできることでしょう。
今週の本
プレゼンテーションの本は多くありますが、今回献本でいただきました『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』はモビーディック的に別格のおもしろさをもっています。
まずこの本、誤解をおそれずにいえば、プレゼンの本ではありません。たしかにスティーブ・ジョブスという稀代のプレゼンターのプレゼンを緻密に分析する体裁をとってはいますが、本を貫くテーマは「情熱で世界を変える方法」といってもいいくらい熱いものです。ジョブスがもっている情熱が、どのようにプレゼンに投影され、どのように聴衆へと伝染してゆくか、それが解き明かされているのが本書の読みどころです。
単に熱意だけがあっても、誰も理解しようがないものだったり、メッセージが伝わりにくいのでは、せっかくの情熱がもったいありません。「良いアイディア」を人は求める者ですが、アイディアだけでは、「人のいない森で落ちたリンゴ」のように、誰にも知られないものなのです。著者はそれをふまえて、「プレゼン」という構造を使って自分の意見を世の中にといかける方法についてまとめているのです。
400ページの大部の本ですが、あまりにおもしろいので一気読みしてしまいました。セルフブランディングに悩める人に、ぜひ!
6月は Evernote ミートアップ、『できるポケット+Evernote活用編』の出版、さらにもう一冊の脱稿をしたうえで、なんと Evernote ハンドブックのアップデートにまでこぎつけることができました。
これでちょっと落ち着けるかとおもいきや、7月14日には Evernote の秘密の新機能紹介もあるそうで、なかなか休ませてもらえそうにありません! どこまで開発が早いんだ Evernote !
▼堀 E. 正岳:
Evernoteエバンジェリスト。「Evernoteハンドブック」の執筆や「Evernote日本語掲示板」のモデレータを通して、愛してやまないEvernoteの育て方を伝道中。Lifehacking.jp主宰。
▼ピックアップ:





















オーディオブック版










BlogoSquare
Add New Comment
Thanks. Your comment is awaiting approval by a moderator.
Do you already have an account? Log in and claim this comment.
Add New Comment
Trackbacks
(Trackback URL)