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「ノート術には興味がない人」のための「ノート本」

「ノート本」が絶好調ですが、こうなってくると冷ややかな気持ちになっている人も多いのではないでしょうか。「いくら何でも大げさすぎじゃないか」と。

そういう気持ちになる人の気持ちもよく分かりますが、一方で、「ノート本」がはやる理由もそれなりにあるでしょう。そもそも「ノート」が文具屋さんにはずいぶんたくさん置かれるようになりました。

どれもおしゃれで、「うまく使ったら、なんかいいことありそう」という気にさせられます。と同時に、Evernoteなどの「デジタルノート」も十分実用的なレベルに仕上がっています。iPadも登場しました。何を、どう使えばいいかで、迷う人がいて当然です。

それに、「ノートのとり方」というのは、いろんな話が飛び出すわりに、きちんと学校で教わるとは限りません。「できる子は、ノートのとり方がちがうから、ノートのとり方を工夫しなさい」という先生が小学校時代にいましたが、その先生はついに、「ノートのとり方」を教えてはくれませんでした。(蛇足ながら、私の小学5年次において、クラスで抜群に「できる子」は、そもそもノートを取っていませんでした)。

というわけですから、「ノートのとり方」なるものを「伝授する」という本が登場するのは、当然といえば当然なのです。

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編 (Nanaブックス)
美崎 栄一郎

ナナ・コーポレート・コミュニケーション 2010-06-25
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今日ご紹介するこの本は、続編なのですが、第1作よりも面白いと私は思います。ただ、タイトルは、これが正しい付け方なのでしょうが、中身を反映しているとは言い難いのです。このタイトルでは、著者である美崎さんのようにノートを取るための「実践編」と思い込む人がいるはずですが、そういう本ではないのです。

いろいろな職業の、いろいろなノート

本書には、いろいろな職業に就かれている方が使っている実際のノートが紹介されています。20ケース以上で、読みごたえがあります。

たとえばライターさん。あるいは税理士さん。ちょっと変わったところで、内視鏡検査をされている勤務医さん。それぞれの職種における特殊事情に加え、もちろん個人的な思い入れや性格もノートには反映されます。

ここが面白いところです。本書を読むことで、即座に使える「ノートハック」がどれほどあるかは全く読者次第ですが、参考になる発想や、納得させられる考え方には必ず触れることができるでしょう。

たとえば、金融業務に就かれている方は、セキュリティが当然他より厳しいため、仕事でノートを取ること自体が難しくなるかもしれません。ITツールは当然のように使えない。となると、工夫の仕方も非常に変わったことになるわけです。

また、これだけ扱うケースが増えてくると、「あまりノートを取るのが得意ではない」というケースが発生してきます。その辺の事例からも、本書のタイトルには難があると思いますが、こういう事例は逆に面白いのです。具体的な苦労が感じられますし、それに対する著者のそれらしいアドバイスも飛び出します。

読者によっては、著者の意見の方にこそ、納得できないということもあるでしょう。それも多々あるかもしれません。けれども私は、そういう本の方が、読んでいて面白いと思うのです。