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ルノアールを仕事場にしたい人のための2冊

今日ご紹介するのは、「ノマドワークスタイル」を実現したいという人向けの2冊。本当は1冊にしたいところなのですが、私の考えでは、今日ご紹介する2冊で1セットなのです。

1冊はずいぶん以前に出た本で、「ノマド」では定番。もう1冊はつい最近に出た本です。

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)
仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書) 佐々木 俊尚

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star大事なのは自分を律する力
star強い人にはお勧めかな
starクラウドは非常に魅力的だが、ログインできないリスクも考えるべき。

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こちらの「定番」の方は、比較的「理論編」としての趣の強い本です。具体的な事例も出てきますが、著者である佐々木俊尚さんの実践例であり、読者が実際にどうやって「ノマド」をやっていくかとなると、ちょっと悩んでしまうかもしれません。

それに、本書では重要な指摘が「行間」とまではいかないまでも、さらりと書き流されているところがあります。佐々木俊尚さんは流れで巧みに文章を書き進めていくので、思わず読み飛ばしてしまいそうなところに、大事なことが書かれていたりするのです。

たとえば、佐々木さんはかなり膨大な仕事を抱えていながら、アシスタントはひとりも雇っていないといい、その代わりにiPhoneを使い、RTMを使い、Evernoteを使い、Googleカレンダーを使い、Bylineを使っていると書いています。「そういうものをいくら駆使したところで、仕事の生産債をあげることなどできない」という主張を実績で否定しているように思えます。

しかも、次のような下りもあって、なかなか考えさせられてしまいます。

私に関していえば、気分が乗っている時や〆切が迫ってきて切羽詰まっている時は、30分から1時間くらいはアテンションが持続しますが、気分が乗らない時やだらけている時は、がんばっても5分から10分ほどしか続きません。気がつけばウェブブラウザを開いて暇つぶしの読み物に没頭してしまっていたり、2ちゃんねるで仕事とは全然関係のないスレッドを読みふけってしまったりしています。

これなら私たちとやっていることが何も変わりません。しかし、それではあれほどの分量の文章を出し続けることがおそらく不可能になってしまうので、気をつけていることはあるはずなのです。

この私の行動で問題なのは、「アテンションが途切れてしまうこと」ではなく、「暇つぶしの読み物に没頭してしまうこと」「仕事と関係ないスレッドを読みふけってしまうこと」なのです。

これは面白い考え方です。それにしても本書はこのように、ノマドをテーマとした「考え方」に焦点が当たっていて、いろいろと面白い話を読むことはできるのですが、いざ、自分で「もっとノマド」と欲した時、どうしていいかがすぐにわかるようには書かれていないのです。

そこで、次の本が役に立ちます。

「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法
「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法 中谷 健一

ダイヤモンド社 2010-06-04
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starヒントをくれる一冊

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本書は一転して、非常に具体例に満ちています。ルノアールをオフィスにするとどうなるか。スターバックスならどうか。ドトールなら、マクドナルドならどうなるか。

さらには、レンタルオフィス、ネットカフェ、ファミリーレストラン、新幹線、果てはカラオケボックスまでと、非常に実践的・現実的な紹介例が満載です。

場所だけでなく、必要なものについても写真付きでよく紹介されています。鞄はどんなものが便利か。電源はどうか。USBケーブルはどれが便利か。iPhoneスタンドは。

私事ですが、最近娘が入院して、しょっちゅう病院で仕事をしなければならなくなって、ある意味で必要なのは、「ノマドワークスタイルの理念」というよりも、本書のような泥臭いカタログのような本だと思うところはありました。

私はもともと、あまりノマドワークスタイルが好きではなく、とにかく家にこもって仕事を進めていくのが性に合っています。外に出た方が「モチベーションが高まる」ということは、全然ありません。家がいちばん好きです。

そういう私のような人間が「ノマド」をするのは、必要に迫られてのことなので、「カラオケボックスで仕事をしなければならなくなったら、こういうことに気をつけた方がいい」というアドバイスの方が、実際役には立つわけです。

▼編集後記:
佐々木正悟

『予想通りに不合理』のダン・アリエリーの新刊を読んでいます。ただし、英書。しかもKindle for iPad & iPhoneです。

はっきり言って最後まで読み通せるという自信はあまりありませんが、読み出したら予想以上に読ませます。さすがに文章がうまいんですね。英語でもそういうことははっきりあるんだ、と感心した次第です。あるに決まってるんですけどね。

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