
「どうすれば知的生産力を高められますか」という質問を仮定した場合、それに答えるのは少々難しいと言わざる得ません。おそらく期待されているような「奇術のタネ」はまったく無いからです。
それは「知的生産力を高める事ができない」という事ではありません。ただ、私が提示できるものはかなり泥臭い答えしかない、というだけです。
知のストレッチ
日垣隆氏は『知的ストレッチ入門』の中で、知的な活動もスポーツと同じようにトレーニングしていく事でその能力を伸ばせると主張されています。
ここで、前屈を思い浮かべてください。久しぶりに体前屈をすると、手の先が膝くらいまでしか届かなかったりしますよね。でも、たいていの人は毎日5分から10分のストレッチを続けていたら、一ヶ月程度でお腹が太ももにつくようになるでしょう。
知的ストレッチも、理屈はそれと同じです。
では、そのストレッチはどのように行えばよいのでしょうか。
前述の本の中で提示されている「知的ストレッチの基本3原則」を以下に引用します。
- インプットは必ずアウトプットを前提にする
- うまくいった諸先輩の方法をどんどん採り入れる
- おのれを知る
それぞれ少し見ていきましょう。
1.インプットは必ずアウトプットを前提にする
これは、立花隆氏や鎌田浩毅氏も同様の事を述べられています。
『ラクして成果が上がる理系的仕事術』(鎌田浩毅氏)によれば
あくまでも具体的に目に見える成果を上げるために、もっとも効果的な手法は何かというわけだ。アウトプットという最終生産物から逆算して、途中にあるすべてのプロセスを決定していく方法論なのである。
となります。
アウトプットという一定の目的を作っておけば、アクセスする情報は自ずと限られてきます。これは見方を変えれば、時間という限りある資源をどのように使うのか、と捉える事もできそうです。目的が無ければ散漫と時間を浪費してしまいがちなのは誰しも経験があることでしょう。
一番まずいのが「なんとなくインプット」だけを重ねて、何一つアウトプットを出せない状況に陥ってしまう事です。
そういう状況を回避するには、ブログで定期的にアウトプットする習慣をつけるのが一番です。自分だけではやり通せる自信がないならば、一度勉強会をセッティングして、そのためにインプッットをするという形を作ってしまうことです。徐々にその形に慣れてくれば、自然とインプットの効率は上がっていくでしょう。
2.うまくいった諸先輩の方法をどんどん採り入れる
これは説明するまでもないと思います。「誰かが試してすでにうまくいった「技術」があるならば、どんどん取り入れる事は大幅な効率化に有効です。「知的生産」に関する本も沢山発売されていますし、ブログで紹介されている技術も多いでしょう。それらを活用しない手はありません。
以下は『知的ストレッチ入門』の(p24)より
他人が開発した「使える智恵や技術」は、さっさと採り入れてしまうに越したことはありません。
ただし、この部分には留保が付きます。それが3番目の原則とつながってきます。
3.おのれを知る
「成長」という要素を考えた場合、これが一番重要な原則になってくるでしょう。「知的ストレッチ入門」(p25)では以下のように書かれています。
自分の立ち位置や相手からの距離感や強みや弱みを理解していない人は、何に向かって努力をしたらいいのか、どこを工夫したらストレッチが成功するか、自分のアウトプットがどのように評価されるかを理解することができないからです。
進むべき方向性が分かっていなければ、少しずつ歩みを進めていく事もできません。
例えば、自分の成果を少しずつアウトプットして評価を探ってみたり、あるいは同じレベルにいる人たちと互いに評価し合うなどの活動を通じて、自分の「間合い」というのを確認していく事が必要です。
また、誰かの技術を使う場合にも、自分が現状どのような環境にいるのか、どんな物が合うのかということを知っていないと「応用」することはできません。
「整理を始める前に考えたいこと ~汝自身を知る~」というエントリーでも同様の事を書きましたが、ビジネス書を読むだけでは得られないのがこの「おのれを知る」ということです。
一ヶ月位に一回程度でも、
- 自分が今どんな状況にいて
- どんな強みを持っていて
- 何が弱点で
- これからどんな方向に進みたいのか
について自己対話してみることも有効だと思います。
まとめ
今回は、知的生産の力をのばす方法について考えてみました。もう一度三原則を列挙しておきます。
- インプットは必ずアウトプットを前提にする
- うまくいった諸先輩の方法をどんどん採り入れる
- おのれを知る
これらは画期的な方法ではありません。また、即効性があるわけでもありません。その分、誰にでもできるというメリットがあります。「自分は才能が無いから」と投げてしまう前に、少しずつストレッチを始めて見てはいかがでしょうか。
▼参考文献:
合計16個の理系的テクニックで構成される仕事術集。知的生産に応用できる要素もたっぷり。
言わずと知れた「知的生産」の古典的一冊です。
▼関連エントリー:
▼今週の一冊:
今回は「知的ストレッチの基本3原則」を引用させていただきましたが、それ以外にも「知的」な要素たっぷりです。あと若干の毒舌も。ハックを集めて構成された本ではなく、著者の実践方法などがじっくりと紹介されているので、一つの読み物としても十分楽しめます。
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▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。
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1961年大阪府生まれ。
関西大学体育会サッカー部をはじめ、
15年間サッカーコーチを務めたのち、
41歳でフィットネス業界へ転身。NSCA認定パーソナルトレーナー、
日本トレーニング指導者協会トレーニング指導者、
日本フィットネス協会エアロビックダンスインストラクター、
日本ウエーブストレッチ協会インストラクター、
日本SAQ協会レベル1インストラクター等の資格を生かし、
パーソナルトレーナーとして活動中。現在、ティップネス東京体育館、第一ホテル東京フィットネス&アクアゾーン、
ドゥスポーツプラザ南砂町、自宅出張等で指導している。「フィットネスが社会を救う」をモットーに、フィットネスを広めるべく
日々活動を続ける社会派パーソナルトレーナー。
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2010 年 5 月 22 日 at 04:32
[...] また、上の文章は「知的生産力をいかに高めるか?」(シゴタノ!)という記事が真っ向から否定されているような感じです。まあ微妙に違うと言えば違うわけです。日本語として比較すると [...]