
「どうすれば文章力をあげることができますか?」
と、私が誰かに尋ねられたとしたら次の二点をあげます。
・読むように書く事
・書くように読む事
すでに文章を書いている方には当たり前のことかもしれません。しかし、この基本的なことについて触れられているのをあまり見かけないので、今回はこの二つについて考えてみたいと思います。
読むように書く
本多勝一氏の『日本語の作文技術』という本の中では、文章の書き方として「ダメな」例が二つ挙げられています。
- 話すように書く
- 見たとおりに書く
アドバイスとして「話すようにかけばいいよ」とか「見たとおりに書けばいいよ」と言われれば、書き手としては楽な気持ちになれるでしょう。それらは日常的に行っていることなので、あたりまえにできると感じます。
しかしながら、実際このアドバイス通りにやって文章を書く事ができるか、というと怪しい雰囲気が漂ってきます。
会話で情報をやり取りするのはそれほど難しい事ではありません。それは言葉以外のやり取りによって情報が補われるからです。
相手のうなずきがあれば、内容が伝わった事がわかりますし、もし納得できない表情を浮かべていれば内容の補足ができます。あるいは身振りや手振りによって情報の強弱をつけたりすることも可能です。
基本的に文章を書く事と、誰かと会話をする事はまったく別の作業です。だから、「話すように書けばいい」というアドバイスは気休めにしかなりません。
同様に「見たとおりに書けばいい」アドバイスも使えません。絵画では平面に瞬間を切り取る事ができますが、文章においてそれは実現不可能です。
※このあたりは『日本語の作文技術』p16に詳しい
これらを踏まえて私はこう考えます。
「書く事は書く事以外のなにものでもない」
文章を書く力は文章と関わっていく中でしか鍛えられないと思います。それは本当に基本的な事なのですが、そうであるがゆえに文章術の本にはきっと書いていないと思います。
推敲せよ!
自分の書く文章に自信が無い人は、きっと書き始める事すら億劫に感じておられるかもしれません。しかしながら、文章を書く力が無くてもある程度「読める」文章を書く事はできます。
以下のステップを行うだけです。
- なんでもいいから、とりあえず書く(表現や心得などは気にしない)
- 書いたものを読み返す
- 誤字や脱字やあからさまな表記の間違いを直す
- 直したものを読み返す
- 読んでいて論理的な文章のつながりがおかしいところを直す
- 直したものを読み返す
- 表現が気になる部分を直す(同じ単語が続いている、文末が同じなど)
- 直したものを読み返す
- 違和感無く読み通せたら終わり
ようするに何度も読み直す、ということです。あとはそのたびごとに気になるところを修正していくだけです。非常に簡単で泥臭いやり方です。これは漢字で表せば「推敲」という作業です。
私も「文章術」の本をいくつも読んできましたが、その中で「推敲」せよ、と強く書かれてあった本はありませんでした。多分著者にとってはあたりまえすぎる事なのでしょう。
しかしこの「推敲」という行程があるからこそ、お粗末ながら私も文章を書く事ができます。もし、一度書き出した物が固定化され書き直せない状況なら、文章など一行目を書き始めることすらおぼつかないと思います。
視点を移す
以前「メタ・ノート」という手法を紹介しました。時間というフィルターを使って発想を選り分けていくという方法ですが、これは「発案者」たる自分の視点とそれを評価する自分の視点を分ける方法とも捉えられます。
「推敲」も書き上げた直後の自分、つまり書き手としての自分の視点から読み手としての自分の視点に移行していく作業だと言えます。
書き上げた直後はスラスラと読める文章でも、時間をおくと疑問符が浮かんでくるということはよくあります。書き上げた後は自分の考えがまだ「短期記憶」に眠っているから違和感は感じません。しかし時間が経って「短期記憶」が薄れていけば、徐々に曖昧な文章というのが見えてきます。そこを一つ一つ修正していけば他の人が読んでも理解できる文章に近づける事ができます。
つまり「読むように書く」とは、読者としての自分が読めるように文章を修正していく作業をしっかりと行うということです。
書くように読む
これは直接的な文章技術ではありません。
自分が書きたいと思う媒体の文章を読む場合に、書き手としての視点で読む、ということです。
内容を読んで「ふむ、ふむ」と頷くだけではなく、著者の視点で文章を見つめる作業を行います。例えば次のようなチェックポイントがあります。
- どのような表現を使っているか
- 自分が読みやすいと感じた部分はどこか
- 自分が読みにくいと感じた部分はどこか
- →どうすればそれを修正できるか
- 文章の長さは長いか、短いか
- 使われている言葉は簡単か、難しいか
全ての文章についてこのような接し方をする必要はありません。
その分野で有名な人、一流と呼ばれている人の文章を「文章のお手本」として分析することで、「読み手」としての自分のレベルを上げることができます。そしてそれはそのまま自分の「推敲力」を上げる事につながります。
スタートの「文章を書く力」があまり無くても、推敲さえしっかりできれば、他人に読んでもらえる文章を書くことはできるようになります。
まとめ
さて、文章を書く上での基本的な事についてみてきました。
・読むように書く事
・書くように読む事
は、
・何度も推敲する
・お手本から学ぶ
と言い換える事ができそうです。
「今、自分は文章を書く力が無いから」とブログから距離を置いている人がいるとすればそれは非常にもったいない事です。
文章術本で語られているテクニックは確かに重要なものが沢山あります。前回ご紹介した心得は
- 書き出す前に、「誰に・何を」伝えるのかを明確にする
- 事実と意見を区別する
- 短い文を心がける
この三点ですが、これを意識しながら文章を書くのはなかなか大変です。初めのうちは思うままに書いて、上の心得を意識しながら「推敲」していくことで読んでもらえる文章にブラッシュアップしていくことができると思います。
そういった作業を繰り返す中で初めて「文章を書く力」が身に付いてくるのではないでしょうか。
▼参考文献:
基本的な句読点の打ち方から漢字とカナの使い分けなど。当たり前に使っている日本語という言語を相対的に捉える上で参考になる一冊です。
▼関連エントリー
・思考を整理する「メタ・ノート」習慣を始めよう!
・ブログを書く上で知っておきたい文章の心得
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手帳・ノート好きには目新しい内容はありません。しかし、著者の文具への愛着を感じる中で、「文具好きの自分」というものが改めて肯定されたような気分を味わえました。
最近基本的な事ばかり書いている気がします。しかしながら基本は重要ですよね。文章術のテクニックだけを学ぶうちに「文章を書く事」を難しく捉えすぎてしまっているということもあるかもしれません。難しく考えすぎて実践が追いついていない、という事態は文章以外の要素にも眠っていそうな気がします。
▼倉下忠憲:
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呼吸器・アレルギー内科専門医/ハーブ医療のスペシャリスト
福島県生まれ。専門は呼吸器、アレルギー内科専門医。
大学病院でがんの臨床研究に携わり、がん患者の約6割がサプリメントなどの補完医療を行っている事実に直面。自身も根治が困難とされる喘息・アレルギーで苦しみ、現代医療に補完医療を取り入れたことで人生が大きく変貌した経験をもつ。この時より医療の融合が重要だと実感する。
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普段はエビデンスに基づいた現代医療を中心に診療を行っているが、現代医療では治療が困難とされる生活習慣病、免疫力増進、未病などに対しても積極的に深く関わっている。
患者さまの状態をみて、不必要な医薬品は減らしていき、補完医療を融合させた方がよいと判断した場合は、満足のいくテーラーメイド医療を提案できるプロフェッショナルとして全国で活躍中である。
また普段より補完代替医療従事者との連携を非常に大切にしており、医療の主役は医師でないことを主張している。
同等な目線から患者様が幸せな医療を受けられるように、補完医療従事者のスキルアップを目的とした融合医療研究会を主宰している。
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福島県生まれ。専門は呼吸器、アレルギー内科専門医。









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