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プレゼンの神はディテールに宿る。Keynote で「何か違う」プレゼンをつくる5つのコツ

堀 E. 正岳本業が研究者の私ですが、このシーズンは学会や会議が続くのでプレゼンシーズンといってもよい時期です。

プレゼンを成功させるには多くの失敗例を知識として頭に入れて、ひたすら原稿と身振り手振りまでをも暗記することで緊張を和らげるのが効果的ですが、その一方でプレゼンのスライド自体をある程度美しいものに仕上げておくことも重要です。スライドに自信がないと、「この程度のスライドでは笑われてしまうのでは?」という不安が心に入り込んで緊張を生んでしまうからです。

Mac のプレゼンアプリ Keynote には、手軽に見栄えを調整することのできる機能が多く盛り込まれていますが、今日はその中から私がよく使う、ほとんど時間をかけずに「何かが違う」という雰囲気を出すことのできる5つのテクニックを紹介したいと思います。


 

文字の色は黒だけと思ってませんか?

テキスト色は「黒」というイメージがありますが、実際には雑誌や本でみる黒も本当にグレイスケールでいうところの「0%」だけとは限らず、紙面にあわせて微妙な調整を加えてあることが多くあります。

プロジェクターで映したフォントは白地にぎらぎらと黒く見えることが多くありますので、あえて少しだけグレイスケールを調整するだけで雰囲気が変化します。

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背景カラーをほんの少し色付けする

背景をいつも目を刺すような白地にしていないでしょうか? 先ほどの黒字のフォントと同様に、背景となるスライドのカラーもほんの少し灰色を入れたりすることで、印象を大きくかえることができます。

この色を調整するには、インスペクタから「スライドのアピアランス」を選択して、背景カラーを変更します。大きく変化させるよりも、「95% の人はきっと気づかない」くらい知覚の限界ぎりぎりで変化させる方が効果があります。

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影でフォントに雰囲気を与える

下の例をみると、上のフォントの方がどこか雰囲気があるのに対して、下側のフォントはすっきりとした印象を与えます。こうした効果は、フォントに対して「オプセット 0」で大きめのぼかしをいれた影をつけることで生み出すことができます。

背景が黒で白いフォントを使う場合にはあえて白い影を入れることでフォントが淡く光っているような効果を生み出すのにも使うことができる、応用の効くテクニックです。

下の例では、わかりやすく影を濃くしていますが、実際のプレゼンではさらに薄く、知覚の限界ぎりぎりに調整することで「何だかわからないけど、雰囲気がある…」という演出もできます。

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カラー選択には「HSV つまみ」を使う

これまで何回か「知覚の限界」という言葉が出ましたが、簡単なプレゼンでも「何かが違う」という雰囲気を作るには、微妙な色合いの変化を演出することが重要になってきます。

こうしたときには普通の 「RGB つまみ」よりも、「HSV つまみ」を使うことによって微妙な色合い、明度、彩度の変化を調整する方が楽に行うことができます。

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文字幅を利用して雰囲気を変える

ふだん、私たちがコンピュータの画面で目にしているフォントの間隔は画一的で目新しさを感じさせません。そこでインスペクタのフォントパネルでほんのすこし字の間隔を変化させることによって、同じフォントでも凝縮感や、開放感を作り出すことができます。

たとえば下の例ではタイトルフォントを大きくする一方で横方向に間隔を圧縮し、副題のフォント間隔は逆にその横幅にあわせて広げて開放的にしています。たった二カ所の変化ですが、見た目の印象をかえることができました。

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まだまだ応用例が

これらの設定はインスペクタやカラーパネルなどで1カ所を選ぶだけで実行することができますので、時間がない中でスライドを急いで作っているような場合でも、簡単に見た目に味わいを加えることができます。

これらのテクニックをフォントだけでなく、画像のパーツなどにも応用することで、さらに雰囲気のあるスライドも作ることが可能です。

Keynote のこれらの機能を駆使して、スライドの自信作をぜひ作ってみてください。

 

▼最近気になっている一冊:

今週は紹介する本がないなあ、と悩んでいたいところ「まてよ、本をあまり読む時間はなかったけれども、耳で聞き終わった面白い本はあったじゃないか」ということに気づきました。

それが BuzzMachine というブログの著者であり、ジャーナリスト、大学講師などの多彩な顔をもつジェフ・ジャービスの『グーグル的思考』です(原題の方がセンスがあって、”What Will Google Do?” といいます)。

題名とはうらはらに、この本は「Google とは何か?」「Google はなぜ成功したか?」というテーマを追った本ではありません。むしろ、Google、Facebook、Craigslist、Twitter といった、これまでのビジネスモデルの常識をくつがえす存在が、インターネットをプラットホームにしてどのように社会を変えつつあるのかについて書いた本です。

あなたが本を書く著者であれ、不動産業者であれ、大学講師であれ、普通のサラリーマンであれ、この新しい世界の影響を受けずにいられないということをわかりやすくまとめた好著です。

私はこれを Audible.com のオーディオブックで著者本人の肉声で聞いてしまったのですが、日本語訳はどうなのでしょう? 興味をもたれた方は私まで感想を送っていただけると幸いです。もちろん、Twitter で。

グーグル的思考
ジェフ・ジャービス
PHP研究所 ( 2009-05-16 )
ISBN: 9784569708195

 

▼編集後記:
堀 E. 正岳

先月本が出て以来、ずっとやりたいとおもっていた「iPhone 情報整理術」セミナーを開くことになりました。なんと場所は、Mac な人には聖地ともいえる、アップルストア銀座店です。

iPhone 情報整理術セミナー
~ 人生のすべてを iPhone に入れる ~
話者: 堀 正岳・佐々木正悟
日時: 12 月 5 日 (土) 13:00-14:00
場所: アップルストア銀座
入場無料

入場は無料ですし、参加登録も必要ないのですが、それだとちょっとさびしいので、「参加表明」という形で Twitter で私につぶやいていただければ、「参加する(つもりだ)ぞー!」という人のリストに追加させていただきます。

多くのご来場をお待ちしています。席は 80 席程度ということなので、お早めに!

 

▼堀 E. 正岳:
「これからMacを始めたい人」を徹底ガイド。Lifehacking.jp主宰。