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仕事の楽しさは仕事の中にあらず、人間関係の中にあり

By: Andrew CurrieCC BY 2.0


大橋悦夫子どもの行動を観察していると、あることに気づきます。それは、何をやるにしても、親にほめてもらえるかどうかが重要なファクターになっていることです。たとえ気の進まないことであっても、後でほめてもらえるとわかれば、何とかしてやり遂げようとする。

 「えらいね、ちゃんと靴そろえたんだね」

大人にとっては些細なことでも、子どもにとっては一大事。きちんと伝える(=ほめる)ことで子どもは俄然やる気になります。

もちろん、お腹が空いたり、眠かったりといった生理的な欲求が行動を引き起こすことも(抑制することも)あるでしょう。でも、そういった欲求が満たされている限りは、行動のよりどころとなるのは親にほめてもらえるかどうか、だと思うのです。

あるいは、親に怒られないかどうか。子どもにとって親に否定されることは自分自身の全否定のようなものですから、おのずと避けようとします。

子どもの話を書きましたが、このメカニズムは大人になってからも引き続き影響力を持っていると思っています。ただし、大人にとってのほめる主体は親ではなく自分にとって大切な人

例えば、会社の上司やお客さま、あるいは恋人やパートナーといった、他人以上肉親未満の関係にある人。多くの場合、利害関係者。

今ある仕事に真剣に打ち込めているとしたら、それはその仕事が自分にとって得意なものであったり、楽しいものであるといった、“噛み合わせ”の妙もさることながら、それ以上にその仕事にかかわる人からほめられたり認められたりすることも大いに影響しているはずです。

  1. 好きで得意な仕事に取り組み、
  2. その成果にお客さまが喜び感謝し、
  3. 上司からは努力を正当に評価される、

この3つのどれか1つでも欠ければ、その仕事はたちまち辛く厳しいものになってしまうでしょう。

つまり、どうしたら人にほめてもらえるか、あるいは認めてもらえるかはあらゆる行動の大前提になるのです。

一方、人を動かす立場にある人にとっては、目の前の相手がほめて欲しいと思っているポイントを素早く探り当て、時を移さず認めてあげられるセンスとノウハウが、仕事そのものを行うためのセンスやノウハウ以上に重要になってきます。

動かすべき部下がいないという人であっても、仕事をしている限りは人間関係からは無縁ではいられませんから、このセンスとノウハウは磨いても磨きすぎることのないものです。

  • 「あの人、仕事はできるけど人間的には好きになれないよね」

などと言われることは避けたいですから。

では、どうすればこのセンスとノウハウを磨くことができるか?

それは、月並みですが現実の人間関係に揉まれるしかないでしょう。摩擦があっても噛み合わなくても、逃げずに向かい続けること。そうすることでいつしか“角”が丸くなり、軋轢や引っかかりも減るでしょう。

即効性のあるノウハウがもしあったとしても、それは特効薬でしかなく“角”は残ったままで、根本的な解決にはなりえません。

とはいえ、逃げずに向かい続けるにしても、出たとこ勝負の行き当たりばったりではあまりにも効率が悪い。ある程度の方向性とガイドラインは必要でしょう。つまり、その道の専門家に教えを請うのです。ただし、教えてもらうのはあくまでも方向性とガイドラインというフレームワークであって、コンテンツではありません。

このあたりのことについては、以下のエントリーでも触れています。

» 多くの人に想いを伝えたい人のための「ほめる」仕組み 

すごい実績を上げた人の話というのは誰もが聴きたいと思うもの。そこに「すごい実績」を得るためのノウハウがあると感じられるからでしょう。成功者による「成功本」は多くの人に読まれるのも同じ理屈です。

でも、実際に話を聴いてみると(読んでみると)、大切なのはノウハウではないことに気づきます。もちろん、ノウハウを知っていれば成功ににじり寄ることはできるでしょう。でも、それはあくまでも成功という“島”にたどり着くための“船”に過ぎません。

必要なのは船を動かすための薪や石炭。それがあって初めて成功に向かって漕ぎ出すことができるのです。

ちなみに、このエントリーで取り上げた『繁盛店の「ほめる」仕組み』は、人間関係に向かい続けるための方向性とガイドラインを指し示し、“角”を丸くするためのヒントが得られる一冊。

人間関係にしっくり感を求めている人、“角”を丸めたいと思っている人であれば必ず得るところがあるでしょう。

» 繁盛店の「ほめる」仕組み (DO BOOKS)


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