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毎日欠かさずにブログを更新するには



倉下忠憲この連載は、2009年12月6日に始まりました。つまり、連載を始めてから6年以上が経過しています。

毎週一度の更新を一年続ければ、年間50個程度のエントリーが生まれるわけで、それが丸6年。エントリー総数は300を超えています。こうして振り返ってみると、なかなかすごい数です。

しかし、連載を始めるにあたって、「6年間で300以上のエントリを書くぞ!」と決意したわけではありません。そんなことは計算すらりませんでした。でも、その成果を今の私は手にしています。

シゴタノ!だけではありません。R-styleというブログも10年以上続いており、エントリー総数は4200を超えていますし、Twitterで一日一回つぶやいている「今日の一言」も、1500個を超えました。それらはすべてEvernoteにストックされており、一覧してみると、あまりの量に驚くぐらいです。

しかし、はじめたときには、そんな数になるなんて想像もしていませんでした。

そこが、この話の力点です。

大目標パラドックス

以下の記事に面白いパラドックスが紹介されています。

» 新年の誓いを実現させるコツ | シゴタノ!

目的思考の人はどうしても「千里の彼方」に意識が向きがちです。「とりあえず歩いてみても、目的地に近づいた感じすらしないし、だれも注目しても褒めてもくれないし、むなしい」という感覚は、大ごとをなすには非常に邪魔なもので、実際にはちょっとしたことを実行するときにすら、役に立たないことが多いのです。

物事を始めるにあたって、「目的」を確認することは重要でしょう。少なくとも、その重要性を説く言説には事欠きません。

しかし、その目的が大きければ大きいほど、目の前の一歩は小さく感じられます。極端な言い方をすれば、無意味に感じられます。やってもやらなくても変化がないように感じられるのです。すると、モチベーションが湧いてこず、アクションが生まれません。結局、目的との距離が縮められないままの状態が続いてしまう。

これは非常によくある話です。自分のことを振り返ってみても納得できますし、周りの人の行動を見てもうなずけます。だからこそ、「夢中になれることをやろう」といったアドバイスが生まれてくるのでしょう。

夢中になっている間は、目的のことについてなんて考えなくて済むわけですから。

表現の変換

しかし「夢中になれること」だけをやる、というのは難しいものがあります。何かしらのテクニックが必要でしょう。

考えてみると、毎日(あるいは毎週の特定の曜日)ブログを更新するという目標には、終わりがありません。その状態を維持するか、止めるか。その二つです。おそらく、そのままの状態でこの目標を捉えてしまえば、ほとんど苦行に等しくなるでしょう。

しかし、実際の所はそんな大層なものではありません。

「毎日ブログを更新する」という目標は、表現を変換すれば、「≪今日はブログを更新する≫というタスクを毎日発生させ、それを実行に移す」となります。この表現の中には大きな目標はありません。その日、その日でフォーカスが当たっているのは、「今日、ブログを更新すること」だけです。それを言葉通り毎日繰り返していくと、結果として、「毎日ブログを更新する」という状態が維持されていきます。

大きな数値目標

仮にその表現を、「一年で365個の記事を書く」とすればどうなるでしょうか。

少なくとも一つの記事を書けば、1/365は達成されるわけで、まったく無意味には感じないでしょう。「やらないよりはマシ」とは思えるはずです。しかし、その心的効用感はあまり大きそうには思えません。

結果、「今日は書かないけど、明日二つの記事を書けばいい」という言い訳が発生し、「明後日三つ」になり、「来週五つになり」、最終的には「来年こそはがんばろう」となってしまいます。

人によって感じ方は違うでしょうが、目標値を使うアプローチも、数(あるいはスパン)が大きすぎると遠くに感じらてしまいそうです。

その点、「今日、ブログを更新する」や「今日の午前中にブログを書く」という小さい(あるいは短い)目標ならば、心理的な距離はぐっと近くなります。達成感という名のフィードバックも早めに返ってきます。

さらに、別にどこかの日で更新しなくても、目標が止まることはありません。何事もなかったかのように、次の日「今日、ブログを更新する」というタスクが発生するだけです。挫折感があるのは一日限りで、次の日にはリセットされるのです。

さいごに

もう一度確認しておきましょう。

「毎日ブログを更新する」(あるいは毎週)という目標は、言葉通りに捉えてしまうと、非常に大きな目標となってしまいます。手がつけにくく、達成感を得にくく、一度挫折すると劇的にモチベーションが下がってしまう類の目標です。

その目標を、「≪今日はブログを更新する≫というタスクを毎日発生させ、それを実行に移す」に変換すれば、フォーカスは一日に移動します。目標が細切れになり、手がつけやすくなり、達成感を得やすくなります。一度躓いても、また立ち上がって歩いていけます。

これは、要するに「ルーチン化」です。著名な作家が、「毎日特定の枚数(文字数)書く」というのも、これと同じでしょう。

目標が大きければ大きいほど、遠ければ遠いほど、実際に管理すべきものは小さい日常の行動となります。

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