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解決したい問題を、自分の思考で解決する

佐々木正悟 腹が立って、胃がキリキリしているのに、神経を逆なでしてくる関係者と話をしたり、睡眠時間がどんどんなくなっているのに、残務がますます増えているような気がするとき、あなたはどうしているでしょう? 「ストレス解消の12の技術」や「短時間で深く眠る15の方法」をネットや書店で探すのも良いですが、あなたにはもっと強力な武器があるはずです。それはあなたの頭脳です。

大事な問題を思考する

人は毎日、いろいろなことを思考しています。家から会社に行くだけでも、思考する必要はありますし、昨日のお昼に食べたものを思い出しながら、その日に食べるものを決めるには、もっと思考する必要があります。

このように、1日の大半の「小さな決断」を下すのに、何度も思考過程を繰り返すわけですが、当人にとって最重要問題を解決しようというときには、自分の思考をなるべく使わない、ということにしている人がしばしば見られます。冒頭のような、キリキリする胃に塩を塗り込んでくるような人への「対処法」などは、かなり優先順位の高い問題です。

こういう、お昼に何を食べるかを決めるより、ずっと自分の頭脳を活用する価値にある問題になると、自分の頭脳を頼る気にはならなくなって、書店やインターネットに向かってしまうのは、残念なことです。もちろん、自分で考えるよりも「いいアドバイスが聞ける」可能性は十分あるのですが、そうならない可能性も同じくらいあります。ざっと考えてみても、

・本の著者やブロガーが、あなたより賢いという保証はない
・本の著者やブロガーには、あなたの問題は分からない
・本の著やブロガーが、あなたの問題意識を共有できていても、具体的なデータを持っていない

といった要因が横たわっているからです。

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短期記憶を操作する

そこでどうするかというと、自分の頭脳を活用します。問題を抱えている本人であれば、著者やブロガーに対して、少なくとも以下のアドバンテージが見込めるからです。

・自分の問題がなんであるか、詳細に知っている
・自分が求めている問題解決の成果も、はっきり分かる
・利用できる解決策の限界や環境も、手に取るように分かっている

このように、どんなコンサルタントも知りたがることを最初から知っている問題の当事者が、書店やネットに頼りたくなるのは、自分で考えてもいい知恵は浮かばない、と思い込んでいるからですが、「考える」ということを一からやり直してみると、一定の解決策は見えてくることが多いのです。それでもダメなら、そこで初めて、書店やネットを探しに行けばいいわけです。

「考える」ということは多くの場合、短期記憶の操作です。非常に基本的なところでは、二桁のかけ算の筆算です。思考過程において、単記憶の操作は必須なので、なるべく省力化して、短期記憶に脳を使わずに済むようにします。そうしないと、覚えておくことが限界を超えて、考えるどころではなくなるからです。

一般的な「問題」における記憶操作では、「シンボル」というものをよく用います。たとえば「上司」はシンボルです。絵文字などの「記号」で表しても良いでしょう。それらの「シンボル」を矢印やら分岐やらでシミュレートしてみて、現状、望ましい状態、力関係、執りうる手段などを探し求めるわけです。だいたい、以下のようなシンボルが考えられます。

・繰り返される問題
・関係する人間
・状況
・結果
・利用できる手段
・時間などのリソース
・過去に起こった事件

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短期記憶を拡張する

シンボルを利用するのは、短期記憶を節約するためですが(詳細でリアリティのある上司のイメージなどを想像すれば、イメージ操作どころではなくなります)、短期記憶容量自体を拡大するのも思考を助けます。その1つに、「リラクセーション」があります。

瞑想でも呼吸法でも、方法はいくつかありますが、短期記憶操作という目的に即して言えば、

・記憶容量を増やす
・感情に記憶操作のジャマをさせない
・思考過程に集中する

などのメリットがあります。「課長のことを考えただけで、はきそうになる」という状態では、思考はなかなか前に進みません。シンボルを操作するには、シンボルへの過剰な情動的反応を、生じさせない必要があるわけです。

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ツールを使う

思考を補助するツールとして、以下のようなものがよく紹介されます。

・マインドマップ
・樹形図
・表

なぜこうしたものが役立つかというと、短期記憶の操作に便利だからです。筆算中、4×6=24を、脇に書き付けておくようなものです。そうすれば、それを覚えておくための心的努力が不要になるでしょう。

ときどき、これらを使ったときには、「シミュレート」しかやらない人を見かけます。つまり、どちらでも良いようなことを考えるのに、これらのツールを使っているのです。重要なのは使うツールではなく、思考することと、その対象です。大事な問題だけを、自分の頭脳で考えましょう。どちらかと言えばどうでもいい問題こそ、「●●のための10の方法」を参照するだけにすればいいのです。

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▼編集後記:
佐々木正悟



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