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毎日の記録とふり返りが必要な理由



大橋悦夫スピードハック研究会やタスクカフェによく寄せられる質問に「なかなか作業時間の見積もりができない」があります。

これは悩ましい問題ですが、解決できない問題ではありません。

まず、見積もりとは文字どおり積み上げていくものであり、予想して的中させるものではありません。
何もないところからいきなり正確な見積もり時間を弾き出すのは、不可能ではないかもしれませんが、限りなく「山勘」に近いといえるでしょう。

ではどうすればいいか。

それは、過去の記録を参照することです。前回15分かかったのなら、今回もおそらく15分はかかるでしょう。作業に習熟していれば、12分で終わるかもしれませんが、いきなり1分に縮まることはないでしょう。

つまり、前回の記録が残っていれば、それを参考に今回の見積もりを決めることができるというわけです。

前回だけでなく、前々回、前々々回の記録をさかのぼることができれば見積もりの精度はおのずとアップします。データが多ければ多いほど、異例による起伏がならされるからです。

異例とは「前回はたまたま例外的なアクシデントがあったので時間がかかった」などです。

未来は過去の投影

コンビニはPOSデータを蓄積することで、どんな商品が、いつ、どれぐらいの頻度で、どれだけ売れるかの予測を立てられるようになります。この予測は過不足のない発注を行なううえで役に立つはずです。

仕事においても、作業記録を蓄積していくことで、どんな仕事が、いつ、どれぐらいの頻度で発生し、どれだけ時間がかかるのかの見通しが立てられるようになります。この見通しは現実的な計画を立てるうえで役に立つはずです。

過去の記録を把握し、これを未来に投影すれば、そこに現れる影が計画になる、というわけです。ここに経験と勘を加味することで、計画の実現性は高まります。

とはいえ、経験と勘は計画の実現性を高めはするものの、計画の材料にはなりません。材料はあくまでもソリッドな記録であり、これがなければ経験と勘というフレーバーは役に立ちません。

記録は明日への足がかり

僕自身、毎朝の仕事始めの儀式として前日の記録を読み返すことを続けていますが、これによって、

  • 前日の仕事で引っかかったポイントがわかる
  • その引っかかりを解消するという課題が設定される

という2つの結果が得られます。うつろいやすい記憶に頼るのではなく、消さない限り残る記録を辿ることになるため、記録に残したことは漏れなくフォローできることになります。

翌朝に確実にすくってもらえる、という安心感があるからこそ忙しい仕事の合間をぬってでも記録を続けることができます。後で見るかどうかわからないような状況では記録のことなど二の次になってしまいます。

記録を読み返すことで、前日に抱いた「これだけは記録しておきたい」という感情が蘇ります。この感情が「同じ失敗を繰り返したくない」とか「同じ成功を再現したい」という気持ちを今日の自分にバトンしてくれます。

本当に不思議なのですが、切羽詰まっている時には「次回はもっと早めに取りかかるようにしよう」と心に誓っているはずなのに、喉元過ぎればなんとやらで、その「次回」がやってきても、いっこうに「誓い」は実行されません。かくして前回の二の舞になってしまうのです。

この流れを断ち切るためには、記録という“聖火”を次回の自分にリレーする必要があるわけです。

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