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アイデアメモはハナカミ

倉下忠憲
別に、メモ帳にティッシュを使え、という話ではありません。

また、レストランとかにあるナプキンにメモせよ、という話でもありません。

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※写真と本文は関係ありません

アイデアメモをとるのは、鼻をかむようなものだ、という話です。

アイデアメモの第一効用

鼻がムズムズしてくると、ティッシュを取り出して鼻をかむと、気分がすっきりしますよね。

それと同じで、何か頭に思い浮かんだら、すかさずメモ帳を取り出して、そこにメモするのです。そうすると、頭がスッキリします。アイデアメモを取る効用の第一段階は、このスッキリ感の獲得です。

つまり、「よし、後で何か活用してやろう!」という特別な意志のもとでおこなわれるのではなく、たんにそうしないと気持ち悪いからメモを取るわけです。普段からメモする習慣がある人は、こういう感覚をお持ちなのではないでしょうか。その視点でみると、アイデアメモとハナカミにはいくつかの共通点があります。

ただし、スッキリするだけでは少々勿体ないのも事実。

使い終わったハナカミはそのままゴミ箱に放り込まれますが、アイデアメモは後から利用可能です。それがハナカミとメモ帳の相違点です。

必須要件

ハナカミのメタファーで考えると、アイデアメモの必須要件は「常備していること」になります。

常にそれを持ち歩き、必要なときにさっと取り出して使える。それが満たせないツールは、残念ながらアイデアメモとしての用をなしません。カバンの奥底に紛れてなかなか見つからないティッシュが役立たずなのと同じです。

レストランのナプキンがとっさのメモ先としてよくあがるのも、それがテーブルの上に常駐されているからです。そして、すぐに取り出して使えるからです。

この点、携帯電話やスマートフォンはメモ先としては抜群です。いつでも持ち歩いているものですし、書くものと書かれるものがセットになっています。いくらナプキンがあっても、ペンがなければ書けないのですから、この点は非常に重要です。

逆に欠かさず筆記用具セットを持ち歩いているのならば、それをメモ先として運用していくことは十分可能です。

モヤモヤ感をうまく扱う

メモを書けば、頭がスッキリするわけですが、スッキリしてしまうことに一種の弊害があります。

それは、丸めてゴミ箱に捨てて、おしまい。になってしまいがちなこと。モヤモヤした気分を抱え込んでいれば、それについてさらなる対応ができるかもしれませんが、スッキリしてしまえばその段階で終了です。しかし、モヤモヤした気分を抱え込んでいると、それ以外の要素を全てスルーしてしまう弊害もあるわけで、「いつでもモヤモヤしておきなさい」と言うことはできません。

その点、紙のメモは、普段目に見える場所に置いておくことで、モヤモヤ感を再燃させることができます。たとえばデスクトップに付箋を貼っておく、なんて方法ですね。他にも、アイデアメモを放り込んでおく透明のビンを机の上に置いておく、なんてやり方もあります。

携帯電話のメモだと、こういうアプローチが少々難しくなります。たとえば、自分宛にアイデアメモをメールしたり、Evernoteのinboxに放り込んだりするなど、何かしらの工夫を含んだ対応が必要でしょう。

さいごに

アイデアメモはハナカミと考えると、いろいろ面白いことが見えてきます。

もちろん、実際は違った存在ですから、まったく同じ運用というわけにはいきませんが、ティッシュやハンカチを持ち歩くようにメモ帳を管理してみると、少し気楽な気分になるかもしれません。別段、肩肘張って「メモしなければいけない」と思い込む必要はないのです。

ハナカミ気分でいきましょう。

▼今週の一冊:

効率の良い市場(マーケット)をいかに構築するか。

腎臓のドナー提供から、研修医と病院のマッチング、学校選択など、これまでの経済学が対象としてないなかった分野で「市場」がデザインされ、活用されている。その基本的な考え方や構造を、わかりやすい例を使って紹介した一冊。

難しすぎる数式は一切出てこないので、丁寧に読んでいけば、市場の「仕組み」は十分追いかけられます。

これからの仕事と(知的)労働者のマッチングにも、こうした市場が適用されるようになるのかもしれません。


▼編集後記:
倉下忠憲



まだまだと言えばまだまだですし、佳境と言えば佳境に入ってきました。できれば、10月20日に開催される「2013ブロガーズフェスティバル」までには「脱稿なう」とつぶやきたいところです。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。