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自分にあったお金のため方を知る4ステップ

1.お金に対する自分の考え方を知る
2.自分の思い込みの弱点を知る
3.自分の考え方の長所を知る
4.自分にあったお金のため方を知る

ダチョウはなぜ金儲けが苦手なのか?―「お金タイプ」でわかるマネー術
ダチョウはなぜ金儲けが苦手なのか?―「お金タイプ」でわかるマネー術 Jordan E. Goodman 谷川 漣

文藝春秋 2007-07
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本書はあまり知られていませんが、とてもおもしろい本です。ただ読むだけでも十分におもしろい。なぜ売れていないのかは、何となく想像がつきますが、読まれていないのはもったいない本です。

本書の大きな欠点は、今のように経済的に深刻な状況になってくると余計に強く感じられることですが、まるで「動物占い」みたいな印象が強すぎることです。お金の話をされると、コンプレックスを感じる人もいますし、深刻な気持ちになる可能性だって低くありません。にもかかわらず、少しタッチが軽すぎるように思えます。『ダチョウはなぜ金儲けが苦手なのか?』意味もよくわかりません。

もうひとつ、タイプ別に分けるというのは、いいような気もしますが、本を買う側には、少し躊躇させます。私も実際躊躇したのですが、自分が当てはまるタイプ以外のタイプについては、あまり読む気がしないものです。そうなると、一冊買うのがいささか損くさく感じられるのです。

それでも、本書がいいと思われるのは、やはりタイプ別に分かれているからです。「貯蓄術」が一通りではなくて6通りあるというのは、理にかなっていると思います。比較的無神経にお金を使う人もいれば、お金を使うことにそもそも不安を感じる人もいます。両者は、異なる理由でお金を失ったり、儲けられなかったりするでしょうから、貯蓄術もそれぞれ用意されているべきだと思うのです。

というわけで、本書は色々な「マネータイプ」について、ひとつひとつその「対症療法」を示してくれている、親切な本です。自分がどのタイプに属すかは、冒頭のよくある「イエス・ノーチャート」にしたがって答えていけばわかるようになっています。ちなみに私は「カメ」タイプでした。

本書を一読すれば、6通りすべてのタイプに共通したパターンによる「療法」が、考案されていることがわかるでしょう。そのパターンが、冒頭に掲げた4ステップです。私自身の「カメタイプ」を例にとって、この4ステップを確認してみましょう。

1.お金に対する自分の考え方を知る

著者に言わせると、誰でもある種の「お金にまつわるパーソナリティを備えている」と言います。つまり、お金に対する決まり切った態度とか考え方というものがあって、そのことが、その人のお金の扱う上での障害になっているというわけです。

私自身は「カメ」タイプですから、「経済的安定を、自分に与えられた自然の状態」と思い込んでいるようです。これはなかなか手厳しい指摘で、少しどきりとさせられました。おそらく経済に限らず、このタイプは、「安定を、自分に与えられた自然の状態」と信じ込んでいるのです。

これは心理学的には、決して悪いことだとは思えませんが、不安定な状態に対する対応能力が、あまり高くないという欠点を持ち合わせています。このことはすぐ次でお話しするとして、このように本書では、まずタイプごとの「お金に対する思い込み」を指摘するところから始めています。これはなかなかよく分析されています。

2.自分の思い込みの弱点を知る

思い込みには当然、弱点がつきものです。すでに述べたとおり「カメ」タイプの思い込みは「安定は、自分に与えられた自然の状態」です。その欠点は、お金を計画的に貯めることができない点ではなく、危機に備えることができないことでもなく、ただ、現に不安定な状態になったときのことをあまり考えていないことにあります。

たぶん「カメ」という名称もここからきているのでしょうが、安定志向で、計画的に、コツコツと貯蓄し、あまり危険なことに手を出さないので、お金は貯まりやすい傾向にあるわけです。私自身のことを言えば、決してそれほど好ましい状況にあるとは言えませんが。

しかし、そのコツコツ貯めるというやりかたには、多分に自己満足的なところがあって、そうしてさえいればまずいことにはならないという、あまり根拠のない思い込みがあるわけです。ですから、うまくいっている間は確かに申し分ないのですが、何か問題が実際に発生してしまうと、そこからうまく抜け出せなくなるというわけです。

3.自分の考え方の長所を知る

弱点を知るとともに、長所も知るのが、タイプ別に物事をとらえるやりかたの基本でしょう。本書もまさにそうした作りになっています。タイプを分け、その弱点と長所を知り、弱点を克服し、長所を活かせば、どのタイプでもよりよい結果が得られる、というわけです。

カメタイプに関して言えば、長所はもちろん、マメで計画的で努力型で、本書のテーマに沿って言うなら、「コツコツお金を増やしていく」ことができることです。お金を失うことについては保守的でも、それは行動力がないということではありません。時には積極的にリスクをとります。しかし、基本思想は「安定志向」なのです。

私がこの通りの人間かと言えば、まずそうではありません。実際、タイプ分けとはそうしたものです。何もかも、本に書いてあるとおりだということは、まずないでしょう。だからこそ、他のタイプについても読むことになるわけで、そういう意味では、一冊買うことで損をするわけではないのです。

4.自分にあったお金のため方を知る

そして、何より大事なのはこの点です。タイプ分けのそもそもの目的が、自分にあった貯蓄術や、マネー術を知ることにあるのです。

「カメ」タイプに求められているのは、自信を持って「投資のリスクをとれ」ということです。あまりに保守思考で安定を求めていたところで、つねに安定的でいられるとは限らないから、ということですが、このアドバイスもあまり納得のいくものではありませんでした。

しかし、「安定は自然に与えられた状態ではない」という指摘は、確かにその通りです。したがって、現実に経済的危機になった場合のことも考えておくべきだというのも、納得できました。確かに私もその点では「カメ」で、「危機に陥らないようにつねに注意する」という思考にこり固まっていました。これは、危機に実際に陥った場合の対処法を考えることとは、異なるものです。そこには、つねに注意さえしていれば、危機に陥らない、とでも言いたげな発想があるのですが、もちろんそうはいかないでしょう。

このように、本書では6タイプのお金に関するパーソナリティを分類し、それぞれの分析を経て、アドバイスを提言しています。冒頭で述べたとおり、読むだけでもおもしろい本ですし、ためになることもたくさん書かれています。お金に関する本に書かれていることは、いつでもためになるような気がしがしてしまうということもありますが、その点を差し引いても、つまり類書と比較しても、良書です。

最低限、それぞれのタイプに書かれている「罠にはまる道筋」を自覚して、これを避けようとするだけでも、それなりの効用が得られるはずです。

 

ダチョウはなぜ金儲けが苦手なのか?―「お金タイプ」でわかるマネー術
ダチョウはなぜ金儲けが苦手なのか?―「お金タイプ」でわかるマネー術 Jordan E. Goodman 谷川 漣

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▼編集後記:

ずっと経済的に厳しい状況だったので、ずっと買い物などを我慢していたのですが、ようやく雪解けかなといったところで、反動で色々買ってしまいそう。「カメ」じゃないな。