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執筆を進める10の方法

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photo credit: Dia™ via photopin cc

倉下忠憲二年ほど前の記事ですが「ライフハック心理学さん」の

» 作業効率を高める10の方法

という記事を再読しました。なかなか有用そうです。

上のエントリーは英文記事の改編らしいのですが、それをさらに私バージョンで改編してみます。

  1. はやめに、すこしだけ、着手する
  2. 手書きで模索する
  3. 何でもメモする
  4. ゴールデンタイムをみつける
  5. ムードを作る
  6. 作業を効率化する。ただしほどほどに
  7. 「すぐにできる」体制を整える
  8. 楽しさを取り入れる
  9. 拡げてから、削る
  10. アイデアの源泉を二つ持つ


1.はやめに、すこしだけ、着手する

たとえば新しい企画の打ち合わせが終わったとしましょう。私はそのまま別のカフェに移動し、メモ書き・ラフスケッチ程度でも書き付けるようにしています。

書き出しであったり、概要であったり、章立てであったりと、内容はその時によって違いますが、とりあえずちょこっとだけ書いておく。そうすると、多少時間が空いても次に取りかかるのが随分楽になります。

2.手書きで模索する

これまた企画の話ですが、何か新しいことを考える時は、まず手書きでやってみます。紙を広げ、ペンを手に持ち、自由にアイデアを書き付けていくわけです。

といっても、実際に本当に「手書き」である必要はありません。たとえばiPadでも良いかと思います。ようは、すでに定まっているテンプレートに当てはめたりしないとか、フォーマットがガチガチで新しい__言い換えれば逸脱した__アイデアを入れにくいツールを使わない、ということです。

3.何でもメモする

この連載でも何度も書いているのでメモの重要性は割愛しましょう。メモを使わずに本が執筆できる人は、本当に凄いと思います。私には到底できそうもありません。

メモの対象は、文章のアイデアやタイトル案、図解のラフスケッチ、マーケティングの方法など、言葉通り「何でも」です。ちなみに、「はやめに、すこしだけ」着手しておくと、こうした着想も生まれやすくなるかと思います。

4.ゴールデンタイムをみつける

「もっとも効果的に作業を進められる時間」、すなわちゴールデンタイムを発見することです。これは生活環境的な要素(仕事、家族)と、バイオリズム的な要素の二つによって決まってきます。

朝型、夜型といったやや漠然とした括りではなく、起床後2時間とか、夕食前2時間半とか、具体的な生活レベルの中での最適な時間を見つけるとよいでしょう。そのためには、「いろいろな時間でやってみる」「記録を付けておく」という二つの行為が必要です。

5.ムードを作る

毎日同じ時間に同じ作業をしていると、その時間が近づくと「そろそろ執筆タイムだ」という心理状況が生まれてきたりします。一種のムードです。

これを拡げて、特定の場所で作業をする、特定の音楽を伴って作業をする、ということをしていると、気分を盛り上げやすく、作業に入りやすい効果があるかもしれません。

6.作業を効率化する。ただしほどほどに

単純作業は、できるだけ効率化をはかります。手順を決めてスムーズに作業が流れるようにしたり、ひな形を作って簡略化すると、時間ロスを減らせます。

ただ、効率化することに専心してしまい、結局作業時間がなくなってしまう、という本末転倒には注意です。また、どの作業は効率化して、どの作業は効率化しないという線引きは、市場原理の導入の是非を見極めるぐらい重要な要素です。

7.「すぐにできる」体制を整える

原稿を書き始める際、そのテキストファイルを探すのに5分もかかるようならば、モチベーションの火が消え落ちてしまうかもしれません。資料を探す場合もそうです。

すぐに着手できる、すぐに見つけられる、というのは単純に時間効率を上げる効果ももちろんあります。しかし、「億劫に感じない」ことはモチベーションにも大きな影響があります。整然と並んでいる必要はありませんが、必要なものにすぐにアクセスできる環境を整える必要はあるでしょう。

また、「次にやるべきこと」が明らかになっていることも重要です。

8.楽しさを取り入れる

私は、エディタに向き合いながらキーボードを叩いているだけで、そこはかとなく楽しいのですが、そうではない場合もあるでしょう。楽しさがまったくない作業は、苦役と区別が付きません。というか、同じ作業でも楽しさの有無で、それをなんと呼ぶのかが変わってくるのかもしれません。

タイマーを設定して、10分以内にこれを終わらせる!、といったゲームを自分で設定して楽しむのもよいでしょう。進捗状況を確認するリストにチェックマークを入れて達成感を得る、というのもお手軽な方法です。

仕事は確かに苦しい側面もありますが、だからといって楽しさを取り入れてはいけない、ということにはならないでしょう。自分なりの工夫を入れる余地はいろいろあります。

9.拡げてから、削る

あるいは「勢いで書いて、冷静に見直す」。表現はなんでもよいです。

世の中には薄く削ったものを積み重ねて行く方法論もあるかとは思いますが、それはかなり疲れます。おそらく精神も同じぐらい削り取る必要があるかもしれません。

最初はブレーキをかけずに拡げていき、出し切ったところで、それを削りにかかる。という方法が楽です。ただし、「出し切った」という点は自分が考えているよりも随分先にあること、削りにかかるのはそれなりにしんどいこと、この二つには注意してください。

10.アイデアの源泉を二つ持つ

一つは他者、もう一つは自分です。

考えに行き詰まったら、他人の話を聞く・関係ない雑誌を読む・誰かに相談する・関連書籍にあたる。

インプットを進めたら、自分自身に問いかける・疑問の焦点をずらす・過去を振り返る・将来をイメージする。

両方のバランスが整っているとよいですね。高度情報化社会だと後者が置き去りにされる可能性は高いですが。

▼今週の一冊:

Kindle本のセールで販売されていたので試しに購入。2008年に書かれた本ですが、広告と消費者の関係は、まさに本書が示すとおりに移行してきています。むしろソーシャルメディアの普及により、その移行速度は随分早まったと言えるでしょう。

単純にネットを絶対視し、マスメディアを貶めるのではなく、それぞれのメディアの特性を活かしながらマーケティングを考える本書で提示されている方法論は、とても現実的だと感じました。また、消費者という「単に消費するだけの人」という概念が古くなってしまっているという指摘も、大変重要です。


▼編集後記:
倉下忠憲



ちなみに書籍と同じでブログの記事も再読するとなかなか面白かったりします(ブログによりますが)。Evernoteはそういう用途にも大変便利です。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。