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ラクに生き抜くための自分の運び方
2007/12/17 Mon 23:59 by 大橋 悦夫 このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリを含むはてなブックマーク

タグ:好ましい偶然を引き寄せる / 「成功」に近づくために / 『ウェブ時代をゆく』

前回の「けものみち」の心得と実践というエントリーで取り上げたコスメティクスブランドRMKのRumiko氏がインタビューの中で繰り返し口にしていた「ラッキー」という言葉が気になっている今日この頃。日本語でいえば「運がいい」、聖幸さん流にいえば「ツイてる!」(※)。

共通点は、自分のコントロール外にある成功要因

※最近は「幸せです」というフレーズも使っていらっしゃるようですね。

しかし、メールを出す、ブログを始めるといった小さな一歩が大きなレバレッジ的な効果をも生むことができるなんて素敵な時代に生まれたなと思います。幸せです。

「いやぁ、運が良かっただけですよ」という表現には、

 ・ホントは僕が有能だからなんだけど、それだと感じ悪いしカドが立つから

という日本人特有の「心づくしのぼやかし」と、

 ・何も特別なことはしてなくて、ホントどうしてこうなっちゃったんだろう

という「心覚えのない棚ぼた」と2つの意図が見え隠れしますが、どうも最近の「ラッキー」は後者である場合が少なくないように感じます。


「好きを貫く」というより「ラクに生き抜く」


例えば、以下の記事(引用文中の太字は大橋)。

» ネットの住人が心地良い居場所を作りたい--「ニコニコ動画」を生み出した企業文化

ニコニコ動画の開発者になぜニコニコ動画がここまで人気を集めるサービスになったのかと話を聞くと、「運が良かった」というような言葉が出てくる。たとえばドワンゴ 研究開発部技術開発セクションの戀塚昭彦氏はニコニコ動画のプロトタイプを3営業日で完成させたが、それは直前まで社内プロジェクトで使っていた技術をうまく活用できたためだと話す。「本当にタイミングがよかった」(戀塚氏)


 また、動画共有サービス「SMILEVIDEO」も1週間強で開発しているが、その時には個人的に動画共有サービスを開発していた社員がたまたまいたため、そのノウハウを活用できたという。「なぜ1週間でできたかと言えば、YouTubeからアクセスを拒否されたという危機感と、たまたまサービスを開発していた人がいたという運の良さがある」(千野氏)

もちろん、企業努力や個人の能力に依るところはあるとは思いますが、この記事を読む限りは、どちらかといえば

 「我々もびっくりしているんです」

というニュアンスが読み取れます。

ここで、前回同様『ウェブ時代をゆく』から関連箇所を引いてみます。

「長期「なりたい自分」と短期「なれる自分」」を意識して、現実的であることだ。「好きを貫く」ことは長期戦である。

「なりたい自分」が仮にイメージできたとしても、すぐ明日にそれは実現しない。短期的には「なれる自分」を積み重ねながら「時間の使い方の優先順位」を常に意識し、ロールモデルの引き出しも増やしつつ、こつこつと長期にわたってしたたかに生きること。

「好きを貫く」ことと現実とのぶつかり合いの中で、「好き」とは違う次元で就職などの判断を下すことはままある。そんな判断をしてもそれで終わりだと思わないこと。たとえばオープンソース的に「志向性の共同体」に「気持ちだけ参加」して「好きを貫く」生き方もウェブ進化によって可能になる。そういう営みの中で、自分の直感を磨き、あきらめずしつこく自分の志向性を問い続けること。(p.144)

ここ以外でも本書の中では「好きを貫く」というフレーズが繰り返し登場します。でも、この「好き」という言葉に対して各所で“反応”があり、僕自身もこの文脈における「好き」はあまりしっくり来ていないのが正直なところです。

例えば、文章を書くことで生計を立てるという今のような毎日を送っていると、

 「やっぱり文章を書くのが好きなんですね」
 「好きなことを仕事にできるのは最高ですね」

などといわれることが多々あります。もちろん、嫌いではありませんが、「人生を埋める」ほど好きかというとそこまでは自信がありません。

では、なぜ書いているかといえば、それが自分にとって一番ラクにできる生産行為だからということに尽きます。そもそも「好き」の対象は他にありますから、仕事のためだけに大切な「好き」を引き当ててしまうのは避けたいのです。

そこで、「好き」にかけられる時間を最小の努力で最大限に確保するためには、自分がラクにできることに資源を集中投下するのが最も効率の良い方法ということになります(「仕事を楽しくする」のはその一環です)。

人と話すこと、特に「不特定多数無限大」の初対面の人と直接会って話すのが苦にならない、という人にとっては僕のようなひたすら書くばかりの仕事はラクではないかもしれません。

つまり、好きかどうかより、無理なく続けられるかどうかが重要になるわけです。好きであることは十分条件でしかないと思うのです。

#もちろん、梅田望夫氏も「好き」を必要条件とはみなしていないかもしれませんが。


「望ましい」ところに自分を“運”んでいく


自分にとって何か望ましいことが起きたとき、それを「運がいい」と呼ぶのなら、望ましいことが起こりやすいところに自分自身を運んでいくのは繰り返し再現しやすい「運を良くする方法」の1つだと思います。

望ましいことが起こるのは、何かをした結果であるはずです。そして、「望ましい」という判断を下しているのは自分自身です。これを3つのパーツに分解してみます。

 1.何か行動を起こす
 2.結果が出る
 3.「望ましい」と判断する

1と3は、自分で自分をしかるべきところに運ぶ行為です。その結果として文字通り2の結果が得られます。

つまり、まず行動を起こす。その上でそれを自分の基準に照らした上で「望ましい」あるいは「望ましくない」と判断する。

「望ましい」と判断するには、無限の選択肢の中から「望ましい」と思えるものを探し当てるか、既存のものを「望ましい」と思うようにするかのいずれかしかありません(この2つのどちらが「望ましい」方法かの判断も、同様です)。

ここで手前味噌ですが僕自身の事例を。

今年の9月29日に行われた「フリーエンジニア カンファレンス2007」(アイティメディア @IT自分戦略研究所主催)で、一スピーカーとして登壇させていただいたのですが、その様子も含めて当日司会を担当された堀内浩二さんが「自立したエンジニアに必要な4つの姿勢」という記事にまとめてくださっています。

その中で、以下は「無理なく続ける」ために自分で自分を「望ましい」ところに運んでいく方法の1つだといえます。

1つのスキルをテコに仕事を得て、スキルを広げていくこと。大橋さんは独立後、マーケティングが学びたくなってあるマーケティング会社と雇用契約を結びます。マーケティング未経験だった大橋さんの武器になったのが、それまで培ってきたプログラム開発とライティングの実績です。社内にそういうスキルの持ち主がいなかったこともあって、社内システムの相談役という形で社内に居場所を築くことができました。

スマートにまとめていただいていますが、要点をまとめるなら、

 1.自分にとって無理なく続けられるやり方を選ぶ
 2.“渋滞”が避けられるやり方を選ぶ

1はすでに述べた通りですが、2は前回取り上げたRumiko氏のアプローチに学ぶことができます。すなわち、

メイクアップアーティストになりたいっていうのは、中学生ぐらいのころからずっと思ってたんですよ。でも、美容学校を卒業したあと、某化粧品メーカーの美容部員の試験に落ちたりして(笑)。それからメイクに関わる仕事をいろいろやってみたんですけど、結局メイクアップだけをやりたかったので、外国に行くしかないな、と思ってニューヨークに渡ったんです。

これは同時に、自分にとって無理なく続けられる、「望ましい」と思えるやり方を選んだ、ということにもなります。

その後Rumiko氏は、後から「ラッキーだった」と振り返る出来事に見舞われていきます。

僕自身の例でいえば、常に既存の仕事に片足を残しながら、もう一方の足で新しい仕事に踏み出すという、バスケットボールでいうところの「ピボット」を駆使しているようです(改めて振り返ってみると)。その結果、人とつながる接点(触手)が増え、様々な出会いに恵まれ、今に至るのですが、人の縁といい、タイミングといい、いつも「望ましい」ものだと感謝しています。

そして、新しい仕事は常に直前の仕事の延長線上に位置することになるため、無理なく入っていくことができるという点も見逃せません。まるで何か大きなものの背中に乗せられて運んでもらっているかのようです。


▼関連:
「けものみち」の心得と実践 
安定はゴールではない 
セレンディピティを活かすための手順 
偶然を活かすコツ 
棚ぼたを招き寄せる(かも知れない)ちょっとしたコツ 




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