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自分を不利にしてやる気を節約する

私はかねてから、「セルフ・ハンディキャッピング」(自分をあえて不利にすること)という概念は興味深いし大切だと感じてきました。

とくにこの概念で、「やる気」(のなさ)を説明したら、面白いことがたくさん見えてくるのではないか、と考えています。

「やる気が出ない」のはたいてい、見通しがはっきりしないせいで生じます。当然楽しむことができて、当然完遂できるようなことに、「やる気が出ない」というのはほとんどありません。

見通しが立たない主な原因は二つあります。

1つめは、課題達成をどう評価されるかについて、自信が持てないとき
2つめは、課題が最後まで達成できるという見通しが、そもそも立たないとき

1の具体例は、とにかくダメ出しをする上司からの課題を想像すればいいでしょう。

2の具体例は、たとえば時間がどのくらいかかるか分からない、引っ越し作業などへのやる気のわかない状況を、想像すればいいでしょう。

こうしたときでも、人の心は「自分」を守ろうとします。たくさんのやる気を投入して、成果が出ないと心理的にはまずいこと(たとえば無気力症や軽うつなど)になるため、やる気を節約しにかかる、と思うのです。

課題が難しいのに、やる気を節約して首尾よく成功するのは難しい。そこで「セルフ・ハンディキャッピング」という戦略を用いるのです。

1の場合ですと、ダメ出しをする上司から仕事を割り振られたときには、たとえば他の人からの頼み事などをどんどん引き受けたりします。それもよく、半ば無意識にそうしてしまうのです。

結果として時間がなくなります。時間がなくなると、上司から頼まれた仕事の質も低下します。そしてダメ出しされます。「でも仕方がなかった。時間が全然足りなかったから。最近忙しすぎた…」というわけです。

他人はこの言い分に納得しないかもしれません。しかし、自分の気持ちを守ることは可能です。

これなど「つまらない自分への言い訳」かもしれません。しかし、あえてプレゼンテーションの前日に夜更かしするとか、きれいな女性と合コンしているときに限ってお酒をたくさん飲むとか、セルフ・ハンディキャッピングの事例はかなり広範にみられると思います。