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時間をレバレッジすることで手に入れたいもの
2007/07/17 Tue 23:59 by 大橋 悦夫 このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリを含むはてなブックマーク

タグ:ストレスとうまくつき合うには? / 『レバレッジ時間術』

前回は、『レバレッジ時間術』について、その原則を3つ抜き出して考えてみましたが、今回は事例からアプローチしてみます。


1.機械的に感情をコントロールするために


●小さなこともリストにして習慣づけ

日常生活で習慣化したいことは、どんなことでもチェックリストにしています。「やろうと思っていたけど忘れてしまった」ことを思い出したり、あとになってやり直したりすることは、とても時間のロスだからです。

(中略)

いつでも見られる形にしておきさえすれば、忘れてしまってストレスをためたり、「自分は最近たるんでるんじゃないか」などとあいまいに悩むこともなくなります。リストさえ見れば、できているかいないかは即座に判断できます。

著者は、習慣化するためにリスト化したものとして、以下のような例を挙げています。

 ・判断は楽しいか楽しくないかで決める
 ・時間とコストを比較して、費用対効果を考える
 ・仕組み化ができているか
 ・仕事を終えたら、机の上を片づける
 ・水回りをきれいに洗う
 ・食器はすぐに洗う
 ・脱いだ靴は揃える

こういったことは、いちいち紙に書き出さなくても忘れて困るようなことはなさそうです。でも、書いてあるのを目にすることによって、改めて意識にのぼり、実際の行動に移りやすくなるということはあるでしょう。

「一日のやる気をふるい起こす毎朝の習慣」というエントリーでご紹介した、毎朝その日の宣言を行うことはまさにこの実践事例といえます。

感じたり、考えたり、判断する余地を最小化し、そこから生じる「あいまいな悩み」をシャットアウトするわけです。このような姿勢の根底にあるのは、その都度感じたり考えたり判断したりすることを面倒に感じるかどうか、という面倒感度でしょう。面倒に感じるからこそ、最小化しようという気持ちが起こるからです。


2.考えなくても済むようにするために


●「時間割」のある生活は快適

たとえば私は、夏は朝5時、冬は6時に起きます。長年そうなので、体が慣れてしまい、目覚まし時計がなくても、なんの苦もなく起きることができます。起きたらまず入浴&読書、次は朝食、次は……と、やることが決まっているので、頭も体も自動的に動いて、ムダな思考や行動が入る余地がありません。

(中略)

逆に毎日毎日「今日は何時に起きよう」「何時に食事をしよう」「何時に家を出よう」などと考えて行動するのでは、それだけで時間のロスです。また、睡眠や食事の時間が日によってバラバラでは、心身のリズムが狂いやすく、疲労の原因になります。

毎日繰り返す習慣(起床や入浴や食事)は、あらかじめ“水路”を作っておき、そこに毎日水を流し込むだけで、一連の習慣がすべて漏れも滞りもなく実行されるようにする、言い換えれば何も考えなくてもできるようにしてしまうのがよい、というわけです。

「ムダな思考や行動」は単に時間を浪費するだけにとどまらず、脳に余計な負荷を与え、疲労やストレスになるでしょう。

このように生活をパターン化することの実態は、考える時間を天引きすることだと考えられます。そうすることによって、あとは行動せざるをえない状況ができるからです。


3.ノイズを極限まで減らすために


●電車に乗らないという生き方

私は最近、ほとんど電車に乗りません。ちょっとした移動には、もっぱらタクシーを利用することにしています。その理由はやはり、時間です。

ということで、著者は次のような、電車のデメリットを挙げています。

 ・駅まで歩く必要がある
 ・電車の到着まで待つ必要がある
 ・乗車中、混んでいると何もできない
 ・乗車中、空いていればいろいろできるが狭い、人に見られる
  ○:iPodを聞く(できる)
  ○:本や雑誌を読む(混んでいなければ、できる)
  ○:メモを書く(混んでいなければ、できる)
  ○:ノートPCを広げる(座れれば、できる)
  ×:携帯電話で通話する(できない)

これに対して、タクシーのメリット。

 ・上記すべてできる
 ・次の場合にも向いている
  ・一人になってものを考えたいとき
  ・ちょっと疲れを取りたいとき

著者も「価値観の問題」と断っていますので、万人向けとはいえませんが、タクシーに乗ることによって得られるメリットはそこで生み出すことができる時間だけにとどまらないでしょう。

そこで、別の例。

●機器のマニュアルは必ず読む

携帯電話、パソコン、デジカメ、MP3プレーヤー等々、(中略)私は、こうした機器のマニュアルを、必ず全部読むことにしています。

その理由として、著者は次のような、マニュアルを読まないことのデメリットを挙げています。

 ・使える機能があるのに使わないで過ごしてしまう(ことがある)
 ・あらためてマニュアルを読むのは面倒(いちいち参照はストレス)

これに対して、あらかじめマニュアルを全部読んでおくことのメリット。

 ・特定の機能を知っておくことで大幅な時間節約ができる
 ・ざっと読んで一度試しておくことで、だいたい忘れない
 ・一度目を通しておけば、あとからすぐに該当箇所を見つけられる

著者は最初の「マニュアル全部読み」にかかる時間は1時間程度としています。この1時間がのちのちのレバレッジになるというわけです。

以上2つの事例から読み取れるのは、再現性を確保しようとする姿勢です。

電車に乗ることには、「何ができるかわからない」(混んでいれば何もできない、座れなければノートPCを開けない)という不確実性が常につきまといますが、タクシーであれば、車内でできうることは例外なくできる、という確実性が得られます。つまり、タクシーに乗る限りは、期待している状況を確実に再現できるのです。

「マニュアル全部読み」の目的は、「時間節約の機会損失を防ぐ」という確実性の担保であり、参照したいと思った時に常にマニュアルが手元にあるとは限らないという不確実性への対処といえます。また、該当箇所をあとからすぐに見つけられることも確保しておきたい確実性の1つでしょう。


まとめ


以上、3つの視点に分けて著者の「こだわり」事例を切り出して並べましたが、お気づきの通り、それぞれの視点は、前回ご紹介した以下の3つの原則にぴったり重なります。

 1.機械的に感情をコントロールするために
  → 面倒ではない方法を考える

 2.考えなくても済むようにするために
  → 時間を天引きする

 3.ノイズを極限まで減らすために
  → 行為に再現性を持たせる


本書は、時間にスポットライトが当てられていますが、実はその光によって生じる“影”に本質があるような気がします。すなわち、時間を効率よく活用できる自分に変わることによって得られる感情面への好影響です。

具体的には、日々の仕事に気分よく取り組めたり、趣味や家族のために十分な時間を捻出できることによって得られるストレスからの解放感です。

つまり、時間をレバレッジすることで手に入れたいものは、節約できた時間や応分の成果という目に見える“光”よりも、感情のコントロールという“影”ではないかと思うのです。


▼関連:
『レバレッジ時間術』

時間をレバレッジするための3つのポイント 

『レバレッジ時間術』という本を読みました。この本から読み取れたポイントは次の3つです。

 1.面倒ではない方法を考える
 2.時間を天引きする
 3.行為に再現性を持たせる





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