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判断ミスを防ぐための34の質問
2007/03/09 Fri 23:59 by 大橋 悦夫 このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリを含むはてなブックマーク

タグ:書籍紹介 / 決断するということ / 知識を活かすには? / 『日記の魔力』 / 『なぜ、それを考えつかなかったのか?』

何らかの判断を下して、結果が出てから

 「なぜ、このような結果になることを事前に予測できなかったのか?」

と後悔することがあります。結論を急いでしまったがゆえに望ましくない結果を招いてしまうのです。

『なぜ、それを考えつかなかったのか?―最高の結果を生む聡明な思考法』という、まさにその名の通りの本をひもときながら、これを防ぐための方法を考えてみます。


「ソクラテスの問答法」と呼ばれるテクニックは、現在でも最も質の高い思考方法と考えられています。

彼の質問は、自分の考えを明確に示し、不正確なものを排除し、より包括的に考え、より道理にかなうようにし、その考えが高潔であることを要求しました。弟子のメノは、ソクラテスの質問を、突き刺さると神経が麻痺するアカエイの尾の鍼にたとえました。彼の厳しい質問は、真実を突き止め、自分の考えを再評価することを求めましたが、そういったことを避けたい人はいるものです。

ソクラテスが要求した高い基準は、鋭い知性と鈍い愚鈍とを区別しました。鋭い知性の持ち主は、自分の考えに厳しい基準を採用して、次のように自問するはずです。

ということで、5つの質問が紹介されています。

 1.それは明確か?
 2.それは正確か?
 3.それは包括的か?
 4.それは道理にかなっているか?
 5.それは知的に高潔か?

判断を下す際に、その判断の正しさを検証するために、自分に特定の質問を投げかけるわけですが、上記の5つの質問がそれに当たります。それぞれ、さらに細分化された具体的な質問に展開されます。

例えば、「1.それは明確か?」であれば、以下の通り。

 
 ・この考えには不明瞭さが含まれていないか?
 ・漠然としすぎていないか?
 ・理解しやすいか?
 ・中心となる重要な言葉とか概念を明確に定義したか?
 ・もっと詳しく説明する必要がないか?
 ・もっと上手に(たとえば、例を挙げて)説明することができないか?
 ・図表を用いて描写することができないか?

 (残りの4つの質問については末尾にてご紹介)

これらの質問に対して、頭の中で考えるだけではなく、紙に書き出してみることが推奨されています。

たとえば、思慮深い裁判官なら、自分の決定を紙に書いてみます。「書いた文章が意味をなさない」ような決定は、多分に再考してみる必要があるでしょう。頭の中で考えているかぎりは論理的に思えるものでも、紙の上では意味をなさないこともあります。

非論理的な考えは、書いてみると、ぎこちない文章になり、段落と段落が矛盾します。書くことは道理に合った考え方ができるよう手助けしてくれます。

手は考えを組織立ててそれを表現するというユニークな能力を持っています。頭は手と密に協力してベストな仕事をします。

アルバート・アインシュタインは、どこでもいつでもペンと紙を携帯していました。英国の偉大な思想家であるジョン・スチュアート・ミルは次のように言いました。

「自分が正しく考えているかどうか知りたいのなら、自分の考えを文章にしてみなさい」

文章を書かないのなら、せめて、信頼の置ける友人とか同僚に声に出して話してみましょう。

人は、言葉を使って思考をするのですが、頭の中だけで考えていたのでは、それが自分の直感や潜在意識をも動員して行っているものなのか、単に刹那的な感情に支配されているだけなのかを見分けることは容易ではありません。

「衝動買い」をしてしまうのは、この見分けが難しいことを如実に表していると言えるでしょう。本文にも以下のようなくだりがあり、大いに頷かされます。

結局のところ、「なぜそれを見逃したのだろうか?」と後悔するとき、その人は通常の経験から学んだ道理を捨て去り、信頼できない感情をその代わりにしたということなのです。

これを見分けるための方法が質問に答えることであり、さらに効果を高めるために紙に書き出すわけです。

そういえば、文章化することの有効性については、『日記の魔力』でも強調されていました。

私たちは通常、文章を書いたり人と話をしたりするとき文末まで考えていない。そのため、書いて(話して)いるうちに、自分でも思いがけない言葉が出てきたりもする。

頭の中でぼんやりと考えているだけでは出てこない言葉が、文章化することによってどんどん出てくるのだ。

文章化することによって、頭の中で混沌としていた物事が整理され、潜在意識にあるものが顕在化してくるといってもいい。


今回ご紹介した『なぜ、それを考えつかなかったのか?―最高の結果を生む聡明な思考法』は、ハードカバーで300ページという読み応えのある一冊。

ページのほとんどは様々な事例の紹介で占められているのですが、事例が豊富にあるおかげで複数の角度から自分の理解を促し、そして深めることができます。

また、随所に理解を確認するためのクイズ(巻末に解答と解説)が用意されており、読み進めながら自然と「自分だったらどうするだろうか?」というシミュレーションができるようになっています。このクイズにうまく答えられなければ、きちんと理解できていないことが露わになります。

逆に言えば、クイズに答えながら丁寧に読み進めていけば、確実に自分の思考回路を変えることができる、とも言えるでしょう。

今回はとりあえず前半4章(全8章)までの内容をもとにまとめてみました。後半については、また後日に。。


<判断ミスを防ぐための34の質問>
・全部で5つの大きな質問があり、それぞれに詳細な質問が複数ぶら下がっています。詳細な質問は全部で34あります。同じリストを*ListFreakにアップしておきました(こちらの方が使いやすいと思います)。

●1.それは明確か?
 ・この考えには不明瞭さが含まれていないか?
 ・漠然としすぎていないか?
 ・理解しやすいか?
 ・中心となる重要な言葉とか概念を明確に定義したか?
 ・もっと詳しく説明する必要がないか?
 ・もっと上手に(たとえば、例を挙げて)説明することができないか?
 ・図表を用いて描写することができないか?

●2.それは正確か?
 ・これは現実と一致しているか?
 ・私はどういった仮定をしていたか?
 ・私の考えは、他の手段でも裏付けられ、立証され、有効だと認められ、確認されるか?
 ・どんな誤りが存在する可能性があり、それを最小限に食い止めるために、あるいは排除するために、私は何ができるのか?

●3.それは包括的か?
 ・この考えで問題の核心に到達することができるか?
 ・それは問題をさまざまな観点からアプローチしているか?
 ・それは複雑な要素の可能性を認識しているか?
 ・それは物事を単純化しすぎていないか?
 ・私は結論を急ぎすぎていないか?
 ・それはベストな解決方法か?
 ・どんな先入観がこの考えに悪い影響を与えているか?
 ・この状況はそれを取り囲むもっと大きな状況とどういった相互関係にあるのか?
 ・この考えはすべての重要な可能性を考慮し尽くしているか?

●4.それは道理にかなっているか?
 ・それはもっともらしいか?
 ・それには矛盾がないか?
 ・信頼できるか?
 ・現実的か?
 ・論理的吟味に耐えることができるか?

●5.それは知的に高潔か?
 ・私はある特定の問題に取り組むのを避けていないか?
 ・私の考えはそれに欠点とか弱点とかがある可能性を腹蔵なく認めているか?
 ・この考えに矛盾を見つけているか?
 ・論理的に説明するというよりは正当化しているだけではないか?
 ・自分が望んでいる結論は高潔な考え方から離れたものになっていないか?
 ・私は事実の代わりに推測を用いていないか?
 ・私の論理は本当は問題を避けようとしているのに問題に取り組んでいるふりをしているだけではないか?
 ・まだまだ知らなければならないことがあるのではないか?
 ・私は自分が他人に要求するのと同じ厳しい基準を自分にも適用しているか?


<関連>
“日記家”のための座右の書(『日記の魔力』のレビュー)
読んでもらえるエントリを書くための10のコツ(*ListFreak紹介記事)




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