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急ぎではないがやっておくと後で助かる仕事

「必要な時間がまとまってある状態」が必要である一方で、コマギレに分断されている方がかえって都合がいい場合もあります。

例えば、「メールの返信タイム」で以下のように書きましたが、

そこで、まず、1日に2回ないし3回の「メールの返事を書くための時間」(返信タイム)を決めておき、その時間になったらメールの返事を書くことだけに集中するようにします。

返信タイムとして設定した時間が過ぎたら、パタッとやめるようにします。これは、「Time-based dash」の応用例と言えます。

1.Time-based dash “何時まで”ダッシュ(いつまでだっしゅ)

ターゲットとなる“常連タスク”に取り組むべき時間を決めて、取り組む。キッチンタイマーを使って、アラームが鳴るまでとにかく集中してやる。

では、このようなやり方がふさわしい作業にはどのようなものがあるでしょうか。考えるにあたっての要件として以下のようなものが考えられます。

 1.作業が途中で中座しても支障が少ない(後ですぐに再開できる)
 2.作業単位が小さい(1単位あたりに必要な時間が短い)
 3.頭で考えるというより手を動かす
 4.あまり時間をかけたくない
 5.緊急ではない
 6.やっておくと後で助かる

以上の要件を眺めると、これは料理における“下ごしらえ”に似ています。例えば、ブラウンソースや下味を付けたひき肉、皮をむいて輪切りにしたにんじんがあれば、ハンバーグやグラッセを作るときに一から作るよりも手早く簡単に調理することができます。

ブラウンソースを作るのは、慣れている人なら手順を考えることなく手際よくできるでしょう。すぐに使う予定はなくても、冷凍しておけば保存が利くので、普段手が空いたときに作っておくと、後で助かるシーンも出てくるでしょう。

締め切り間際、すなわち夕食の時間が迫っているような時にハンバーグを高速で作る上ではブラウンソースのような“部品”が役に立ちます。

仕事においてもブラウンソースにあたるような作業、すなわち部品として再利用できる作業は先に済ませておくと、後が楽になります。とは言え、忙しい毎日の中で、いつ使うかわからない、もしくは使うことがわかっていても例えば1ヶ月先まで使わないということであれば、そのような部品作りに長々と時間をかけられません。

そこで、ちょっとした空き時間ができたときに進めたい「急ぎではないがやっておくと後で助かる仕事」のリストを作っておくと良いでしょう。これについては「ちょっとした空き時間を有効活用するコツ」というエントリーで「あると便利なリスト」をご紹介しています。

Cool/convenient lists to have
(あると便利なリスト)

There are critical reminder-type lists that we all need to let our brain relax (re: outcomes and actions). There are other lists, though, that can be useful, fun, and interesting, that fit in the area of “reference” or “support.”

仕事を確実に進めるためのリストのほかに、ちょっとした時間に役に立つ、あるいはリラックスできるようにするためのリストというものがある。

ということで、いくつか紹介されています。

1.銀行の口座番号とクレジットカード番号
2.自分のミッション・ステートメント(あるいは信条)
3.各種手続きに必要な番号(免許証、保険証など)
4.誕生日
5.チェックリスト(旅行の持ち物リストやジムに行くときに持っていく物リスト、あるいは新たな習慣を根付かせるためのリスト)
6.贈り物(相手に応じて欲しがっている物やそれが売っている場所も並記)
7.役に立ちそうなアイデア(実際にどこで役に立つかさっぱりわからないけど)
8.ジョークのねた(見聞きしたらすぐにメモしておかないと忘れる)
9.いつか買いたい物(CDやワイン、本、DVDなどカテゴリごとに分けておく)
10.いつかやりたいこと(そのチャンスが訪れた時のために)
11.いつか○○と(○○で)やりたいこと(子どもと、奥さんと、ペットと、PCを使って、などなど)
12.前職の連絡先
13.名言、金言、警句
14.ランチスポット、ディナースポット
15.よく使う消耗品の商品型番(ヒゲソリの替え刃、掃除機の紙パック、プリンタのトナーなど)
16.ちょっとしたコツ(各種機器の操作方法、アプリのショートカットなど)
17.休暇にやりたいこと(カメラ、ハイキング、ホテル、スパ、探検スポットなど)

このような“下ごしらえ”的な仕事は、ルーチン作業がほとんどですが、「まとまった時間を必要とする仕事」からも切り出すことができます。

例えば、企画書を作る場合でも「構成案を考える」という作業は独立した部品として切り出すことができます。ちょっとした空き時間であっても構成案を考えることはできるでしょう。空き時間の良いところはほどなくして“締め切り”がやってくるため、短時間であっても集中できることです。

時間をかければかけるほどブラッシュアップが望める仕事もありますが、時間をかけても改善の見込めない仕事もあります。後者のような仕事は、締め切りを設けて自分を追い込んで取り組んだ方が全体としては時間の節約につながります。

以上、コマギレ時間の活用について書いてきましたが「時間を有効に使うことができる」という数値化可能なメリットのほかにもう1つ見逃せない利点があります。

それは、追われる前に手を打てることです。例えば、企画書の締め切りがあり、企画書を作るための「まとまった時間」を確保する時、すでに“カウントダウン”は始まっています。

ちょっとした空き時間に構成案を考えておくことは、“ゲーム”がスタートする前、すなわち“カウントダウン”が始まる前からリードを稼いでいることになります。つまり、追っ手が動き出す前から逃げ始めることができるわけです。

迫ってくる締め切りを背中に感じながら走るより、走れば走るほど締め切りを引き離すことができる方がプレッシャーは少ないでしょう。

「今すぐ!」で取り上げた竹内均氏の以下の心がけはその良い例と言えます。

私は自分自身に対してある1つの約束をした。「400字詰め原稿用紙にして一月300枚以上の原稿を、かならずつくるようにしよう」という約束である。

これは流行作家並みの原稿枚数である。もちろん私に対してこれだけの原稿の注文があるわけではなく、またこれだけの枚数の原稿を書けないと食っていけないわけでもない。自分が怠惰になることを戒めるためだけに、自分自身に対して私はこの約束をしたのである。

注文が入る前から先行着手しているわけですから、もし執筆依頼があれば、手元にある下ごしらえ済みの原稿をもとに、かなり早く脱稿できるのではないでしょうか。

もっとも、竹内氏の目的はスピードアップにあるわけではなく、普段から自分を“執筆モード”に維持するための自主トレにあります。もしスピードアップのためだけにやっていたのでは、注文が入らなければすべてムダになってしまいますから、継続するためのモチベーションを維持するのは困難でしょう。

そう考えると、後から役に立つのはもちろん、それを続けることそのものからも続けるに足るやりがいや楽しさが得られることが「急ぎではないがやっておくと後で助かる仕事」を継続するコツと言えるでしょう。