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習慣を定着させるコツ

「毎日やろう!」と意気込んで始めた習慣で、1日でもできない日があると途端にめげてしまう、ということがあります。内容によりますが1日,2日程度なら取り返すことができても、3日分以上溜めてしまうともはや不可能になります。そもそもまとめてやっても意味がないものだったりするとなおさら。

例えば、毎日5km走る、という習慣の場合は、1日サボったら、次の日は10km走ればよいか、というとそうでもないような気がします。毎日走ることに意味がありそうなので。。

そう考えると、毎日続けないと面倒なことが起こるようにしておくと良さそうです。日々使っている自作のタスク管理ツールでは、毎日行うデイリータスク(このブログを書く、アイデア5分4行日記発声練習など)は、その日に完了すると、自動的に翌日にコピーされるようになっています。

こうすることで、翌日のタスクをリストアップする際に、これらデイリータスクを改めて入力する必要がなくなります。でも、特に毎日欠かさず書いている「4行日記」(非公開)は、その日に書き終えないと(=タスクを完了扱いにしないと)翌日の「4行日記」のタスクが作られませんので、何が何でもその日にやろうという強制力が生まれます。

 #この辺り、ちょっとわかりにくいかも?

で、習慣を定着させるコツ。「習慣を継続させるための10のコツ」では習慣を“インストール”するコツをご紹介しましたが、今回は“インストール”した習慣の灯を消さないようにするためのコツです。

「三日坊主」という言葉がありますが、三日以上続いている習慣であっても、ある日突然やめてしまう(続かなくなってしまう)ということもあります。例えば、毎朝ランニングをしていたのに、どしゃ降りの朝に1日欠かしたことで、勢いがなくなり、そのままフェードアウト。あるいは、がんばってダイエットに励んでいたのに、ある日の夜中にちょっと魔がさして冷蔵庫を漁って小腹を満たしたことで崩れ去ったり。

そんな「どしゃ降り」や「夜中の冷蔵庫」に負けないようにしたいものです。

ところで「やる気とグズの心理学」というメールマガジンで興味深い話を読みました(以前ご紹介した『ロボット心理学』の著者の方のメルマガです)。

「学習消去」の難しさ

ネズミがレバーを倒すと、えさがもらえる。えさがもらえると、レバーを倒す。レバーを倒すと、えさが出る。繰り返し、繰り返し、こうしているうちに、おそらくネズミは「えさをもらうためにレバーを倒そう」ということになる。これが「学習」です。

ところで、これは「薬物依存」のからくりとそっくりです。「ドラッグ」によって「ハイ」になる。繰り返し、繰り返し、「薬」に浸っているうちに、「ハイになるためにはヤクがいる」ということになる。これは結局、「学習」なのです。

ところで、「学習」したことを、消し去ってしまうのは、容易なことではありません。ネズミにいったん、「レバーを倒す」事を教え込んでしまうと、レバーを倒してもえさが出ない、ようにしてみても、当分の間、ネズミは哀れにもレバーを倒し続けます。倒しても、倒しても、何も出ない。それを、「何度も何度も繰り返して」から、ようやく「倒さない」事を「覚える」のです。つまりこれも、「学習」なのです。

行動心理学では、少なくともこんな風に考えます。何でも、学習なのです。何かを覚えることも、学習なら、忘れることもまた、学習です。(方向性によって「強化」とか「消去」といいます)。やっかいなのは、覚え込んだ習性、人はしばしばこれを「悪習」と言ったりしますが、これを消去することは、難しい、場合によってはひどく難しいことです。

この記事では、一度「学習」したこと、つまり習慣化したことは簡単にはやめられない、ことが上記のようなネズミやドラッグの事例を使ってわかりやすく紹介されています。

簡単に覚えたことほど、簡単に忘れてしまう

たとえば、レバーを倒しても、必ずしもえさが出ないようになっていれば、ネズミにとってはレバー倒しを学習するまでの、難易度が高くなります。2回に一回とか、3回に一回とか、2時間に一回とか。2時間の間は、何回押してもエサは一回しかもらえず、次にエサが出るのは、2時間後という事であれば、ネズミはレバー倒しをなかなか学習しません。

このことは、もちろんわかりやすいでしょう。「毎回毎回確実に」ご褒美がもらえるからこそ、その行為をすぐに覚え込む、というわけです。ご褒美がもらえたりもらえなかったりでは、なかなか一つの行為を覚えられない。これを「ランダム学習」といいます。

しかし、いったん覚え込んだ場合には、「ランダム学習」の方が忘れにくいのです。これもわかりやすいですね。大変な苦労をして覚えたことの方が、忘れないものです。だから、受験勉強などでも、「ランダム学習」の重要性が言われます。覚えたことを、決まった期間を空けて再テストするのではなく、思い出したように、ランダムに思い起こしてみた方が、記憶への定着がよいのです。

じっさい、回数も時間感覚もバラバラな「ご褒美」、つまり、何度に一度なのか分からない。何時間に一度なのかも分からないが、レバーを倒すと「時々」エサが出る、ようにしておくと、ネズミはレバー倒しを本当になかなか覚えられません。が、覚え込んだらなかなか忘れません。「毎回毎回」エサが出る場合に比べて、その定着程度の良さは歴然としています。

ダイエットにおけるリバウンドは「ランダム学習」結果の典型

たとえばダイエットする女性です。ダイエットする女性というのは、一度で理想的なダイエットがスッとできる、ということは実際まれです。一生懸命ガマンしていて、急にたくさん食べて太ってしまう。いわゆるリバウンドとという言葉があるほどです。

こういう食事のとりかたは、ランダム学習そのものです。急に大きな反動で食べるときは、ひどい空腹がガマンできないくらいなのですから、快楽もとても大きい。しかし、リバウンド後は、それほど大きな快楽もないのに、後悔だの自蔑だの、たんなる食べ過ぎだのといった、色々なネガティブな感情で、食べるでしょう。

食習慣を狂わせているのですから、食事時間もまちまちです。大きな快楽が突然ポツッとやってきて、それからしばらく快楽なし(あるいは不快ばかり)、という状態が続きます。時間も回数もまちまちな「食事」の、不定期でイレギュラーな頻度で、快楽というご褒美が得られる。こうして、「反動」を「学習」してしまうわけです。

「ダイエット」を「仕事」、「急にたくさん食べる」を「現実逃避」にそれぞれ置き換えると、身につまされるところ大です。仕事で締め切りに追われている時ほど、強く感じられる現実逃避の快感

以上のことから、定着させたい習慣ほど、逆説的ですが「意図的にたまにやる」と良いのではないでしょうか。つまり、是非とも定着させたいのだけど、簡単に定着させることができてしまったら忘れるのも早い、とのことなので、あえてインターバルを置くのです。その分、終わったらご褒美を用意しておき、ハードルの先にあるご褒美というゆるやかな引力を利用します。ご褒美はその習慣そのものから得られるもの以外にしておきます。

例えば、筋トレ。本来は毎日とか週3回といった高頻度でやらないといけないようなものだと思いますが、あえて不定期にします。でも、一度離れて冷めてしまったやる気を再燃させるのは簡単ではありません(だからこそ挫折してしまう)。そこで、腹筋なり腕立て伏せなりをし終えたら、ご褒美として好きなお菓子を食べて良い、ということにします。すると、お菓子を食べるためには筋トレをしないといけないので、お菓子が食べたくなったら筋トレをする、という流れを作ることができます。

今回の記事には「ドラッグを買えなくなったら、借金してでも買うように『工夫』するでしょう」という一文がありましたが、まさにこの「工夫」の力を利用するわけです。例えば、お菓子を食べたくなったのだけど、外出中で筋トレができない、という場合でも、そのへんの階段の段差を利用して腹筋をするとか(ちなみにこれは、筋トレとお菓子のあいのりの事例と言えそうです)。

是非とも身につけたいスキルなのだけど、毎日そのための時間は取れない、かといって毎週というのも保証できない、というような場合にこのランダム・メソッドは最適かも知れません。

「時間ができたときにサササっと勉強しよう。そして勉強できた時はご褒美に○○をしよう」という気楽なスタイル。

継続は力なり。でも、断続はさらに力なり。

<習慣を定着させるコツ>

意図的にたまにやる、やれたときはご褒美を